将来有望だった俺は騎士団を追放された、だからカワイイ幼馴染と共に冒険者として人生を歩むことにしよう

Tea

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12話 復讐すべき魔物

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 翌朝、日が昇ったばかりの早朝に俺とヒルダはガイさんの先導に従って森の中を歩いていた。
 森の中は暗く、気温も低いため朝になったとは思えないほどである。
 これが、俺たちが立てた作戦だ。

 魔物は夜に活発になる性質がある。
 これは、様々な説が唱えられているが、魔物が生まれる魔界は常に瘴気が立ち込め、暗闇に包まれているらしい。
 その影響で魔物は暗闇、すなわち夜を好むのではないかと言われているのだ。

 だから、これから朝になっていくにつれて魔物の動きも鈍ってくると考えて、この時間に出発したのである。
 村を壊滅に追い込むほどの力がある魔物が相手なのだ。
 できる限りの手は打っておきたい。

 しばらく歩いていると、ガイさんはピタッと動きを止め、小声で話しかけてきた。

「この先に、件の魔物がいる。ここからは、足音も極力立てないように注意してくれ」
「分かりました」
「はい」
「よし、着いてきてくれ」

 そして先ほどよりかなり前進スピードは落ちたものの慎重に歩を進める。

 指示された通り、足音を殺しながら一歩一歩確実に歩いていく。
 できることなら不意打ちで戦闘を開始したいところだ。
 騎士団にいたころなら、不意打ちをするなど卑怯だ恥を知れ、と口汚く罵られたことだろう。
 あの騎士団にいたやつらは仮初の騎士道だけは持ち合わせていたからな。
 でも、そんなことも過去の話しだ。
 今の俺は勝つためならどのような作戦でも使うつもりでいる。
 そうしないと、結果もついてこないだろう。
 それに、俺とヒルダの命を護ることが何よりも重要なことだから。

『………………』
『………………』
『………………』

 俺たちの耳に聞き慣れない声が聞こえてくる。
 魔物の声か!?
 おそらく喋っているのだろう。
 ただ、何を話しているのかまるで理解できない。
 このことから独自の言語を使用しているのだと推測できる。

「シグルズこれって……」
「ああ、魔物が喋ってる」
「今までこんな魔物に遭遇したことないわ」
「魔物も進化してるんだろうな」

 今までに遭遇したことのない知能が高い魔物と対峙することになると思うと、少し身震いしてしまいそうだ。
 そして、さらに身を潜めながら声のする方へと進んで行くと、そこには三匹のオークがたむろしていた。

 オークの体長は人間の1.5~2倍はあるだろう。
 俺たちからするとかなり屈強な肉体だ。
 そして三匹のオークたちは装飾品を身に着けている。
 腰巻やベストなどに似せたボロ布だ。
 防御力があるとは思えないそれは、人間の真似でもしているのだろうか。
 そして、木を削っただけのような、こん棒が傍に置かれている。
 人間からすればかなり稚拙な装備だが、魔物がこのようなものを持っていることが問題だ。
 少なくとも俺は、ここまで知能の高い魔物に出会ったことがない。
 何度かオークとも戦ったことはあるが、どの個体も身一つだった。
 これは気を引き締めないとな。

「あれは!?」
「ガイさん静かに、気づかれます」
「すまない……」

 オークを睨みつけていたガイさんが突然大声を出した。
 おそるおそるオークの動向を窺うが、どうやらオークは気づいていないようだ。
 オークはすぐ目前なのだが、気づかれなかったのはかなりの幸運と言えるだろう。

「どうしたんですか?」
「あのオークが首から下げている首飾り、あれはシーラのものだ。俺の恋人が大切にしていたものなんだよ」

 ガイさんが見つめる先にいるオークの首には、深緑色の石が取り付けられた首飾りがある。
 おそらくあの首飾りのことを言っているのだろう。

「もしかすればシーラだけは生きているんじゃないかって……可能性が低いことは分かってた。それでも彼女の遺体は見つからなかったから……。だが、あのオークが彼女の首飾りをしているということは、そういうことなんだろうな……」

 ガイさんはポツリポツリと心の声を漏らし始めた。
 その声色や表情からは絶望が漂っている。
 愛する人を失う。
 ガイさんの心の内は、計り知れない哀しみで包まれているはずだ。
 俺にはかける言葉が見つからなかった。

「必ず取り返してみせますから」
「ヒルダ……! そうだよな。ガイさん、俺たちに任せてください」
「二人とも……ありがとう」

 そうして俺たちは息を潜めて所定の位置へと動くのだった。
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