愛して愛して愛して愛してる人

綾瑪東暢

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キラキラしてる奴

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 遅刻ギリギリで講義に間に合う。
 「おはよ!は、や、て」
 昨日、カラオケと言いながらの合コンに誘ってきた友人が話しかける。
 「おはよう。」
 「颯~聞いてくれ。」
 どこか嬉しそうな友人。
 「なんだ?」
 「じゃじゃーん!」
 友人はスマホを見せてくる。そこにはミクと女の名前が書いてあった。
 「とうとう彼女ができたのか?」
 友人はちっちっと音を立てる。
 「友達からお願いしますだってさ!これはできるぞ!」
 「良かったな。」

 そんな話をしていると講義の先生が入ってくる。友人はスマホの電源を切り小声で、「また聞いてくれよな」と言って前を向いた。







   








 講義が終わると、他の友人が颯の席に集まってくる。
 「颯。昨日の成果だ!」
 別の友人がスマホの画面を同じように見せてくる。そこにもミクという名前。
 「あっ・・あ~・・」
 「な、なんだよ、その反応は。」
 「い、いや・・き、聞くけど、彼女か?」
 「いや、友達からって。この言葉って脈アリだろ。」
 「・・俺、ちょっとトイレ。」
居た堪れず、颯は席を立つ。
 またまた別の友人が俺もと言って付いてくる。
 「な、あれって・・」
 「2人とも騙されてるな。」
 着いてきた友人は笑う。
 「いうべきなのか?」
 「面白いから言わなくていいよ。おもしろいからな。」

 
 颯はトイレを済ませて、スマホを見る。神瀬からメールが来ていた。
 『弘人ひろとと連絡が取れた。連絡先は知ってるんだっけ?』
 すぐに返す。
 『連絡先は知ってる。』
 神瀬からすぐに返事が来る。
 『そっか。じゃあ連絡するよう言っておく。』
 『ありがとう。』
 

 「彼女か?」
 トイレに着いてきた友人がいつのまにか外に出ていた。
 「お、おまっ・・いつからそこに」
 「ほんの数秒前。スマホ見ながらニヤニヤしてる颯が珍しくて眺めてた。」
 「きめっー」
 「それで彼女か?」
 「違うよ。」
 「つまんねぇの。」

 友人が先に歩き出す。
 「先行ってて。」
 「はいよ」
 
 颯は別の方向に歩いていく。

 人があんまり来ない場所に移動して、連絡先の欄から『七宮しちみや』を探す。
 
 「・・あった・・」
 今日来るとは限らないのに、何回も何回も何か来たのかと確認してしまう。
 

 「困ったなぁ・・。昔の弱い自分に戻りそうだ。」
 なんだか悲しくなって涙が出そうになる。
 
 「弘人・・。」



 
 少しだけ、その場でうずくまっていた。頬を叩いて、講義室に戻る。次の講義は始まっていた。
 
 「颯颯。何かあったのか?」
 講義中、友人が小声で話しかけてきた。
 
 「いや、なんでも。知り合いと電話してたら話し込んじゃってね。」
 友人は「なんだぁ」と言って前を向く。

 ズボンに入っているスマホを少し出して画面を見る。通知数は0。颯はため息を吐いた。



 講義の内容をメモしたりしなかったりしながら1時間を過ごす。

 「ね、ねね、君が八重やえ颯くん?」

 ボケっとしていたら目の前に手が置かれた。
 「だれ・・うわっ」
 顔を上げると、顔面偏差値が高そうな顔。
 「うわっ?酷いなぁ・・。なんで顔を見ただけで驚かれないといけないの。」
 「・・悪い。なんかキラキラしたやつが目の前に現れたからびっくりした。」
 「キラキラ?」
 「なんでもない。それより誰?」
 「えー!俺のこと知らないの?」
 「知らない。」

 キラキラしたやつは、どうしてこうもめんどくさい人ばかりなんだろうと考えていると、友人が肩を組んできた。
 「な、颯。こいつと友達か?」
 「いや。知ってるのか?」
 「お前・・知らないのか!この大学で1番有名なやつだろ。」
 「そんな奴いたか?」

 「あのー、あのー、俺を無視しないでくれないかな?」


 「あっ、忘れてた。それで誰?」
 イケメンに向き直ると、
 「俺は十瑚そご玲司れいじ。2年生。よろしくね。」
 「よ、よろしく・・お願いします。・・それはそうと、俺になんの用だったんですか?十瑚先輩」
 「いいよ、颯くんなら下の名前で呼んでも。」
 「遠慮しておきます。」
 「颯くん。今日、俺に付き合ってくれない?」
 「なんで。」
 「颯くんと仲良くしたいから。いいでしょ」
 颯の腕を掴んで顔を近づけてくる。
 「やめてください。」
 「・・かわいいねぇー」
 「なっ!」

 颯は立ち上がる。
 「男に可愛いなんていうのどうかしてる!じゃあな。俺は用があるんだ。」
 鞄を取って逃げるようにその場を後にした。






 「逃げられちゃった。ほんと、可愛い。」

 「お前・・頭見てもらった方がいいんじゃないか?」
 颯の友人の言葉を無視し、颯が出た扉を眺めていた。
 
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