猫の気持ち 犬の気持ち 家族の絆

夢咲はるか

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第1話(4)

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「まず地球人さんの理由なのですが。実はそちらにいるマシマロさん――猫のご先祖様は、私たちの国の人間なのですよ」
「へっ? そうなんですか?」
「文献によりますと大昔、私たちの世界の気候が大きく変わった時代があるのですよ。そこで私たちの世界の人間のおよそ八割は、生き残るために環境が似ている地球という星に降り立ったそうです」

 ほ、ほう。そんなことが……。

「ですがすでに地球には先客――先住民がいて、大勢移住してしまうと不審がられてしまいます。そこでカモフラージュするために、もう一つの姿で生活するようになったそうです」
「な、なるほど……」
「そうして時を過ごしている間に私たちの世界も落ち着き、祖国に戻る人が出てきました。しかしおよそ半数は地球が気に入っていたため残り、引き続きそのままの姿で暮らし繁栄していきました。その結果次第に『もう一つの姿が本来の姿』となり、やがては『人の姿』の要素は退化して姿を行き来できなくなり、現代で『動物』と呼ばれる存在となったのです」

 例えば人間の水かきや尾てい骨など、歴史と共に退化してく要素は多々ある。なのでこの話は、すんなりと得心できた。

「次にどうして地球にある日本なのか? なのですが。これはシンプルで、私達のご先祖が最初に降り立った地域が日本だからです」
「あー、そうなんだ……。だから、この国なのか……」
「そしてなぜ、修助さんかと言いますと。正確には修助さん個人が選ばれたのではなくて、樹坂という家系が選ばれたんですよ」
「? どうして家系?」

 俺の家系は、特殊な家系ではない。なんで白羽の矢が立ったんだろう?

「演説者さんは必然的に、猫について理解や愛情がなければとても相手に勝つことができません。ですので日本に在住の方を調べた結果、樹坂家に決まりました」
「え? どうして、その結論に至るんですか……? 僕達以外にも、猫を愛している人はごまんといるはずですよ」

 それはネットやSNSを見れば、一目瞭然。心から可愛がっている人達が、山ほど存在しているぞ。

「確かに、そうなのですけどね。樹坂家の皆様は代々、捨てられてしまったり迷ってしまった猫のお世話をされています。特に修助さんのお婆様は、私財を投げうってお世話をされています。私たちが求めていたのは、こういった本当の『優しさ』を持っている方たちなのですよ」
「あ。そう、なんですね」

 ばあちゃんの家にはそういった猫が14匹、犬が10匹いて、ご近所さんの間では猫犬屋敷と呼ばれている。そしてそれらの費用は全て、じいちゃんが事業で成功して遺してくれたお金で賄っている。
 これに関して親戚の中には『遺産は自分達にくれよ』と愚痴ってる人がいるけど、僕は婆ちゃんの方針に大賛成。そういう苦労をした犬と猫には、せめて今からだけでも、幸せに生きて欲しいからね。
 ――という俺の感想は、さて置き。
 婆ちゃんだけではなく父さんと母さんも無類の猫犬好きで、僕が生まれる前から家には猫と犬がいたし、僕が物心ついてからは四匹の猫&犬と生活した。
 そして現在は、マシマロと、庭の犬小屋には雄の柴犬・レートがいる。マシマロはこの子が生まれたての頃からで、レートは生後半年くらいからの付き合いだ。

「では最後に、どうして一族の中で修助さんになったかと言いますとですね。これは大変言い難いのですが、一番心身とお時間に余裕があったからなんです」
「まあ両親と違って僕は夏休み中だし、八十歳のばあちゃんに無理はさせられないもんね。これは納得の動機です」

 父さんと母さんはばあちゃんの家で農業をしているし、ばあちゃんは先日少々腰を痛めた。それらを考慮をすると、どうしても僕になっちゃうよね。

「修介さん、ご説明は以上です。……突然押しかけて突然ご提案するのは無礼と重々承知ですが、あなたが適役なのです。修介さんが演説者となり勝利してくださった暁には猫缶1年分を差し上げますので、どうか務めてくださいませんか?」
「にゃー。うにゃー」

 やり取りを見ていたマシマロが、リリさんの足、僕の足の順に、スリスリしてくる。
 元々この子は優しい子だし、相手は同じ猫関係。この人を助けてあげたいようだ。
 ああちなみに、猫が身体を擦り付けてくるのは友好と信頼の証。もしされた場合はその子が貴方を気に入っている証なので、是非ナデナデしてあげてください。

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