借りてきたカレ

しじましろ

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第四章 おかしな同居

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「ただ周りから、急いで作ったからセキュリティは大丈夫なのかと心配されていてね」

 椎橋は少し顔を曇らせた。

「はい、それはブロックチェーンという技術を使ってですね……」

 勝俣は詳しい仕様は知らないので、みさをが代わりに説明しようとすると、「ああ、いい、いい」と椎橋は話を遮った。

「難しいこと聞いても分からないから、とにかくセキュリティだけはしっかり頼むよ」

「はい、承知しました」

 そんなに難しい話をするつもりはなかったのに、いきなりシャッターを下ろされてしまい、みさをは苦笑した。椎橋は一応ITの専門家ではないのか?

「ところで例のプロジェクトは進んでいるんですかね?」

 勝俣は椎橋の猪口ちょこに酒を注ぎながら、本題を切り出した。

「あれはまだ企画段階だから、業者の選定はだいぶ先だろうね」

「うちの技術をご活用いただければ、安全性が高く、コストも抑えられますんで……」

「うん、鵜飼うかいさんにはそう話しておくよ」

「ぜひお願いいたします」

 椎橋が鵜飼財務大臣の名前を出したので、勝俣は満足気な顔で深々と頭を下げた。

 仕事の話をしたのはここまでで、後はただの飲み会だった。

 椎橋の連れだという、ケバケバしい服装の女性たちが合流してきて、あっという間に座敷はどんちゃん騒ぎとなった。

 そんな場に馴染めるはずもなく、うろうろするばかりのみさをを助けてくれたのは弓削だった。

 日本酒が飲めないみさをのためにビールを注文してくれたり、やたら体に触れようとする椎橋との間に入ってくれたりした。

 みさをは初めて弓削が居てくれて良かったと思ったのだった。
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