最強者のVRMMO活動記 ~トラブルに愛されるとあるプレイヤーのトラブルシューティング記~

火の無い灰

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10章「狩人たちの見る夢」

連盟の長、ヴァルトールと森に踊る梟の双狩人

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――――――

その狩人はヒビキと同じ青い官憲装束に顔の殆どを隠す鉄兜を被っており、僅かに見える髪色は骨が燃え尽きた後の灰の如き絶妙な暗い色だ。奇妙な武器――数枚の円盤状のノコギリと複雑な機構がちらりと見えたことから所謂《回転ノコギリ》だろう――を片手に持っている。外見上の年齢はデュラより若干年上かどうかに見え、体形はかなりがっちりしている。(流石に絵にかいたような筋骨隆々ではないが)

「……………………ほう?こんなところに何の用だ?」

かなり低い、不思議なカリスマ性も含んだ良く通る声音だ。

「あなたこそ、誰なんですか?」
「…………あぁ、これは失礼した。私はヴァルトールという者だ。一応、連盟長の地位についている」

ヒビキも名乗り返し、「連盟?」と聞くと暫くの沈黙の後、彼はこう答えた。

「血の淀みの源を潰して回る組織。…簡単に言えばそうなる。まあ、分かってもらえなくても結構だが」

やや自嘲気味に笑うヴァルトール。その”血の淀みの源”は連盟の契約カレルをつけていないと見えないものだそうで、故に外部の人には全く理解してもらえないらしい。

その後暫くぶつぶつと何事か呟いていたが、やがて顔を上げて尋ねてきた。「もしお主らさえ良ければだが、仲間になってもらえぬか?」と。何でそんなことを言うのかというと、強い仲間は多い方がいいらしい。連盟員は数多いが、大体が高確率で死んでしまうか狂って狩人狩りに狩られるかで終わるのだそうだ。そして今、連盟員は数える程度しかいないらしい。

この森の双子の弟マダラス、異郷の狩人ヤマムラ、黄衣の狩人ヘンリック。

(どうしようかねー…)

契約カレルを付けていれば、一部のエリアでも協力してくれるそうだ。少しばかり打算的な考えだが、ここは仲間になっておくべきだろう。「わかりました、申し出を受け入れます」と返すと、嬉しそうな雰囲気の漂う不気味な笑みを浮かべてヴァルトールは連盟の契約カレル「淀み」を渡してきた。

ちらりとほんの少しだけ見えた彼の赤い左目には、それと同じ刻印が見える。


>契約カレル文字「淀み」
人ならぬ者の声の表音文字たるカレル文字の1つ
禁忌とされた獣喰らいの内に見出されたというそれは「淀み」の意味を与えられ、連盟の誓いとなった

この契約にある者は狩りの成就に「虫」を見出す

それは濁りの中に隠れ蠢く、人の淀みの根源
躊躇なく、踏み潰すことだ

※連盟員を協力者として呼ぶのに装備必須。連盟員と古狩人は同時には呼べません。


―その後少し話をしたが、分かったのは彼、ヴァルトールが獣を狩ることに異様な執着を持っていること。その理由が気にはなったものの、下手に訊くと右手の回転ノコギリでまとめて細切れにされそうなので余計なことは言わない。デュラの使うパイルハンマーもだが、異端工房《火薬庫》産の狩り武器は扱いが難しい代償として火力が馬鹿高い故に扱いを熟知している熟練者が扱うと恐ろしいことになる。

「では、自分たちはもう行きますね」とヒビキがクロノを連れ小屋を出ようとすると「少し待て、最後に言っておくことがある」と引き留められた。

「?」
「お主ら、いずれ狩人の悪夢にも行くのだろう?…………頼みがある」
「頼み、とは」
「ルドウイークの奴を、解放してほしい」
「医療教会の始祖の狩人、ですよね?その人が……」
「この前、悪夢から生還した奴がいてだな、そやつから聞いたのだ。…醜い獣と成り果てて、悪夢を彷徨っていると……私も官憲隊で唯一生き残った直後から、幾ばくかの交流はあったからな……」
「そういうことですか。まあ行くつもりでしたし、やってみます」
「………………………すまんな」

形のいい唇が悔し気に歪められる。しかしそれも一瞬のことで、次の瞬間には元の調子を取り戻していた。

「お主らはこの後、獣狩りへ戻るのだろう?……………存分に狩り、殺したまえよ」

そんな言葉を、小屋から出ようと背を向けたヒビキたちに投げかけて。

***

―――――ヴァルトールと別れた後、ヒビキたちは暫く禁域の森の中を探索していた。そうして実際に歩き、マップの埋まり具合を見た上でも分かったのだがこの鬱蒼とした暗い森、相当に広い。探索済みの道に《輝く硬貨》を落として目印にするか、敵の死骸を目印にするかしないと延々と迷いそうだ。

「…………てか、疲れた……敵を掃討してから適当な場所で休むか」
「……(こくり)」

二人とも、疲れの滲む表情で頷きあう。先ほど狂犬たちの入った檻が大量に並ぶ地帯に出たのだが、檻に入っていれば如何様にも攻撃し放題なためそんなに苦労はしなかった。それに檻の奥で裏道を見つけ、水銀色に光る沼で幾つかアイテムも見つけた。ただ水銀沼はどうやら毒沼らしく、遅効毒対策に白い丸薬を持ち出し、クロノに近くで見つけた《教会の白》シリーズの狩人装束を着させればまあなんとかなった。

しかしこのエリアは地形的なアップダウンが激しい。疲れの原因は大体それだ。休める適当な場所を探して歩いていると、ヒビキとクロノはほぼ同時に鳴き声を耳にした。

「ホー……、ホー…」と聞こえるから、梟だろう。それも2羽。森だから当然かと最初は考えて、(いや待てこの獣狩りの夜でマトモな動物はほぼいねぇはずだ)と考え直す。実際今まで出会った動物といえば人を含めみんな獣狩りの夜の狂気にあてられてマトモではなかった。鳴き声の源を探すべく2手に別れ、上の方を見ながら歩く。無論足元にも注意は向けている。



――――油膜水路の奥、固定砲台が設置された場所にその鳴き声の源はいた。梟というよりか少し大きいのでミミズクかな?とヒビキは当たりをつける。つんつんした灰銀と黒、白の混じった羽毛と鋭い目つき、それに首から何か下げている。あと何より特徴的なのが琥珀に血を垂らしたような瞳だった。

ホー、ホー、となんか上下にリズムをとっているような妙な動きをしている。

「さっきからつけてきてた片方はお前か?」
「ホー」
「そうか」

コクコクとミミズク?は頷く。

「でさ、まさかお前…………」

いや、ヒビキも信じたくはなかった。赤い瞳もそうなのだが、目の前のミミズクから同じ狩人の血の気配を感じるのだ。別にそうでも驚かないが、でも信じたくはなかった。しかし確かめないわけにもいくまい。腹をくくって訊く…………と。

「………………………………………………………そうだぞ!すまなかったな!」

目の前のミミズクが飛び上がり、くるりと一回転。同時に光が発生し、ミミズクはあっという間に人の姿となった。髪型は灰銀と白と黒の入り混じった逆毛というかつんつんというか元のミミズク形態を反映したとしか思えない髪型で、教会式の真鍮細工を施した狩人装束を纏い、両腕と頸部から頭にかけて所々に血のにじむ包帯で身を窶していた。狩人の証たる赤い琥珀の瞳には活発な光が宿っている。武器は、ルドウイークの長銃と同じく銀剣ことルドウイークの聖剣。パワータイプなのだろうか。

ニシシ、と笑った後その狩人は口を開いた。

「オレはルクスっていう(一応)教会所属の狩人だ、血族狩り兼狩人狩りだぞ!あと、相棒のアカも同じだ!…まあ大体は狩人狩りメインなんだけどな!」

とにかく元気で無邪気。そういった印象を受ける。胸元に下がっているのは無数の星が煌めく夜空色の石が嵌め込まれた、目を象った狩人証……………………ってそれは「聖歌隊」の証じゃあないか。あと因みに、狩人狩りと言っても鴉羽の狩人たちとは違うらしい。

「で、何で俺たちについてきたんだ?」
「ん?そりゃ面白そうだかr……違う違う、狩人の悪夢の話を聞いちまったからなぁ。あとカインハーストについてもな」

どうやら、先ほどまでのヴァルトールとの会話を聞かれていたらしい。

「多分お前の連れの方にアカがいるはずだから、合流していいか?」
「まあ、そりゃいいが」
「よーっし、じゃあ行こうぜ!」

その底なしの元気はどこから来るものなのやら。ヒビキはやや呆れを交えた横目でちらりとルクスを一瞥してから、進行方向に向き直る。



―――――時は少々巻き戻り、一方、クロノは水銀沼の奥にある倒木の上で梟が鳴いているのを見つける。

「………………」

視覚は全く無いものの、聴覚・触覚・嗅覚・第六感が非常に鋭く色まで分かる故に動くには苦労しない。特に生物を追いかける場合、気配を覚えていれば何とかなる。

「ホー………ホー―……」

その梟は首に何か下げており、狩人の証たる赤い瞳と茶色と白の羽毛が特徴的だ。……まさか。

「…………………………………………驚かせてすいません。初めまして、でしょうね」
「!」

その梟は唐突に光を放ったかと思うと、見るまに倒木に腰かけた人の姿に変わる。装束は白基調の衣装に道化師がよく被ってそうな垂れた先っぽが二股に別れた目を隠す黒い帽子――《聖歌隊》装束。右手には仕込み杖、左手にはルドウイークの長銃を持っている。また、腰のポーチからは秘儀アイテムの気配が複数種類感じられる。それが本当であればおそらく技術/神秘タイプなのだろう。胸元には星の輝きを抱く夜空色の目を象った狩人証を下げている。

「お話を聞いてしまったもので、ルクス――相棒と二手に分かれてこうした次第です。俺たちにとって狩人の悪夢と廃城の話は、他人ごとではありませんので……とにかく、合流させて頂いてもいいですか?」

そう聞いてきたので、頷きで返す。ここでは油断しているといつどこで殺されるか分からない。



――
「お、アカ!」
「ええ、取り合えず合流できましたねルクスさん。道に迷うかと思っていましたけれど」
「相変わらずヒドくね!?まあ、途中数回ぐらい間違いかけたけど…」

顔を合わせるなり騒がしい2人は放っておいて、ヒビキとクロノは次の行き先について相談しあう。

「でさ、禁域の森は後回しにしてまず狩人の悪夢、次に廃城カインハーストに行こうと思うんだが、いいか?」
「(こくり)」
「よし決まりだな」

暫くすると騒がしく言い合っていた2人がようやく落ち着いたようで、こちらに向き直る。まずヒビキが口火を切った。

「こっちはまず狩人の悪夢で、連盟長さんから頼まれたことをやろうと思っているんだが…どうだ?ついてくるのか?」
「…あ、あぁ、そうですね。もしそちらがよろしければついていかせてくださいませんか」
「よし決まりだな」
「お、マジか嬉しいぞ!」
「ルクスさん少し黙っていてください」

アカがぴしゃりと言い放つ。少なくとも口喧嘩に於いてはアカの方が勝つようだ。

「で、流石に4人となると大所帯じゃないかなーとは思うんだが」
「………それは問題ないですよ。ですよね、ルクスさん」
「おう!」

そう言うと、光とともにまたそれぞれミミズク形態とフクロウ形態に戻った。で、それぞれルクスはヒビキの頭上に、アカはクロノの左肩に止まった。

「如何ですか?」
「……それなら問題ねぇな。でも、その形態の時に戦いになったら離れてくれるとありがてぇ」

頭上や肩に幾らか重みが加わるわけで、それが感覚を狂わせかねない。

「了解したぞ!」

ミミズク形態のルクスが元気に言った。

「じゃ、行くか」

―そういうことで、2人と2羽?は連れ立って聖堂街へ戻る。



≪狩人メモ(Byヒビキ)≫
【連盟の長、ヴァルトール】
武器は右手の《回転ノコギリ》。獣を狩ることに異様な執着心を持つ。
火薬庫産の狩り武器を十全に扱えるというだけでかなりの熟練者なのは間違いなく、被っている鉄兜のせいで顔の殆どが隠れてしまっている。これからちょいちょい会うことになりそう。下手なことを訊くと細切れにされそうなので余計なことは言わず黙っているのが吉。

【聖歌隊の双狩人】
片方はルクス、ミミズク形態との変身が可能で右手にルドウイークの聖剣、左手にルドウイークの長銃を持つパワータイプ。お馬鹿さんだが狩りの腕はよく、いつも元気。
もう片方はアカ、フクロウ形態との変身が可能で右手に仕込み杖、左手にルドウイークの長銃を持つ技術/神秘タイプ。武器もそうだが《エーブリエタースの先触れ》《夜空の瞳》《彼方への呼びかけ》《聖歌の鐘》などなど複数の秘儀アイテムを使いこなすほどの高神秘。いつも落ち着いており頭がよく、ちょいちょい暴走するルクスを窘める役目。

≪拾ったアイテム≫
・青い秘薬×4
・狩装束「教会の白」シリーズ
・水銀弾×6
・輸血液×6
・秘儀アイテム「獣の咆哮」
・狂気の死血【7】×2
・白い丸薬×8
・神秘の血晶石【2】
・汚れた血晶石【3】
・全強化の血晶石【2】




******
呼ぶことのできるキャラの中で一番の高耐久かつ高HP(だと思われる)最強キャラ連盟長、ヴァルトールさん。
他の、今まで出会っている古狩人の人の特徴(設定)はこんな感じです。
・ヘンリエッタ&ヘンリエット→高技術。銃パリィや内臓攻撃が上手い。
・デュラ→回避に長け、ここぞという時に変形パイルハンマーをぶち込む。
・アルフレート→一撃の威力と強靭度が非常に高く怯みにくいため、多少無理な体勢からでも無理矢理に殴りに来る。
・鴉羽の狩人???→???
・車椅子の狩人/助言者???→???

あと、火薬庫工房はロマン集団………だった。(←これ大事)

ここでは、”悪夢から生還した狩人”はヴィートという狩人のことです。
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