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3章 一人のオメガと一人のアルファ
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三人で朝食を摂ったあとは、午前七時には颯真と別れて、江上とともに社用車に乗り込んだ。
二月に入り、だんだんと陽が昇る時間が早くなってきている。
「おはようございます」
潤が後部座席に入ると、なじみの運転手がドアを開けつつ挨拶をしてくれる。潤もそれに応えるのがいつものスタイル。
尚紀という番を得てからは、潤が指示した時だけ一緒に社用車に乗る江上も、今日は続いて後部座席に乗り込んできた。
朝のうちに詰めておきたいことがいくつかあったためだ。
レクサスがゆっくりとマンションのエントランスを離れる。車内では、今日のスケジュールの確認から始まり、午前中に早急に進めておいて欲しい業務案件などの情報を交換する。
互いを知り尽くした、最小限の会話で成される、手早くテンポのあるやりとりは十分ほどで終わった。
しばらく車内が静かでゆったりとした雰囲気になる。
潤は座席のシートに身を預けて、車窓を眺めた。日が昇り、街がきらきらとした陽の光に照らされている。
こんなに世界はきれいだっただろうかと潤は思う。いつもは何気なく見逃していることかもしれないが、感受性が豊かになっているのか、今は自分がいるこの世界のいろいろなものが愛おしく、眩しく見える。
ふと、車窓からビルの屋上に設置された巨大な広告が視界に入った。
今は演技派女優が、そつのない笑顔を振りまいているキャッシュカードの広告だが、いつだったか幹線道路を走る車に向けて設置されたその場所に、尚紀がモデルをつとめるパフュームシャンプーの広告が掲載されたことがあった。それを見て潤は「ナオキ」というモデルを認識したのであった。
「遠慮なく俺と尚紀を頼って欲しい。これは尚紀も同じ考えなんだ」
潤の脳裏に先程のやりとりが蘇る。さっきはどうもアルファ二人に巧く丸め込まれてしまった気がした。
たしかに、江上と尚紀が結ばれるには、ペア・ボンド療法という最先端の治療法と、それを繋ぐ颯真の存在は不可欠だった。
自分はともかくとして、二人は颯真に対して借りがあると思うのは理解できる……。
「社長?」
よほどぼうっとしていたらしい。江上に呼び止められて、潤は我に返った。
「あ、ごめん」
「いえ。今日はあまり無理をなさらない方が……」
やはり江上の目から見ても自分は普通には映らないらしいと内心で苦笑した。
「ううん、大丈夫。今朝はちょっと感覚が敏感になってるみたいだけど、会社に着けばスイッチも入るし問題ないよ」
自分の恋心が実ったからと言って仕事を休む訳にはいかない。むしろ、ますます頑張らねばならない立場だ。
いや、なんだその理屈、と潤は一人で苦笑したところで、ジャケットの内ポケットに収めていたスマホが揺れた。
メッセージの着信だ。誰だろうと、江上に断ってスマホを取り出すと、意外な人物からだった。
松也だ。
正直あの一件で完全に関係性は絶たれたと思っていたが、彼のなかではそうではなかったらしい。
それでも、ロック画面に表示されたメッセージは、いつもの感じではなかった。
「先日のことは申し訳なかったと思っている」
一言。言い訳もなく、ただ謝罪のみのようだ。
彼らしさを感じるなと潤は思った。
これを颯真や江上に見せると火に油を注ぎかねないと、通知を消去して、そのままスマホを元の場所に戻した。
再び、きらきらの街並みが流れる車窓に目を向ける。
もしかしたら、少し動揺しているのかもしれない。
でも、上から目線で、一歩引いた感じの謝罪は、どこか彼らしいもののように思えた。
普通はこのようなメッセージが来たら怒りを覚えるのだろうが、そんな気持ちも起こらなかったのが、却って潤自身を戸惑わせていた。どうも潤のなかでは松也とは、「そういう人」であると定まってしまっているようだ。
それに、松也の一件は、全ての蓋を開けてみればどこか滑稽な展開でもあった。
最終的に、松也は潤と颯真が気持ちを通わせるきっかけを作ってしまったし、全く彼の望んだ方向にはならなかった。
そもそも松也は先の発情期で颯真が潤を抱いたことを両親に伝えると脅してきたが、両親はすでに颯真の本音を承知していたし、颯真自身も近く両親に番う許可を得るために話す機会を設けると言っているのだから、彼の脅迫は結果として全く脅しにもならないものだった。
そう考えると、松也の行為はあまりに愚かで、どこかもの悲しさも漂う。
もちろん、松也に媚薬を盛られ、無理矢理抱かれそうになったことは忘れたわけではないし、忘れられるものでもない。
まだまだ、傷口は生々しく、結果的に颯真と結ばれたにしても、彼の侮辱をそうですかと簡単に流すことはできない。おそらく、番となる潤を弄ばれた形になった颯真も同様だろうと思う。
そんな複雑な気持ちがあって、メッセージの内容は把握したものの、返信はおろか既読も付けなかったのだ。
「社長?」
再び江上に呼ばれて我に返る。
「あ、ごめん。なに?」
「いえ。広報部から社長インタビューの取材申し込みが来ているそうなのですが……」
急速に意識が現実に返る。
江上が手帳を片手に潤に話かけてきている。
この時期に? と少し違和感を覚えたが、ここまで話が来ているということは問題はないのだろうと判断する。
「うん。わかった。スケジュールの調整をよろしく」
会社としては基本的にメディアの取材申し込みは受けるという姿勢だ。
森生メディカルが社会保障制度の枠組みのなかでビジネスを展開している以上、最低限の透明性というのは社会から求められると考えているためだ。
それはもちろん社長も同様で、よほどの事情がない限り、潤も個別インタビューなどの取材は受けるようにしている。当然、それ以前に広報部や秘書室で選別が行われているのだろうが。
潤が違和感を覚えたのは時期だ。企業トップにインタビューするにしては二月は中途半端な時期だと思ったのだ。年度の区切りや決算後などならば分かるのだが……。
「あ。で、相手は?」
潤がついでのように問うと、江上が苦笑する。
「社長、普通は順番が逆です」
普通は相手を聞いてから、取材を受けるか受けないか判断するものだと言いたいのだろう。
「ええっと、広報部から連絡が来ているのは、東都新聞社の……東京本社の方ですね。社会部の……西宮浩一記者」
東都新聞は中央五紙の中で四番目の規模を誇る。
「へえ、社会部……。珍しいね」
「ええ。広報部でもそこが引っかかっているようで、諾否の判断を求められました」
基本的に森生メディカルに取材を申し込んでくるのは、限定された部門の記者が多い。中央紙であれば、例えば経営や事業に関することならば経済部、製品情報にあたる医薬品そのものや医療環境に近い話ならば科学部や医療チームの記者が多く、自然と窓口となる広報部のスタッフとは顔なじみになる。
潤自身も片桐をはじめとしてよく顔を合わせる記者とは顔見知りになるが、社会部の記者とはあまり付き合いがない。
「基本的に取材は受けるという方針に変更はありませんが、時期が時期ですし、広報部でも秘書室でも把握していない方でしたので」
そんな人物がいきなり社長インタビューか、と部下が一斉に身構えるのも分かる気がする。
「そうだね。でも、調べたんでしょ」
潤の指摘に、江上はあっさりと、はいと頷く。
「少し調べました。西宮記者はやはりあまり医療関係での記事は書かれていないようですね。最近はオメガの人権運動に熱心に取り組んでいるようです」
「人権運動……」
少し嫌な予感もする。
「ただ、まだその分野での取材記事はほとんどなく、ここ最近の署名記事を見る限りでは、こう申しては失礼ですが特段大きな記事というのはありませんでした。正直、なぜ社長にインタビューを申し込んでくるのか……」
「取材の目的はなんて聞いてる?」
「フェロモン抑制剤と促進剤の進化を踏まえた、今後の事業展望について」
潤は唸った。
「……ペア・ボンド療法について何か掴んでるのかな」
江上も首を傾げる。
「そこまでは、なんとも。……となると、具体的な質問項目を出してもらってから、判断したほうが良さそうですね」
「そうだね。今後を考えると袖にもできないけど、微妙な時期だから」
「承知しました」
江上は一礼した。
二月に入り、だんだんと陽が昇る時間が早くなってきている。
「おはようございます」
潤が後部座席に入ると、なじみの運転手がドアを開けつつ挨拶をしてくれる。潤もそれに応えるのがいつものスタイル。
尚紀という番を得てからは、潤が指示した時だけ一緒に社用車に乗る江上も、今日は続いて後部座席に乗り込んできた。
朝のうちに詰めておきたいことがいくつかあったためだ。
レクサスがゆっくりとマンションのエントランスを離れる。車内では、今日のスケジュールの確認から始まり、午前中に早急に進めておいて欲しい業務案件などの情報を交換する。
互いを知り尽くした、最小限の会話で成される、手早くテンポのあるやりとりは十分ほどで終わった。
しばらく車内が静かでゆったりとした雰囲気になる。
潤は座席のシートに身を預けて、車窓を眺めた。日が昇り、街がきらきらとした陽の光に照らされている。
こんなに世界はきれいだっただろうかと潤は思う。いつもは何気なく見逃していることかもしれないが、感受性が豊かになっているのか、今は自分がいるこの世界のいろいろなものが愛おしく、眩しく見える。
ふと、車窓からビルの屋上に設置された巨大な広告が視界に入った。
今は演技派女優が、そつのない笑顔を振りまいているキャッシュカードの広告だが、いつだったか幹線道路を走る車に向けて設置されたその場所に、尚紀がモデルをつとめるパフュームシャンプーの広告が掲載されたことがあった。それを見て潤は「ナオキ」というモデルを認識したのであった。
「遠慮なく俺と尚紀を頼って欲しい。これは尚紀も同じ考えなんだ」
潤の脳裏に先程のやりとりが蘇る。さっきはどうもアルファ二人に巧く丸め込まれてしまった気がした。
たしかに、江上と尚紀が結ばれるには、ペア・ボンド療法という最先端の治療法と、それを繋ぐ颯真の存在は不可欠だった。
自分はともかくとして、二人は颯真に対して借りがあると思うのは理解できる……。
「社長?」
よほどぼうっとしていたらしい。江上に呼び止められて、潤は我に返った。
「あ、ごめん」
「いえ。今日はあまり無理をなさらない方が……」
やはり江上の目から見ても自分は普通には映らないらしいと内心で苦笑した。
「ううん、大丈夫。今朝はちょっと感覚が敏感になってるみたいだけど、会社に着けばスイッチも入るし問題ないよ」
自分の恋心が実ったからと言って仕事を休む訳にはいかない。むしろ、ますます頑張らねばならない立場だ。
いや、なんだその理屈、と潤は一人で苦笑したところで、ジャケットの内ポケットに収めていたスマホが揺れた。
メッセージの着信だ。誰だろうと、江上に断ってスマホを取り出すと、意外な人物からだった。
松也だ。
正直あの一件で完全に関係性は絶たれたと思っていたが、彼のなかではそうではなかったらしい。
それでも、ロック画面に表示されたメッセージは、いつもの感じではなかった。
「先日のことは申し訳なかったと思っている」
一言。言い訳もなく、ただ謝罪のみのようだ。
彼らしさを感じるなと潤は思った。
これを颯真や江上に見せると火に油を注ぎかねないと、通知を消去して、そのままスマホを元の場所に戻した。
再び、きらきらの街並みが流れる車窓に目を向ける。
もしかしたら、少し動揺しているのかもしれない。
でも、上から目線で、一歩引いた感じの謝罪は、どこか彼らしいもののように思えた。
普通はこのようなメッセージが来たら怒りを覚えるのだろうが、そんな気持ちも起こらなかったのが、却って潤自身を戸惑わせていた。どうも潤のなかでは松也とは、「そういう人」であると定まってしまっているようだ。
それに、松也の一件は、全ての蓋を開けてみればどこか滑稽な展開でもあった。
最終的に、松也は潤と颯真が気持ちを通わせるきっかけを作ってしまったし、全く彼の望んだ方向にはならなかった。
そもそも松也は先の発情期で颯真が潤を抱いたことを両親に伝えると脅してきたが、両親はすでに颯真の本音を承知していたし、颯真自身も近く両親に番う許可を得るために話す機会を設けると言っているのだから、彼の脅迫は結果として全く脅しにもならないものだった。
そう考えると、松也の行為はあまりに愚かで、どこかもの悲しさも漂う。
もちろん、松也に媚薬を盛られ、無理矢理抱かれそうになったことは忘れたわけではないし、忘れられるものでもない。
まだまだ、傷口は生々しく、結果的に颯真と結ばれたにしても、彼の侮辱をそうですかと簡単に流すことはできない。おそらく、番となる潤を弄ばれた形になった颯真も同様だろうと思う。
そんな複雑な気持ちがあって、メッセージの内容は把握したものの、返信はおろか既読も付けなかったのだ。
「社長?」
再び江上に呼ばれて我に返る。
「あ、ごめん。なに?」
「いえ。広報部から社長インタビューの取材申し込みが来ているそうなのですが……」
急速に意識が現実に返る。
江上が手帳を片手に潤に話かけてきている。
この時期に? と少し違和感を覚えたが、ここまで話が来ているということは問題はないのだろうと判断する。
「うん。わかった。スケジュールの調整をよろしく」
会社としては基本的にメディアの取材申し込みは受けるという姿勢だ。
森生メディカルが社会保障制度の枠組みのなかでビジネスを展開している以上、最低限の透明性というのは社会から求められると考えているためだ。
それはもちろん社長も同様で、よほどの事情がない限り、潤も個別インタビューなどの取材は受けるようにしている。当然、それ以前に広報部や秘書室で選別が行われているのだろうが。
潤が違和感を覚えたのは時期だ。企業トップにインタビューするにしては二月は中途半端な時期だと思ったのだ。年度の区切りや決算後などならば分かるのだが……。
「あ。で、相手は?」
潤がついでのように問うと、江上が苦笑する。
「社長、普通は順番が逆です」
普通は相手を聞いてから、取材を受けるか受けないか判断するものだと言いたいのだろう。
「ええっと、広報部から連絡が来ているのは、東都新聞社の……東京本社の方ですね。社会部の……西宮浩一記者」
東都新聞は中央五紙の中で四番目の規模を誇る。
「へえ、社会部……。珍しいね」
「ええ。広報部でもそこが引っかかっているようで、諾否の判断を求められました」
基本的に森生メディカルに取材を申し込んでくるのは、限定された部門の記者が多い。中央紙であれば、例えば経営や事業に関することならば経済部、製品情報にあたる医薬品そのものや医療環境に近い話ならば科学部や医療チームの記者が多く、自然と窓口となる広報部のスタッフとは顔なじみになる。
潤自身も片桐をはじめとしてよく顔を合わせる記者とは顔見知りになるが、社会部の記者とはあまり付き合いがない。
「基本的に取材は受けるという方針に変更はありませんが、時期が時期ですし、広報部でも秘書室でも把握していない方でしたので」
そんな人物がいきなり社長インタビューか、と部下が一斉に身構えるのも分かる気がする。
「そうだね。でも、調べたんでしょ」
潤の指摘に、江上はあっさりと、はいと頷く。
「少し調べました。西宮記者はやはりあまり医療関係での記事は書かれていないようですね。最近はオメガの人権運動に熱心に取り組んでいるようです」
「人権運動……」
少し嫌な予感もする。
「ただ、まだその分野での取材記事はほとんどなく、ここ最近の署名記事を見る限りでは、こう申しては失礼ですが特段大きな記事というのはありませんでした。正直、なぜ社長にインタビューを申し込んでくるのか……」
「取材の目的はなんて聞いてる?」
「フェロモン抑制剤と促進剤の進化を踏まえた、今後の事業展望について」
潤は唸った。
「……ペア・ボンド療法について何か掴んでるのかな」
江上も首を傾げる。
「そこまでは、なんとも。……となると、具体的な質問項目を出してもらってから、判断したほうが良さそうですね」
「そうだね。今後を考えると袖にもできないけど、微妙な時期だから」
「承知しました」
江上は一礼した。
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