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第十章 運命の一夜
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ようやく連絡がついたみさをは、勝俣をずっと探していたらしく、勝俣が来たことを伝えると飛んで帰ってきた。
「社長は?」
「もう帰ったよ。みさをさんに『おまえはクビだ。この部屋からも出て行け』ってさ」
「そう……」
勝俣の言葉を伝えると、みさをは脱力しその場にへたり込んだ。顔色は失われ、可哀想なほど疲れ切っている。よっぽど歩き回ったのか、かかとは擦りむけ血がにじんでいる。
「大丈夫?」
みさをの体を起こし椅子に座らせ、傷口に絆創膏を貼ってあげた。
「なんでこんなことに……」
頭を抱えるみさをを、ただ見ていることしか出来ない自分がもどかしかった。
その時、二人の間を邪魔するように、みさをの携帯が震えた。
「平森さんから。アンギスの人間だって隠していたのは悪かったけど、私と結婚したいのは嘘じゃないって。ちゃんと会って説明したいから、今から家に来てくれって」
みさをは受信したメッセージを読み上げると、すっと立ち上がった。
「まさか行くつもり?」
「だって、話を聞かないと……」
「だめだよ」
騙されやすいみさをのことだ。平森に会ったら、またうまく言いくるめられてしまうに決まっている。この期に及んでまだ結婚したいだと? どんなに金持ちで仕事が出来ても、嘘をついて近づいてくるような男がみさをを幸せにできるはずがない。
キキは行かせてなるものかという一心で、みさをの手を掴んで強く引き寄せた。すると小さく華奢な体が腕の中にすっぽりと収まる。
「俺、みさをさんのことが好きなんだ。どこにも行かないで」
自分でも可笑しくなるくらい芸のない台詞を吐いてしまった。
そして強引に唇と唇を重ねると、勢いでそのままソファに押し倒した。
横たわったみさをは何も言わずに、潤んだ瞳でキキを見上げている。たまらなくなって再び顔を近づけたが、この時はまだなけなしの理性は残っていた。みさをが少しでも嫌がったらすぐに体を離すつもりだったのだ。何があってもみさをを傷つけることはしたくない。
だが次の瞬間、みさをは抵抗するどころか、キキの首に手を回し自分から抱きついてきた。
ああ、ついに心が通じたのだ。不意に未来への扉が開いたような気がした。
キキは迷いを捨て、思いのたけをみさをにぶつけた。
そうしてようやく手に入れた宝物を失くさないように、しっかりと抱きしめて寝たはずだった。
「社長は?」
「もう帰ったよ。みさをさんに『おまえはクビだ。この部屋からも出て行け』ってさ」
「そう……」
勝俣の言葉を伝えると、みさをは脱力しその場にへたり込んだ。顔色は失われ、可哀想なほど疲れ切っている。よっぽど歩き回ったのか、かかとは擦りむけ血がにじんでいる。
「大丈夫?」
みさをの体を起こし椅子に座らせ、傷口に絆創膏を貼ってあげた。
「なんでこんなことに……」
頭を抱えるみさをを、ただ見ていることしか出来ない自分がもどかしかった。
その時、二人の間を邪魔するように、みさをの携帯が震えた。
「平森さんから。アンギスの人間だって隠していたのは悪かったけど、私と結婚したいのは嘘じゃないって。ちゃんと会って説明したいから、今から家に来てくれって」
みさをは受信したメッセージを読み上げると、すっと立ち上がった。
「まさか行くつもり?」
「だって、話を聞かないと……」
「だめだよ」
騙されやすいみさをのことだ。平森に会ったら、またうまく言いくるめられてしまうに決まっている。この期に及んでまだ結婚したいだと? どんなに金持ちで仕事が出来ても、嘘をついて近づいてくるような男がみさをを幸せにできるはずがない。
キキは行かせてなるものかという一心で、みさをの手を掴んで強く引き寄せた。すると小さく華奢な体が腕の中にすっぽりと収まる。
「俺、みさをさんのことが好きなんだ。どこにも行かないで」
自分でも可笑しくなるくらい芸のない台詞を吐いてしまった。
そして強引に唇と唇を重ねると、勢いでそのままソファに押し倒した。
横たわったみさをは何も言わずに、潤んだ瞳でキキを見上げている。たまらなくなって再び顔を近づけたが、この時はまだなけなしの理性は残っていた。みさをが少しでも嫌がったらすぐに体を離すつもりだったのだ。何があってもみさをを傷つけることはしたくない。
だが次の瞬間、みさをは抵抗するどころか、キキの首に手を回し自分から抱きついてきた。
ああ、ついに心が通じたのだ。不意に未来への扉が開いたような気がした。
キキは迷いを捨て、思いのたけをみさをにぶつけた。
そうしてようやく手に入れた宝物を失くさないように、しっかりと抱きしめて寝たはずだった。
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