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3章
竜王国
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あの後はのんびりと船旅ができた。
もう、竜王国の、バードスーク港が見えて来た。
ヴィのいる、辺境伯領だ。
鳩便の連絡で迎えのものが港にいるとのことだった。
楽しみだ。早く会いたいものだ。
クレアにも早く会わせてあげたい。
港に降り立つと、ヴィと俺を育ててくれた乳母が迎えにきていた。
感動の再会…とは行かず
やれ、連絡がないだの、傷を作りすぎだの妹に結婚の祝いもないだのとお小言の応酬を受けながらヴィの元へと急ぐ。
港から、辺境伯邸までは馬車で2日ほどかかるらしくその道中、護衛騎士達はよく働いてくれた。
俺はほとんど馬車の中で、延々乳母と近況報告をさせられていた。
俺のことをあらかた話し終わり、俺は今回の旅の目的地である先王の屋敷に、ヴィを連れて行きたいと、乳母に話す。
乳母は、少し困ったように
「今は、難しいかもしれません」
と難色を示した。
とにかく、ヴィに会ってからと言うのでその話は着いてからだな。
辺境伯邸に着くと、屋敷の前に辺境伯本人が出迎えに出て来ていた。
その後ろを見るが、使用人がいるもののヴィの姿はない。
少し残念な気持ちになりながらも、辺境伯への挨拶をした。
「初めまして、辺境伯殿。
ヴィの兄、ハロルドです。お世話になります」
「ようこそおいてくださいました。
この地の領主をしております。
ゴードンと申します。
義兄上と呼ばせていただいてもよろしいですか!?」
「あぁ、よろしく。ところでヴィは!?」
「妻は、体調が思わしくなく部屋にて、養生しております。後ほど案内させますのでまずは、旅の疲れを癒してください」
「体調が悪いのか!?どこが悪いのだ!?」
竜人は、体を壊すことなどあまりない。
強い種族なのに、ヴィに何があったのか。
オロオロしていると後ろから
「落ち着いてくださいませ。ハロルド様。
お見苦しい!!病気ではございません」
乳母強し!
ゴードン横でハハ‥と苦笑いだ。
ゴードンも乳母には頭が上がらないようで、いつも怒られているそうだ。
使用人の前ではやめてほしいと願うも、そんな様子を傍で見守る使用人は微笑ましく見守っている。
ヴィは穏やかに過ごせているのだろう。
少し安心した。
俺は客間に通され、一息ついてから辺境伯との晩餐を楽しみ、サロンでお茶を飲みながら雑談をしていた。
そんな席にもヴィは現れない。
カンは、辺境伯との話に盛り上がっている。
俺はソワソワと落ち着かない。
そんな俺の様子を見かねて辺境伯が、話を振って来た。
「義兄上殿、明日からのご予定を聞いてもよろしいですか!?」
「あ、あぁ。
当初の予定では、ヴィと共に先王の元を尋ねたいと思っていた。が、ヴィの体調を考えると俺だけで行って来た方がいいな」
「では、先王様にこちらに来ていただければよろしいのではないでしょうか!?」
「いや、それでは意味がないのだ」
「意味がないとは!?」
「すまぬ。こちらに世話になっておいてなんなのだか俺はゴードン殿とは今日が初対面。我れらのことをどこまで説明したものか‥‥」
と思考の海に埋もれていく。
「ハロルド様、ヴィクトリア様と先にお話しをしてからでもよろしいのではないかと、ゴードン殿、こちらの事情とはいえ申し訳ないのだが」
「そうですね。明日、ヴィクトリアとお話しができるようなら案内させます」
と、快く引いてくれた。
もう、竜王国の、バードスーク港が見えて来た。
ヴィのいる、辺境伯領だ。
鳩便の連絡で迎えのものが港にいるとのことだった。
楽しみだ。早く会いたいものだ。
クレアにも早く会わせてあげたい。
港に降り立つと、ヴィと俺を育ててくれた乳母が迎えにきていた。
感動の再会…とは行かず
やれ、連絡がないだの、傷を作りすぎだの妹に結婚の祝いもないだのとお小言の応酬を受けながらヴィの元へと急ぐ。
港から、辺境伯邸までは馬車で2日ほどかかるらしくその道中、護衛騎士達はよく働いてくれた。
俺はほとんど馬車の中で、延々乳母と近況報告をさせられていた。
俺のことをあらかた話し終わり、俺は今回の旅の目的地である先王の屋敷に、ヴィを連れて行きたいと、乳母に話す。
乳母は、少し困ったように
「今は、難しいかもしれません」
と難色を示した。
とにかく、ヴィに会ってからと言うのでその話は着いてからだな。
辺境伯邸に着くと、屋敷の前に辺境伯本人が出迎えに出て来ていた。
その後ろを見るが、使用人がいるもののヴィの姿はない。
少し残念な気持ちになりながらも、辺境伯への挨拶をした。
「初めまして、辺境伯殿。
ヴィの兄、ハロルドです。お世話になります」
「ようこそおいてくださいました。
この地の領主をしております。
ゴードンと申します。
義兄上と呼ばせていただいてもよろしいですか!?」
「あぁ、よろしく。ところでヴィは!?」
「妻は、体調が思わしくなく部屋にて、養生しております。後ほど案内させますのでまずは、旅の疲れを癒してください」
「体調が悪いのか!?どこが悪いのだ!?」
竜人は、体を壊すことなどあまりない。
強い種族なのに、ヴィに何があったのか。
オロオロしていると後ろから
「落ち着いてくださいませ。ハロルド様。
お見苦しい!!病気ではございません」
乳母強し!
ゴードン横でハハ‥と苦笑いだ。
ゴードンも乳母には頭が上がらないようで、いつも怒られているそうだ。
使用人の前ではやめてほしいと願うも、そんな様子を傍で見守る使用人は微笑ましく見守っている。
ヴィは穏やかに過ごせているのだろう。
少し安心した。
俺は客間に通され、一息ついてから辺境伯との晩餐を楽しみ、サロンでお茶を飲みながら雑談をしていた。
そんな席にもヴィは現れない。
カンは、辺境伯との話に盛り上がっている。
俺はソワソワと落ち着かない。
そんな俺の様子を見かねて辺境伯が、話を振って来た。
「義兄上殿、明日からのご予定を聞いてもよろしいですか!?」
「あ、あぁ。
当初の予定では、ヴィと共に先王の元を尋ねたいと思っていた。が、ヴィの体調を考えると俺だけで行って来た方がいいな」
「では、先王様にこちらに来ていただければよろしいのではないでしょうか!?」
「いや、それでは意味がないのだ」
「意味がないとは!?」
「すまぬ。こちらに世話になっておいてなんなのだか俺はゴードン殿とは今日が初対面。我れらのことをどこまで説明したものか‥‥」
と思考の海に埋もれていく。
「ハロルド様、ヴィクトリア様と先にお話しをしてからでもよろしいのではないかと、ゴードン殿、こちらの事情とはいえ申し訳ないのだが」
「そうですね。明日、ヴィクトリアとお話しができるようなら案内させます」
と、快く引いてくれた。
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