越えられない壁で僕らの幸せは・・・(黒凪の話)

綾瑪東暢

文字の大きさ
5 / 23
恋焦がれる

恋などしない・・・いや、できない

しおりを挟む
 僕は逃げた。逃げていた。足が動いている。疲れているのに休みたいのに足が止まらない。でもそれでもいい。どこか先輩が来ない場所。そう遠くに、遠くに逃げたい。



 「なぎ様?」
 誰かの声が・・・誰かではない時咲とさの声が聞こえた。
 「あ、れ?」
 「凪様のお母様が私の家に来て凪様の具合が悪いと聞き来ました。」
 「お母様が?」
 「はい。」
 「そうか。帰って良い。」
 「で、ですが、何か悪い夢でも見ていたのではないですか?うなされていたので・・・」
 「・・・なんか言っていたか?」
 「・・・・先輩と」
 「まぁ、とにかくだ。僕は大丈夫。茅鶴様がご飯を作って待っているんだろう?こっちもかおる兄さんが帰って来る。」
 「はい、では私は帰ります。」
 「そうしてくれ、」



 一人になるとやっぱり考えてしまう。


 僕は本当に恋をしているのだろうか?いやいやまさかそんなことはないはずだ。だって僕は婚約者のいる身、ダメなはずだ。違反のはずだ。伝統破りのはずだ。
 時咲に、お母様にお父様に何を思われるか・・・考えただけで鳥肌が立つ。

 「凪。居る?」
 「兄さん?」 
 「話がある。」
 「?何?どうしたの?」

 「俺は、かなめ家の当主の座から降りる。だから時期当主はお前、凪だ。」


 「え?なんで?当主は兄さんで僕はつなぎ家の者になるんでしょう?」
 「俺が繋家の者になる。父も了承している。母は特に何も・・」
 「待って、そんな簡単に・・」
 「簡単じゃない、考えて、考えて導き出した結果だ。」
 薫兄さんはそう言ってどこかに行ってしまう。僕もそれについて行き外に出た。後をつけて繋家の敷地内に入った。インターホンを押したのか家からは繋家の者で薫兄さんの婚約者、そして時咲の姉茅鶴ちづる様が出てきて抱き締めた。
 「茅鶴!」
 「薫様!」
 「幸せになろう!」
 そう大きな声で聞こえた。茅鶴は手で口を押さえてその場にしゃがみ込んでしまった。
 僕は手を握りしめた。


 ああ、僕に恋なんってできるわけない
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

病弱の花

雨水林檎
BL
痩せた身体の病弱な青年遠野空音は資産家の男、藤篠清月に望まれて単身東京に向かうことになる。清月は彼をぜひ跡継ぎにしたいのだと言う。明らかに怪しい話に乗ったのは空音が引き取られた遠縁の家に住んでいたからだった。できそこないとも言えるほど、寝込んでばかりいる空音を彼らは厄介払いしたのだ。そして空音は清月の家で同居生活を始めることになる。そんな空音の願いは一つ、誰よりも痩せていることだった。誰もが眉をひそめるようなそんな願いを、清月は何故か肯定する……。

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

甘々彼氏

すずかけあおい
BL
15歳の年の差のせいか、敦朗さんは俺をやたら甘やかす。 攻めに甘やかされる受けの話です。 〔攻め〕敦朗(あつろう)34歳・社会人 〔受け〕多希(たき)19歳・大学一年

定時後、指先が覚えている

こさ
BL
職場で長く反目し合ってきた二人。 それでも定時後の時間だけは、少しずつ重なっていく。 触れるはずのなかった指先。 逸らさなかった視線。 何も始まっていないのに、 もう偶然とは呼べなくなった距離。 静かなオフィスでゆっくりと近づいていく、 等身大の社会人BL。

血のつながらない弟に誘惑されてしまいました。【完結】

まつも☆きらら
BL
突然できたかわいい弟。素直でおとなしくてすぐに仲良くなったけれど、むじゃきなその弟には実は人には言えない秘密があった。ある夜、俺のベッドに潜り込んできた弟は信じられない告白をする。

囚われた元王は逃げ出せない

スノウ
BL
異世界からひょっこり召喚されてまさか国王!?でも人柄が良く周りに助けられながら10年もの間、国王に準じていた そうあの日までは 忠誠を誓ったはずの仲間に王位を剥奪され次々と手篭めに なんで俺にこんな事を 「国王でないならもう俺のものだ」 「僕をあなたの側にずっといさせて」 「君のいない人生は生きられない」 「私の国の王妃にならないか」 いやいや、みんな何いってんの?

兄貴同士でキスしたら、何か問題でも?

perari
BL
挑戦として、イヤホンをつけたまま、相手の口の動きだけで会話を理解し、電話に答える――そんな遊びをしていた時のことだ。 その最中、俺の親友である理光が、なぜか俺の彼女に電話をかけた。 彼は俺のすぐそばに身を寄せ、薄い唇をわずかに結び、ひと言つぶやいた。 ……その瞬間、俺の頭は真っ白になった。 口の動きで読み取った言葉は、間違いなくこうだった。 ――「光希、俺はお前が好きだ。」 次の瞬間、電話の向こう側で彼女の怒りが炸裂したのだ。

処理中です...