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恋焦がれる

逃げてもいい?

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 「なぎ様。最近、お疲れですか?」
 「時咲とさ・・・か。特に疲れていない。」
 「ですが、最近、彩目あやめ様やこく様との中が
 「時咲!お母様とお父様の話を出すな。それに僕よりも兄さんの方が好かれている。どうせここを継ぐのもきっと兄さんだ。」
 「・・・ごめんなさい。」
 「・・・・・時咲は自分の家に戻れ、茅鶴ちづる様が待ってるんだろう?」
 「はい、失礼します。」
 時咲が出て行き一人になる。一人になると考えてしまう。家のことではなく先輩のことをよく分からない。なんで考えてしまうのか、ネットには恋だの好きな人がいるだの書いていたが僕には婚約者がいる、だからこれは恋なんかじゃない。きっとそうだ。


 「あ、速水はやみずせんぱ、い・・・」
 目の前に居た先輩に喋りかけようとしたが「稚隼!今日、に付き合ってよ!買いたいものがあるの」と近づいて行った女の先輩がいて喋りかけられなかった。
 なんだか心がモヤっとした。

 僕はその場から逃げ出した。

 いつのまにか放送室に来ていた。
 
 ああ、きっと、きっと、これは恋なんだ。

 ずっと蓋をして、溜めて溜めて溢れ出てしまった。

 僕は泣いた。涙となって溢れ出てくる。

 誰にも見られたくなくて僕は、僕は一人になれる場所にそれが放送室。

 ああ、ここはダメ、先輩がやってくる場所だ。

 僕は・・・逃げ続ける。
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