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一応新汰にも罪悪感というものは存在する。
もうやめようと思ったことも何度かあった。
新汰の行動は兄の趣味に横槍を入れているのと同じこと。
決して正しい行いではない。
だが、どうしても納得がいかないし許せないのだ。
身の程知らずの女たちと兄が一緒にいることが。
しかし新汰もそこまで鬼ではない。
兄に釣り合うような人が現れたらそういうことは辞めようと思っているし、心の底から兄を祝福したいと思っている。
とりあえず、今朝奏汰から聞かされた恋人も品定めしなければならない。
穏やかで話していると楽しい。
兄はそう言っていたが、果たして本当にそうだろうか。
すると、なんとなくいじっていたスマホにメッセージの通知が表示された。
奏汰からだ。
急いで開くと、そこにはこうあった。
『言いそびれたんだけど今日は帰りが遅くなる。米はタイマーにしてある。冷蔵庫におかずも作って入れてるから温めて食べて。ごめんな』
最後の謝罪からして、おそらく例の恋人と会うのだろう。
まだ見ぬ兄の恋人…
どんな女かわからないが、どんな女の姿を想像しても腹がたつ。
新汰は小さく舌打ちをすると、返信の文字を打つ。
『デートでしょ?俺のことは気にしないで楽しんできて』
本心とは真逆の文字を平気で打ってしまう自分にも苛つく。
新汰は続けた。
『よかったら今度俺にも紹介してよ。穏やかで話すと楽しいその人に会ってみたいな』
新汰のメッセージはすぐに既読になる。
数秒後返信が届いた。
『わかった。今日話してみるよ』
嬉しさを表現するスタンプを送ると、新汰はスマホをポケットに突っ込む。
その眼差しは新汰の心の内を表すような冷たいものになっていた。
どんな奴だろうと構わない。
いつものように排除すればいい。
もうやめようと思ったことも何度かあった。
新汰の行動は兄の趣味に横槍を入れているのと同じこと。
決して正しい行いではない。
だが、どうしても納得がいかないし許せないのだ。
身の程知らずの女たちと兄が一緒にいることが。
しかし新汰もそこまで鬼ではない。
兄に釣り合うような人が現れたらそういうことは辞めようと思っているし、心の底から兄を祝福したいと思っている。
とりあえず、今朝奏汰から聞かされた恋人も品定めしなければならない。
穏やかで話していると楽しい。
兄はそう言っていたが、果たして本当にそうだろうか。
すると、なんとなくいじっていたスマホにメッセージの通知が表示された。
奏汰からだ。
急いで開くと、そこにはこうあった。
『言いそびれたんだけど今日は帰りが遅くなる。米はタイマーにしてある。冷蔵庫におかずも作って入れてるから温めて食べて。ごめんな』
最後の謝罪からして、おそらく例の恋人と会うのだろう。
まだ見ぬ兄の恋人…
どんな女かわからないが、どんな女の姿を想像しても腹がたつ。
新汰は小さく舌打ちをすると、返信の文字を打つ。
『デートでしょ?俺のことは気にしないで楽しんできて』
本心とは真逆の文字を平気で打ってしまう自分にも苛つく。
新汰は続けた。
『よかったら今度俺にも紹介してよ。穏やかで話すと楽しいその人に会ってみたいな』
新汰のメッセージはすぐに既読になる。
数秒後返信が届いた。
『わかった。今日話してみるよ』
嬉しさを表現するスタンプを送ると、新汰はスマホをポケットに突っ込む。
その眼差しは新汰の心の内を表すような冷たいものになっていた。
どんな奴だろうと構わない。
いつものように排除すればいい。
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