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恋焦がれる
眼力
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「凪。」
階段上から薫兄さんが手招きする。薫の部屋に招かれ、座らされた。
「お父さんから聞いたよ。凪も手伝ってくれるんだってね。凪はどこまで知ってる?」
「・・裏仕事なんでしょ。殺しとか」
「まぁそうだね。凪の初めての仕事はこれ。」
机の上に紙を1枚置く。
『暗殺依頼
名前:宇谷山(うたにやま)
年齢:49歳
性別:男
職業:宇谷建設会社 代表
依頼者:宇谷柳(うたにやなぎ)』
「家族からの依頼?」
「裏面を見て」
裏を見ると
『暗殺理由:山と私は夫婦です。夫の暴力が酷くて・・どうか、お願いします。もう、無理なんです。助けてください。』
家庭内暴力の証拠にと、下には依頼者の顔なのか殴られて泣いている写真が貼られていた。
「使いに調べてもらった結果。柳さんは山さんに暴力を振るわれていることがわかった。」
「どうして、警察じゃなくて、俺達なんだ?」
一瞬、薫兄さんが微笑んだ気がする。首を傾げたが薫兄さんがすぐに話を戻した。
「山さんは、宇治田安政と仲が良いんだ。」
薫が出した名前に鳥肌が立つ。
「宇治田・・・」
宇治田は僕の嫌いな警察官だ。
「凪は仲が良いっていう意味わかるよね?」
「・・宇治田は警察庁長官。無かったことになるんだろ。」
「うん、残念ながら。」
「だから、か。」
「そう。」
「でも、一人だけなら薫兄さん一人でできるんじゃない?」
「・・」
薫兄さんは一瞬嬉しそうな顔をする。10枚以上ありそうな紙の束を机に置く。
「人数が多くね。凪には楽そうなの、渡したんだ。」
束から2枚取って見る。
「・・・・全部、宇谷。」
「ここの束は全部、宇谷家暗殺依頼だ。凪。お願いしても良い?」
「・・うん。やるよ。」
「ありがとう。」
薫兄さんが僕の頭を撫でる。
「この紙は?」
「持ってっていいよ。依頼が完了したらちゃんと燃やしてね。」
薫兄さんの部屋を後にする。
家にいると息が詰まりそうになる。外の空気が吸いたくて、家を出た。無性に先輩に会いたくなってしまった。
少し遠くまで歩いて来た。
「やぁ。凪くん。」
急に肩に手が置かれ、声をかけられた。声の主に心当たりがあり、距離を取る。
「酷いなぁ。俺達の仲じゃないか。」
「宇治田・・・」
「覚えてくれていたんだね。ありがとう。凪くん。こんなところに一人でどうしたのかな?要家のご氏族に何かあってはいけない。俺が送っていってあげよう。」
偽善者顔。偽の笑みが張り付いてる。
「散歩だ。お前には関係ない。」
「久しぶりに。お父さんにお会いしたくてね。さぁ行こう。」
手を出してくる。その手を振り払う。
「公務執行妨害かな?」
「僕はお前に警察手帳を見せられてないから僕はお前が警察なのを知らなかった。」
そう言うと、宇治田は大声で笑う。周りの人にチラチラ見られる。
「それじゃあ」
「あ、待って待って。」
目元を拭いながら僕の肩を触る。
「触るな。」
「あー、ごめんごめん。」
「凪くんが怒るから、下僕達の警戒の目が強くなったよ。落ち着かせて?」
僕でさえ、使いがどこから見ているのかわからない。
辺りを見る。
「ほらー早く。」
声は優しい声、ただ目が視線が・・僕の秘密を覗き込もうとしている目。怖い。
階段上から薫兄さんが手招きする。薫の部屋に招かれ、座らされた。
「お父さんから聞いたよ。凪も手伝ってくれるんだってね。凪はどこまで知ってる?」
「・・裏仕事なんでしょ。殺しとか」
「まぁそうだね。凪の初めての仕事はこれ。」
机の上に紙を1枚置く。
『暗殺依頼
名前:宇谷山(うたにやま)
年齢:49歳
性別:男
職業:宇谷建設会社 代表
依頼者:宇谷柳(うたにやなぎ)』
「家族からの依頼?」
「裏面を見て」
裏を見ると
『暗殺理由:山と私は夫婦です。夫の暴力が酷くて・・どうか、お願いします。もう、無理なんです。助けてください。』
家庭内暴力の証拠にと、下には依頼者の顔なのか殴られて泣いている写真が貼られていた。
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「どうして、警察じゃなくて、俺達なんだ?」
一瞬、薫兄さんが微笑んだ気がする。首を傾げたが薫兄さんがすぐに話を戻した。
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薫が出した名前に鳥肌が立つ。
「宇治田・・・」
宇治田は僕の嫌いな警察官だ。
「凪は仲が良いっていう意味わかるよね?」
「・・宇治田は警察庁長官。無かったことになるんだろ。」
「うん、残念ながら。」
「だから、か。」
「そう。」
「でも、一人だけなら薫兄さん一人でできるんじゃない?」
「・・」
薫兄さんは一瞬嬉しそうな顔をする。10枚以上ありそうな紙の束を机に置く。
「人数が多くね。凪には楽そうなの、渡したんだ。」
束から2枚取って見る。
「・・・・全部、宇谷。」
「ここの束は全部、宇谷家暗殺依頼だ。凪。お願いしても良い?」
「・・うん。やるよ。」
「ありがとう。」
薫兄さんが僕の頭を撫でる。
「この紙は?」
「持ってっていいよ。依頼が完了したらちゃんと燃やしてね。」
薫兄さんの部屋を後にする。
家にいると息が詰まりそうになる。外の空気が吸いたくて、家を出た。無性に先輩に会いたくなってしまった。
少し遠くまで歩いて来た。
「やぁ。凪くん。」
急に肩に手が置かれ、声をかけられた。声の主に心当たりがあり、距離を取る。
「酷いなぁ。俺達の仲じゃないか。」
「宇治田・・・」
「覚えてくれていたんだね。ありがとう。凪くん。こんなところに一人でどうしたのかな?要家のご氏族に何かあってはいけない。俺が送っていってあげよう。」
偽善者顔。偽の笑みが張り付いてる。
「散歩だ。お前には関係ない。」
「久しぶりに。お父さんにお会いしたくてね。さぁ行こう。」
手を出してくる。その手を振り払う。
「公務執行妨害かな?」
「僕はお前に警察手帳を見せられてないから僕はお前が警察なのを知らなかった。」
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「それじゃあ」
「あ、待って待って。」
目元を拭いながら僕の肩を触る。
「触るな。」
「あー、ごめんごめん。」
「凪くんが怒るから、下僕達の警戒の目が強くなったよ。落ち着かせて?」
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