オケ！うまずたゆまずちんたらと

2章

出生の秘密

あれから数日が経ち、カンから出発の準備が整ったと報告を受けた。
「父からクレア様の準備が整い次第出発の要請がありました。殿下とマチルダさん、私の荷物は積み終わってますし船員も配置済みです」
「迎えに行った方がいいのか！？」
「そうですね。ですが、城の中をクレア様が歩くのはいかがなものかと……」
そうだよな。城のものはクレアの存在を知らない。あまり、よろしくないな。
あっ、
「カン、あの隠し通路は市井に繋がっているとジニーに聞いたぞ。
アシェルたちはそこからお忍びで、出かけてたらしい」
「それで行きましょう。では、クレア様の元へ迎えに行きましょうか。荷物も運ばなければなりませんし」
と、向かおうとしたらクレアが
「大丈夫。私はここにいますヨォ～」
後ろを振り返ると、可愛く手を振るクレアがいた。
「さ、出発！！」と、扉を指差す。
うん。いつものクレアだな。
「だが、道がわからん」
「大丈夫。私がわかってる」
「私は、マチルダさんを迎えに行って合流しますよ。出発すること父にも伝えなければ」
「それも大丈夫。今、アンドリューとリアムのところから来たのよ。荷物も大丈夫！」
準備が良すぎるぞ。クレア。
「では、港で合流しましょう。殿下。クレア様」
と、行ってしまった。
「クレア、行こうか。ついたら、マチルダ紹介するな。秘密は守れよ」
「わかってるよ。大丈夫。クレアは口硬いもんネェ～」
こちらも観光気分か！？
ま、暗い旅よりはマシか！
アン、ソフィーパパは頑張るぞぉ～！！

クレアと隠し通路を通り、一軒の家に着いた。ここから市井に出れるのか！？
家の中は埃だらけで人が住んでる気配はない。
外に出ると暗い路地裏に出た。
「こっち」
とクレアに手を引かれ路地裏を走る。
少し嫌な気配を感じたが、走り抜けたので追っかけてくることはなかった。
治安の悪い地区なのだろうなぁ。
開けた道に出たので俺でもわかる。
あちらに港が見えている。
すると、道沿いに出ている屋台に向かって行こうとするクレア。
臭いに釣られて、鼻をクンクンと動かしている。仕方ない。俺も食べたいし買って食いながら向かおう。
「オヤジ、串４本くれ」
カンとマチルダにもお土産だ。
「８本くれ、オヤジ！」
クレア、ヨダレタレすぎ。
串を受け取り満足気に食いつきながら、港までの道をゆっくり歩く。
串は危ないからな。
ソフィーには、歩きながら食べさすなんて真似は絶対しないぞ！

ようやく、港に辿り着き、先に着いていたカンとマチルダに合流。
右手を挙げてヨッとあいさつをするクレア。
そのまま、船を探索しに行った。
「ハリー、今の子は！？」
「クレアだ。旅の仲間だ」
「聞いてないわ。どんな子なの！？
信用できる！？」
「無礼な。クレア様は、高貴なお方だぞ」
はぁ、カン、バレたらどうするんだ。
クレアに口止めした時一緒にいたよな。
早々にバレそうだ。なんて誤魔化そうか……
「どういうことなの、ハリー」
「カンに説明させるよ。
カン、お前が説明しとけ！！」
と少し不機嫌に言い、俺も船に乗る。
「で、殿下！」
と、カンが、呼んでいるが知らん。
船に乗ると丸テーブルにクレアが待っていた。
「部屋がいっぱいあるね。部屋割りはどうするの！？」
「まだ、決まってないな。2人が来たら決めようか」
2人もやってきて、いざ出発。
船員が挨拶にやってきて、左前の扉に消えていった。
無事、出航のようだ。船が動き出した。

「部屋割りは！？」
クレアが聞く。
「正面の部屋は殿下に、使ってもらおうと荷物も運んであります。その右隣がクレア様。その隣が私です。
クレア様の正面の部屋にマチルダさんです」
「えぇ～、2段ベットで寝たかったなぁ～」
わがままをいうクレア。
「ま、おいおい自分で好きなようにやればいいんじゃないか！？」
「そうする～」とクレアは喜んでいた。





　第二章　　　　　　完





皆様、そろそろ梅雨に入っている地域もちらほらと。
やっとのことでハリーのお話書き終えました。
主人公より長かったのでは！？と思います。

次章からは少しゆったりめの更新となるかと思います。よろしくお願いしますm(_ _)m