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君のために

信じられない

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 「多重人格ってことか?」
 直也なおやは警戒しながら 鵺瀬やせ  夜丘やおかと名乗った白斗はくとに聞く。
 「・・・・小説を読まないタイプの人間か・・・僕は・・・
 鵺瀬は何かを言おうとしたことを飲み込んで開けっぱなしの扉の方を見た。
 「あ!白斗君。起きたんだな。良かった。」
 てんがいた。
 「・・・て、槇さん。おはようございます。」
 「?ああ」
 「白斗、もう少し休んだほうがいい。お父さん。」
 「そうだな。俺はもう帰るよ。」
 「ありがとう」
 「ああ。」
 そう言って槇の足音が遠くなって家のドアが開く音がしてから「白斗」と直也は言う。
 「まだ白斗じゃないの?」
 「・・・僕は小説を書いている。それだけ言えばあとは僕の名前で調べて、もういいでしょう?出て行って。これからだから。」
 
 半ば追い出すようにして鵺瀬は扉を閉めた。

 廊下に突っ立っている直也はスマホを取り出して鵺瀬 夜丘と検索にかけた。

 『鵺瀬 夜丘。 年齢、性別共に不明。代表作は『月を見る君』
 今年中に新作小説『売られた僕』が発売する予定。』
 「売られた僕・・・」

 スマホの画面を閉じた。

 「・・・白斗」
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