8 / 34
第1章 心を惑わす新入社員
1.8.夜の街、熱い鼓動(2,202字)
しおりを挟む
店を出た瞬間、夜風が頬を撫でていった。トムヤムクンの余熱とビールの苦みが舌の奥にまだ残っていて、その余韻を冷ますように、風は心地よくもあり、どこか物足りなくもあった。
(あ、ヤバい。呑みすぎたな)
沙月の足元がふらりと揺れる。ヒールの音がアスファルトにかすかに響き、膝下を包むストッキングがひやりと風を通す。ほろ酔いの身体が軽くなったようで、頭の中もほんのり霞がかっている。
そのとき、絢斗の腕がすっと伸びて、沙月の腰に回された。
「え、絢斗くん……?」
スーツのジャケット越しに感じる彼の掌は熱を帯びていて、そのぬくもりに、沙月は小さく震えた。シャツの布地越しに当たる胸板の硬さと、シトラスの香りがすぐそばにある。それだけで、鼓動がひとつ、大きく跳ねた。
ドクン、ドクン。
彼の鼓動か、それとも自分の胸の音なのか。わからないほどに、近くて、熱い。
「沙月さん。もし、俺がちゃんと仕事で成果を出せたら……そのときは、俺にヤらせてくださいよ?」
耳元でささやかれたその声に、沙月の全身が一瞬で硬直した。
吐息が首筋にかかり、かすかなシトラスと混ざる熱が、肌を撫でていく。反射的に見上げると、街灯に照らされた絢斗の顔がすぐそこにあった。いたずらっぽく笑う唇。けれど、その奥の瞳は真剣だ。
「も、もう……絢斗くん、不謹慎すぎる」
とっさに返した言葉は、思ったより甘く、揺れていた。酔いのせいなのか、彼のせいなのか、自分でもわからない。唇の端が緩み、頬が熱を帯びる。否定したはずの言葉に、胸の奥では別の何かが疼いていた。
風が吹き抜け、沙月の髪がふわりと揺れる。汗に張りついたうなじがひやりとして、同時に絢斗の腕の中がいっそう熱を増したように感じた。彼の手はまだ腰にあり、そこから伝わる体温が、じわじわと彼女の五感を侵食していく。
(駄目だ。だいぶ酔ってる)
ふらつく身体を預けるようにして寄りかかると、彼の香りが一気に濃くなった。ビールと香水と汗が入り混じった匂いは、不思議と心を落ち着かせるどころか、むしろ騒がしくさせた。
(早く離れないといけないのに……どうして? 触れたいと思ってしまう)
胸の奥に、チリチリとした熱が走る。先ほど彼の一言が頭の中で何度もリフレインし、そのたびに、唇がかすかに震える。
――もし、俺がちゃんと仕事で成果を出せたら……そのときは、俺にヤらせてくださいよ?
とても職場のメンターにかけるとは思えない、不謹慎な言葉。
なのに――それが叶ったらどうなるかと、ありもしないことを想像してしまう。
絢斗が歩き出すと、彼女も自然とその隣を歩いた。腰に添えられた手はそのままで、肩に触れるたびに彼の鼓動が伝わってくる。街灯が二人の影を歩道に長く伸ばし、ビルの隙間から夜風がすり抜けていった。
握っていた彼の腕に、そっと指を絡める。柔らかく、でもたしかな力で彼のぬくもりを感じると、沙月の唇がわずかに開いた。舌に残る苦みが熱を伴って、じんわりと広がる。
心地よいはずの夜風も、もう冷たくはなかった。
*
電車の座席に深く腰を沈め、沙月は揺れる車内に身を任せた。
夜遅くの車内はまばらな乗客しかいなくて、窓の向こうに流れる街の光が、まるで夢の中の景色みたいにぼやけている。タイ料理の香りとビールの苦みがまだ舌にほのかに残り、酔いの余韻が沙月の身体をぽうっと温かく包んでいた。
ふと、先ほどの絢斗の声が耳元によみがえる。
――もし、俺がちゃんと仕事で成果を出せたら……そのときは、俺にヤらせてくださいよ?
思い出した瞬間、胸の奥がじくりと疼いた。
不謹慎だ。――なのに、頬が自然と熱を持つ。呼吸が少しだけ浅くなる。
(だめだめっ、何を思い出しているのよっ)
きゅっとバッグの持ち手を握りしめ、視線を膝の上に落とす。頭の中には、あのとき耳元にかかった絢斗の吐息と、シャツ越しに感じた彼の体温が、ありありと蘇っていた。
シャツからのぞいた日焼けした腕の筋、いたずらっぽく笑った唇。それなのに、瞳の奥にひそんでいた、真剣な光。
「……はあ」
静かに息を吐く。
酔いが覚めるどころか、ますます熱くなっていく自分の内側に、沙月は戸惑うばかりだった。
ふいに、もっと前の記憶まで浮かび上がる。
社内で絢斗に壁際に追い詰められた、あのとき――。
――俺、沙月さんがいいんです。
逃げられない距離で、まっすぐに向けられた視線。
シトラスの香りと、彼の汗ばむ熱気。
あのときも、沙月の心臓はどうしようもなく跳ねていた。
(待ってよ。しっかりしろ、私! 絢斗くんのことなんて、大嫌いだったはずでしょう?)
思い出すたびに胸の奥がじわりと熱を持ち、ストッキング越しの膝がそっと震える。
浅くなった呼吸を整えようと顔を上げると、目の前に広がったのは、夜に沈んだ窓ガラスだった。
そこに映る自分の顔を見て、沙月はハッとした。
頬が、真っ赤になっている。
耳の先まで、火照っていた。
慌てて目を逸らし、掌で頬を押さえる。けれど、冷めるどころか、ますます火照りは増していくばかりだった。
「……やだ、私、どうしちゃったの……」
誰に聞かせるでもない呟きが、電車の揺れに紛れて消えていった。
胸の奥にまだ残る彼の余韻が、静かに、沙月を支配していた。
(あ、ヤバい。呑みすぎたな)
沙月の足元がふらりと揺れる。ヒールの音がアスファルトにかすかに響き、膝下を包むストッキングがひやりと風を通す。ほろ酔いの身体が軽くなったようで、頭の中もほんのり霞がかっている。
そのとき、絢斗の腕がすっと伸びて、沙月の腰に回された。
「え、絢斗くん……?」
スーツのジャケット越しに感じる彼の掌は熱を帯びていて、そのぬくもりに、沙月は小さく震えた。シャツの布地越しに当たる胸板の硬さと、シトラスの香りがすぐそばにある。それだけで、鼓動がひとつ、大きく跳ねた。
ドクン、ドクン。
彼の鼓動か、それとも自分の胸の音なのか。わからないほどに、近くて、熱い。
「沙月さん。もし、俺がちゃんと仕事で成果を出せたら……そのときは、俺にヤらせてくださいよ?」
耳元でささやかれたその声に、沙月の全身が一瞬で硬直した。
吐息が首筋にかかり、かすかなシトラスと混ざる熱が、肌を撫でていく。反射的に見上げると、街灯に照らされた絢斗の顔がすぐそこにあった。いたずらっぽく笑う唇。けれど、その奥の瞳は真剣だ。
「も、もう……絢斗くん、不謹慎すぎる」
とっさに返した言葉は、思ったより甘く、揺れていた。酔いのせいなのか、彼のせいなのか、自分でもわからない。唇の端が緩み、頬が熱を帯びる。否定したはずの言葉に、胸の奥では別の何かが疼いていた。
風が吹き抜け、沙月の髪がふわりと揺れる。汗に張りついたうなじがひやりとして、同時に絢斗の腕の中がいっそう熱を増したように感じた。彼の手はまだ腰にあり、そこから伝わる体温が、じわじわと彼女の五感を侵食していく。
(駄目だ。だいぶ酔ってる)
ふらつく身体を預けるようにして寄りかかると、彼の香りが一気に濃くなった。ビールと香水と汗が入り混じった匂いは、不思議と心を落ち着かせるどころか、むしろ騒がしくさせた。
(早く離れないといけないのに……どうして? 触れたいと思ってしまう)
胸の奥に、チリチリとした熱が走る。先ほど彼の一言が頭の中で何度もリフレインし、そのたびに、唇がかすかに震える。
――もし、俺がちゃんと仕事で成果を出せたら……そのときは、俺にヤらせてくださいよ?
とても職場のメンターにかけるとは思えない、不謹慎な言葉。
なのに――それが叶ったらどうなるかと、ありもしないことを想像してしまう。
絢斗が歩き出すと、彼女も自然とその隣を歩いた。腰に添えられた手はそのままで、肩に触れるたびに彼の鼓動が伝わってくる。街灯が二人の影を歩道に長く伸ばし、ビルの隙間から夜風がすり抜けていった。
握っていた彼の腕に、そっと指を絡める。柔らかく、でもたしかな力で彼のぬくもりを感じると、沙月の唇がわずかに開いた。舌に残る苦みが熱を伴って、じんわりと広がる。
心地よいはずの夜風も、もう冷たくはなかった。
*
電車の座席に深く腰を沈め、沙月は揺れる車内に身を任せた。
夜遅くの車内はまばらな乗客しかいなくて、窓の向こうに流れる街の光が、まるで夢の中の景色みたいにぼやけている。タイ料理の香りとビールの苦みがまだ舌にほのかに残り、酔いの余韻が沙月の身体をぽうっと温かく包んでいた。
ふと、先ほどの絢斗の声が耳元によみがえる。
――もし、俺がちゃんと仕事で成果を出せたら……そのときは、俺にヤらせてくださいよ?
思い出した瞬間、胸の奥がじくりと疼いた。
不謹慎だ。――なのに、頬が自然と熱を持つ。呼吸が少しだけ浅くなる。
(だめだめっ、何を思い出しているのよっ)
きゅっとバッグの持ち手を握りしめ、視線を膝の上に落とす。頭の中には、あのとき耳元にかかった絢斗の吐息と、シャツ越しに感じた彼の体温が、ありありと蘇っていた。
シャツからのぞいた日焼けした腕の筋、いたずらっぽく笑った唇。それなのに、瞳の奥にひそんでいた、真剣な光。
「……はあ」
静かに息を吐く。
酔いが覚めるどころか、ますます熱くなっていく自分の内側に、沙月は戸惑うばかりだった。
ふいに、もっと前の記憶まで浮かび上がる。
社内で絢斗に壁際に追い詰められた、あのとき――。
――俺、沙月さんがいいんです。
逃げられない距離で、まっすぐに向けられた視線。
シトラスの香りと、彼の汗ばむ熱気。
あのときも、沙月の心臓はどうしようもなく跳ねていた。
(待ってよ。しっかりしろ、私! 絢斗くんのことなんて、大嫌いだったはずでしょう?)
思い出すたびに胸の奥がじわりと熱を持ち、ストッキング越しの膝がそっと震える。
浅くなった呼吸を整えようと顔を上げると、目の前に広がったのは、夜に沈んだ窓ガラスだった。
そこに映る自分の顔を見て、沙月はハッとした。
頬が、真っ赤になっている。
耳の先まで、火照っていた。
慌てて目を逸らし、掌で頬を押さえる。けれど、冷めるどころか、ますます火照りは増していくばかりだった。
「……やだ、私、どうしちゃったの……」
誰に聞かせるでもない呟きが、電車の揺れに紛れて消えていった。
胸の奥にまだ残る彼の余韻が、静かに、沙月を支配していた。
0
あなたにおすすめの小説
契約妻のはずが豹変した夫の激愛に浸されています
結祈みのり
恋愛
両親の不仲の影響で、恋愛や結婚に夢のない春華は、約二年前、実家のしがらみから逃れるために大手企業の御曹司・聡と結婚した。親からの結婚の催促にうんざりしていた彼は、同じく自由を求める春華に契約夫婦になろうと提案してきたのだ。お互いを縛らず、周囲に結婚相手を明らかにしない単なる同居人。そんな関係が続いていたある日、ひょんなことから後輩に告白された春華。それを知っても夫の態度はいつも通り――と思っていたら、なんだか独占欲めいたものに変わっていって……!?
あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜
瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。
まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。
息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。
あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。
夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……
夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。
完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす
小木楓
恋愛
完結しました✨
タグ&あらすじ変更しました。
略奪された大納言家の香子を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。
「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」
「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」
大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。
しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。
強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。
夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。
恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……?
「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」
逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。
それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。
「一生、私の腕の中で溺れていろ」
守るために壊し、愛するために縛る。
冷酷な仮面の下に隠された、
一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。
★最後は極上のハッピーエンドです。
※AI画像を使用しています。
エリート御曹司は傷心の彼女に溢れる深愛を甘く刻み込む
松本ユミ
恋愛
旧題:君に捧げる一途な愛~御曹司は傷ついた彼女を守りたい~
木下志乃は付き合っていた彼氏を妹に奪われた過去があり、恋愛に消極的になっていた。
ある日、志乃と同じ会社で働いている無口で堅物と言われている経理部課長の小笠原政宗と知り合う。
いろんな偶然が重なり、一緒に過ごす機会が増えた志乃と政宗。
次第に政宗のことが気になり始めるけど、元カレの裏切り行為に心に傷を負った志乃はどうしても一歩踏み出せずにいた。
そんな志乃を「誰よりも大切にする」と言って政宗は一途な愛で包み込み、二人の距離は縮まっていく。
だけど、ひょんなことから政宗がとある会社の御曹司だと知った志乃。
政宗本人からそのことを聞かされていない志乃はショックを受けてーーー。
大嫌い!って100回言ったら、死ぬほど好きに変わりそうな気持ちに気付いてよ…。
菊池まりな
恋愛
25歳の朱里は、同じ部署の先輩・嵩にずっと片想いをしていた。けれども不器用な朱里は、素直に「好き」と言えず、口から出るのはいつも「大嫌い」。彼女のツンデレな態度に最初は笑って受け流していた嵩も、次第に本気で嫌われていると思い込み、距離を置き始める。
そんな中、後輩の瑠奈が嵩に好意を寄せ、オープンに想いを伝えていく。朱里は心の奥で「私は本当は死ぬほど好きなのに」と叫びながらも、意地とプライドが邪魔をして一歩踏み出せない。
しかし、嵩の転勤が決まり、別れが迫ったとき、朱里はついに「大嫌い」と100回も繰り返した心の裏にある“本音”を告白する決意をする――。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
不遇な令嬢は次期組長の秘めたる溺愛に絡め取られる。
翼 うみ
恋愛
父の会社を立て直す交換条件のため、ほぼ家族に身売りされた形で関東最大級の極道・桜花組の次期組長に嫁入りしたジェシカ。しかし母を亡くして以降、義母と義妹に虐げられていたジェシカは実家を出られるなら、と前向きだった。夫となる和仁には「君を愛することはない」と冷たく突き放される。それでもジェシカは傷つくことはなく、自分にできることを探して楽しんでいた。
和仁には辛い過去がありそれ故に誰のことも愛さないと決めていたが、純真で健気なジェシカに段々と惹かれてゆき――。
政略結婚から始まる溺愛シンデレラストーリー。
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる