越えられない壁で僕らの幸せは・・・(黒凪の話)

綾瑪東暢

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恋焦がれる

苦しめる恋心

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 別れ道。先輩が最後に
 「誰がなんと言おうと、なぎは凪の思いのままに
と優しく言う。
 「まぁ、この言葉は俺の好きな本からの受け売りだけど・・」
 「ありがとうございます。先輩に言われるとなんだかむず痒いですね。」
 「あぁ?なんだとー」
 先輩が僕の頭をぐりぐりする。
 「また明日。先輩。」
 「あぁ、そうだな。」

 先輩にペコッと頭を下げて、家のある方向へ進んで行く。

  
 「・・凪様。」
 「なんだ?」
 そばで見ていた使いが声をかけてくる。
 「もしかして。」
 「何が言いたい?」
 「凪様は速水はやみず稚隼ちはやを好いているのですか?」
 僕は使いを睨む。
 「口を慎め!そんな戯言を。」
 「・・・すみません。」

 使いは消える。
 「はぁ・・・好きなはずない・・・僕はっ」

 近くの壁を殴る。手がジンジンするの気にしない。





 あれから、ほんの少し、その場を動けずにいた。
 
 家に帰ると、母親に居間に来るよう呼ばれた。
 「失礼します。要凪です。」
 居間の扉を開けて、入ると睨まれる。
 「遅いぞ。」 
 「すみません。」
 「・・今日から凪にも要家の役目を担ってもらう。」 
 「えっ・・」
 「仕事が立て込んでるんだ。かおるだけじゃ終わらない。明日。薫と一緒に行ってこい。薫には言ってある。あとは薫に聞け。さっさと下がれ。」
 ペラペラと自分だけ話す勝手さ。小さく舌打ちをする。
 さっさと立ち上がって、居間から出た。
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