越えられない壁で僕らの幸せは・・・(黒凪の話)

綾瑪東暢

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恋焦がれる

婚約者として

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 「時咲とさっ!」
 僕達のクラスがある階を通り過ぎて屋上まで出てきた。
 「今日はどうしたんだ?」
 「ごめんなさい。」
 しゅんと顔を下にする。
 「はぁ・・もう教室に行こう。」
 階段の方を向いて進もうとした僕の袖を時咲が掴む。
 「らしくないな。」
 「なぎ様がどこかに行ってしまいそうで。」
 「どこにも行けないよ。」
 時咲の頭をぽんと軽く叩いた。
 「はい・・。」
 「すみません。」

 
 二人で階段を降りる。
 「あ、今日の帰りは」
 「今日は委員会だ。先に帰っててくれ。」
 「わかりました。」

 お辞儀をして時咲がクラスに入った。


 僕も自分のクラスに入る。















 「お疲れ様です。」
 「お、来たな。おつかれー」
 放送室に行くと先輩が待っていた。
 「遅くなりました。」
 「ゆっくりしてたところだから、さぁ座ってー」
 先輩が茶菓子を出してきた。
 「いただきます。」
 
 「凪は、彼女とかいないの?」
 「なんですか、急に。・・・いますよ。婚約者が」
 「えっ・・いんのか!」
 「そんなびっくりします?」
 「いや、、そんな仏頂面じゃできなさそうだなって」
 「まぁ、親が決めた相手なんで相手も僕のことは好きじゃないと思いますよ。」
 「そんな淋しいこと言うなよ。」
 「本当のことなんで。」

 バリバリせんべいを食べる。
 
 「僕のことより、先輩は、彼女いないんですか?よく女の子といるのを見るんですけど」
 「いないよ。あの子達は、可愛いとは思うけど苦手なタイプかな。グイグイ来る女の子は苦手。」
 「そうなんですか。」
 「聞いたのに興味なさそうだね。」
 「まぁ・・」

 
 話のキリがついたとき、ノックされた。
 「はい。」
 「放送委員。これを放送してほしいんだが」
生徒指導の先生がきた。
 「わかりました。」

 先輩が紙を貰い、放送器具の前に座った。後ろで僕はホット胸を撫で下ろした。
 (先輩に彼女がいなくてよかった)
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