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第十章 運命の一夜
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しかし、朝起きると腕の中にみさをはいなかった。
テーブルには一冊の通帳と印鑑が置かれ、メモが添えられていた。
――約束を守れなくてゴメン。このお金は好きに使ってください。
メモには綺麗な字でそう書かれていた。
みさをは平森の所に行ったのだろう。冷静に考えてみれば、仕事も住むところも失ったのだから、金持ちの婚約者を頼るのは当たり前だ。
約束というのはたぶん、キキの卒業まで面倒をみるということ。それが守れなくなったというのは、これでお別れという意味なのだろう。
昨晩のことは、その罪ほろぼしのつもりか、それともキキがあまりに必死だったから同情したのか。どちらにせよ、最後まで子供扱いされていただけだったと分かり、ひどく虚しくなった。
「くそっ!」
ソファを思い切り蹴飛ばす。当然、重厚な本革のソファはびくともせず、逆に足の骨が折れたかと思うほどジーンと響いた。
それでもまだ気が済まず、目に入る物を全て破壊したい衝動に駆られたが、高価な食器も家具もみさをの物なので手を出せない。
仕方なくこの部屋で唯一自分の持ち物であるゲーム機を、思い切り床に叩きつけた。
テーブルには一冊の通帳と印鑑が置かれ、メモが添えられていた。
――約束を守れなくてゴメン。このお金は好きに使ってください。
メモには綺麗な字でそう書かれていた。
みさをは平森の所に行ったのだろう。冷静に考えてみれば、仕事も住むところも失ったのだから、金持ちの婚約者を頼るのは当たり前だ。
約束というのはたぶん、キキの卒業まで面倒をみるということ。それが守れなくなったというのは、これでお別れという意味なのだろう。
昨晩のことは、その罪ほろぼしのつもりか、それともキキがあまりに必死だったから同情したのか。どちらにせよ、最後まで子供扱いされていただけだったと分かり、ひどく虚しくなった。
「くそっ!」
ソファを思い切り蹴飛ばす。当然、重厚な本革のソファはびくともせず、逆に足の骨が折れたかと思うほどジーンと響いた。
それでもまだ気が済まず、目に入る物を全て破壊したい衝動に駆られたが、高価な食器も家具もみさをの物なので手を出せない。
仕方なくこの部屋で唯一自分の持ち物であるゲーム機を、思い切り床に叩きつけた。
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