何するでもなく終わっていく1日をただ僕等は愛しいと思った

四カ月

「いち……にい、さん、よん……」


親指から薬指まで、指を四本折った所で手を止める


「四カ月かあ……」


自分の細い指を見ては、手を " ぐー、ぱー "しながら

" 本当に死んじゃうのかな ''

なんて呟き、目のずっと奥の方で涙を感じたが、それはあまりに薄過ぎてすぐに消えた

ついさっきまで、幼馴染である水樹がここに来ていた

腰掛けていたパイプ椅子には、まだ温かいぬくもりが残っている

自分と３つ離れた可愛いこども。

いつの間にあんなに大きくなったんだっけ、背は高いけどちょっと細めだから時々心配になる

僕が今19じゅうくだから……水樹は16かぁ……、
来年は17じゅうしち
僕は２０はたち
……お酒飲めるかな、誕生日が四月だからギリギリ……？
それとももう弱り切ってそれどころじゃないかな

いつか一緒にお酒飲もうなんて話したけど、それは無理だなー……

あれ、それっていつの事だっけ？
僕が入院する前だから小学校くらい……？

小学校、懐かしいな

タイムカプセル埋めたりしたっけ
まあ、掘り返す前に死んじゃいそうだけど。


「うん、まあでも人生短かったけど楽しかったかな。唯一の心残りは母さんくらいかなぁ……」


ふと、水樹の顔が脳裏に浮かんだ


「……」


どうかこの気持ちが水樹にバレませんように。


「最後くらいは綺麗に散りたいよね」


明るい声を出したつもりが、実際に出たのは掠かすれて震えた、嗚咽混じりの声だった