異世界学園の中の変な仲間たち2

へすこ(ひしご)

文字の大きさ
4 / 101
そのさん

リシェ・マイスイートエンジェル

しおりを挟む
 パフェを食べてご満悦なリシェは、ラスにしっかりと手を繋がれて街の中を移動中。デートだぁあ、と脳内でお花畑を展開させながら、次はどこに行きましょうかと問う。
「あまりどこに何があるのか分からん」
「あ…そっか、先輩は転校して来たからか」
 リシェは余程の用がない限り、あまり外には出歩かなかった。逆にラスは時間があれば友人達と遊びに行くタイプなので、遊べるような場所は大体把握している。
 しかし同じ年齢帯にも関わらず、リシェは非常に地味な性格なので賑やかな場所を好まない。ラスはうーん、と考える。
「先輩、買い物とかもあまりしなさそうだしなあ」
「今は欲しいものは特に無いからな」
「でも美味いものには夢中になるよね」
 先程のパフェを食べる際に目をキラキラ輝かせながら十分程飾り付けに見惚れていたのを思い出して、からかった。
 リシェは無表情のままで「綺麗に盛られていたからだ」と言い訳をする。
「それだけ見てたらアイスとか崩れちゃいますよ」
 …目に焼き付けておきたかったのだ。
 あまりにも凝視し過ぎて、結局写真に収めておけばいいんですよとラスに注意される始末。前にもあったな、と思いながらしっかり写真を撮っておいた。
「次は大きいのに挑戦したい」
「五十センチパフェは一人だと厳しいですよ。あれ、四、五人分だから…スティレンとか一緒じゃないと」
「あいつが食うと思うか?太るとか肌に良くないとか喚き出すぞ」
 確かに言いそうだ。
 ラスは苦笑いした。
 じゃあとりあえず色んな店とか見て回ろうかな、と思っていたその時。人々がごった返す道のどこかで、素っ頓狂な叫び声が聞こえてきた。
「んんん!?もしやあれは!?俺のリシェではなかろうか!?俺の天使ではござらんか!?」
 その変に上擦った叫びを聞いた瞬間、リシェの小さな体がびくりと反応する。
 ラスは「え」と声が飛んできた方に目を向けると、背の高いひょろひょろした体型の男がこちら目掛けて近付いて来た。
「やっぱり!!俺の可愛いリシェでござる!!」
 その口調は前に聞いた事があった。
 リシェが電話を嫌がる原因になった相手ではないかとラスは彼を見下ろすと、やはり顔を引きつらせている。
「せ、先輩…」
 男が近寄ってくると、リシェは本気で嫌そうに舌打ちした。
「まさかここで出会うとは運命なのではなかろうか!リシェ!!」
「うるさい、近寄るな変態!!」
「お兄ちゃんに向かっていきなりそれは良くないでござるよ!めっ!!」
 めっ、なんて普段小さな子供相手にしか聞かないのだが、彼はリシェに対し何の躊躇いもなく言ってのけている。
 やたら芝居がかった物の言い方に、何とも言えぬ複雑な気持ちにさせられてしまった。
「何でここに居るんだ!」
「んんっ?この街は色んな物があるんだよ。フィギュアとか同人誌とか、お宝が沢山…あああ、リシェと会えると分かっていればコスプレ衣装とか買えば良かった!!さっき可愛いのがあったのにさぁ!あ、そうだ!今から一緒に衣装を買いに行くのでござる!!そして着てもらおうかな!そうしよう、リシェ!猫耳メイドさんのコスプレしておくれ、絶対似合うから!はあはあ」
 息継ぎ無しで良く喋るなあ、とついラスは感心した。
 リシェの兄らしく顔立ちは悪くは無いのに、発言と動作が妙に変な印象を受けてしまう。身につけている服は美少女キャラのシャツに、何故かピンク色のウサギの耳のついたカチューシャ。彼なりのこだわりなのだろう。
 買い物のついでにイベントにでも寄ったのだろうか。首には紐付けされた美少女キャラのブロマイドが掛けられていた。
 むしろイベントがメインで、買い物がついでかもしれない。
 リシェは思いっきり「嫌だ!!」とはね除ける。
「お前なんかに付き合っている隙は無い!」
「お兄ちゃんの言う事を聞きなさい、リシェ!」
 街中で兄弟喧嘩を見せつけられていたラスは、まあまあと二人を止めた。
 まさか偶然とは言え、彼の身内と遭遇するとは。まずは挨拶を、と頭を下げる。
「むむっ?君は何かね」
「は、初めまして…せ、先輩のルームメイトのラスって言います…」
 リシェの兄はこちらをまじまじと上から下から見た後、眉をぴくりと動かした。そして凄まじい剣幕で叫び始める。
「る、ルームメイト!?ルームメイトだと言うのでござるか!!り、リシェ!?ルームメイトに何か悪戯とかされてはいないであろうね!?そのっ、いやらしいやつとか!?えっちぃやつとか!?正直に!言いなさい!!お兄ちゃん怒らないから!!」
 ルームメイトでそこまで想像を飛躍させるのも凄い。
 いやらしいのとえっちぃのは似たようなものではないのかと思っていると、リシェは「やかましい!!」と怒鳴る。その話し方から、対応すら面倒なのかが窺えた。
 しかし兄は全く止まらない。
「お兄ちゃんに許可なく転校したかと思えば行った先の学校のルームメイトといちゃいちゃとか!!いつからそんないけない子に育ったんだ!!」
 ぐにょりぐにょりとリシェを抱き締め、彼の柔らかそうな頰に頬擦りを繰り返す。
「離せ、気持ち悪い!」
「お兄ちゃんに対してそれはダメでしょ!」
 流石に嫌気が差したのだろう。
「何でもかんでも変な方向に話を持っていくな!!」
 ぼこ、とリシェはくっついてくる兄の頰を殴っていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑) 本編完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら! 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

悪役令息に転生したのに、ヒーローもヒロインも不在で、拾って育てた執事が最強なんだが……なんで?!

はぴねこ
BL
前世の弟が好きだったゲームの世界に、悪役令息として転生してしまった俺。 本来なら、ヒロインをいじめ、ヒーローが活躍するための踏み台になる…… そんな役割のはずなのに、ヒーローともヒロインとも出会えない。 いじめる対象すら見つけられない新米悪役令息とか、ポンコツすぎないだろうか? そんな俺に反して、子供の頃に拾って育てた執事は超優秀で、なぜか「悪役執事スキル」を着実に磨いている。 ……いや、違う! そうじゃない!! 悪役にならなきゃいけないのは俺なんだってば!!! 

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!

めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈ 社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。 もらった能力は“全言語理解”と“回復力”! ……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈ キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん! 出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。 最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈ 攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉ -------------------- ※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!

【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】

彩華
BL
 俺の名前は水野圭。年は25。 自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで) だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。 凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!  凄い! 店員もイケメン! と、実は穴場? な店を見つけたわけで。 (今度からこの店で弁当を買おう) 浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……? 「胃袋掴みたいなぁ」 その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。 ****** そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています お気軽にコメント頂けると嬉しいです ■表紙お借りしました

処理中です...