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第五章 マシュマロの破壊力
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こんな時間に帰れるなんて、たまには料理でもしてみようかな。
社外での打ち合わせが予定より早く終わり、珍しく明るいうちに帰宅してきたみさをは上機嫌だった。手には近くのコンビニで買ったホットコーヒーを持っている。
エントランスのドアをくぐる直前、目の端に白いものが映った気がして振り向いた。
だが、何もない。
気のせいかと思ったが、それでも気になって、もう一度外に出て様子を伺うと、植え込みの隙間にふわふわの白い物体が揺れているのが見えた。
ウサギ? ……なわけないか。
じっと凝視していると、ウサギではなくモコモコしたカーディガンを着た若い女の子が姿を現した。年は十代後半だろうか、冬だというのにショートパンツ姿だ。若者は寒さを感じないのだろうかと疑問は持ったが、怪しい人物ではなさそうだったので、そのまま中に入った。
ここの住人の子供か、その友達だろう。
部屋に入るとキキはまだ帰っておらず、室内の空気も冷たかった。
今日は大学に行く日だったかな?
暖房が効くまでの間、コーヒーをすすって冷え切った体を温めた。
しばらくするとインターホンが鳴り、モニターを確認すると、驚いたことにそこに映っていたのはさっきウサギと見間違えた女の子だった。
「はい」と通話ボタンを押す。
「あの……阿倍野先輩いますか?」緊張した声が返ってきた。
あべのせんぱい? ああ、キキのことか。理解するまでに少し時間がかかった。なんだキキの友達だったのか。
「えっと、今はいないんだけど」
「そうですか」
女の子は心底がっかりした表情になり、こちらが悪いことをしたような気持ちになってしまう。
「それじゃ」
通話を切ろうとすると、「ひゃっ!!」と女の子が一瞬モニターから消え、短い悲鳴のような声が聞こえた。
「どうしたの?」
再びモニターに映った女の子の顔はひどく怯えていて、ただ事ではない様子だ。
「すいません。なんか知らない男の人がこっちを見てて、後をつけられていたのかも……」
女の子の声は震えている。
「えっ!?」
大変だ。痴漢? それともストーカーだろうか?
「助けてもらえませんか?」
「うん、早く中に入りな。今そっちに行くから」
みさをはすぐにオートロックを解除した。扉の内側に入ればひとまず安全だ。しかし鍵を持っていなくても、他の住人が出入りする時に一緒に入ることは出来る。
玄関でサンダルをひっかけると、何も持たずに一階へと急いだ。
社外での打ち合わせが予定より早く終わり、珍しく明るいうちに帰宅してきたみさをは上機嫌だった。手には近くのコンビニで買ったホットコーヒーを持っている。
エントランスのドアをくぐる直前、目の端に白いものが映った気がして振り向いた。
だが、何もない。
気のせいかと思ったが、それでも気になって、もう一度外に出て様子を伺うと、植え込みの隙間にふわふわの白い物体が揺れているのが見えた。
ウサギ? ……なわけないか。
じっと凝視していると、ウサギではなくモコモコしたカーディガンを着た若い女の子が姿を現した。年は十代後半だろうか、冬だというのにショートパンツ姿だ。若者は寒さを感じないのだろうかと疑問は持ったが、怪しい人物ではなさそうだったので、そのまま中に入った。
ここの住人の子供か、その友達だろう。
部屋に入るとキキはまだ帰っておらず、室内の空気も冷たかった。
今日は大学に行く日だったかな?
暖房が効くまでの間、コーヒーをすすって冷え切った体を温めた。
しばらくするとインターホンが鳴り、モニターを確認すると、驚いたことにそこに映っていたのはさっきウサギと見間違えた女の子だった。
「はい」と通話ボタンを押す。
「あの……阿倍野先輩いますか?」緊張した声が返ってきた。
あべのせんぱい? ああ、キキのことか。理解するまでに少し時間がかかった。なんだキキの友達だったのか。
「えっと、今はいないんだけど」
「そうですか」
女の子は心底がっかりした表情になり、こちらが悪いことをしたような気持ちになってしまう。
「それじゃ」
通話を切ろうとすると、「ひゃっ!!」と女の子が一瞬モニターから消え、短い悲鳴のような声が聞こえた。
「どうしたの?」
再びモニターに映った女の子の顔はひどく怯えていて、ただ事ではない様子だ。
「すいません。なんか知らない男の人がこっちを見てて、後をつけられていたのかも……」
女の子の声は震えている。
「えっ!?」
大変だ。痴漢? それともストーカーだろうか?
「助けてもらえませんか?」
「うん、早く中に入りな。今そっちに行くから」
みさをはすぐにオートロックを解除した。扉の内側に入ればひとまず安全だ。しかし鍵を持っていなくても、他の住人が出入りする時に一緒に入ることは出来る。
玄関でサンダルをひっかけると、何も持たずに一階へと急いだ。
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