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そのさんじゅうさん
甘いチョコ、デスソース仕込み
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食堂で晩ご飯を食べたリシェは、後片付けをして自室に戻ろうとしていた。だが突然シエルに呼び止められてしまう。
また面倒な事をしだす気か、とうんざりするリシェ。
「ふふ、今日は何の日か分かってる?」
何故かドヤ顔での登場だった。
「?」
「間抜けな顔してしらばっくれちゃって。あの自意識過剰男から何にも聞かなかったの?バレンタインだよ、バレンタイン」
ああ、とようやくリシェは理解した。そういえばスティレンが紙袋いっぱいのチョコを手にしながらモテ自慢をしていたなと思い出す。
くどいようだが、ここは男子校だ。
一体どこでそんな大量のチョコを受け取るのだろうか。しかも彼はしっかりと受け取ったチョコを食べるとは思えない。
毎日肌の手入れを欠かさないタイプだから、沢山甘い物を口にするとは思えなかった。むしろ見栄を張って自分で買ったのかもしれない。
ぽかーんと口を開いて考え事をするリシェに対し、シエルは可愛らしい顔を嫌味っぽく変化させて「おやおやぁ?」とこれまた嫌味っぽい声を上げていた。
「なぁにぃ?あんた、チョコの一つや二つ、貰ってない訳ぇ?ふふん、寂しいねぇ」
「いや、別に俺は」
必要無いし、と困った顔をする。
「痩せ我慢しなくてもいいんだよぉ?あんたが非モテ童貞な事は誰にも言わないしぃ」
いちいち余計な一言を言わなければダメなのだろうか。
シエルは勝ち誇った顔を浮かべると、リシェの前に小さな箱を突き出した。
「?」
「仕方無いねぇ。まぁったくモテないあんたにプレゼントしたげるよ」
綺麗に包装された箱を見下ろすリシェ。
「同性から貰って嬉しいと思うか?」
「あの自意識過剰男と同じ系統だから嬉しいんじゃないのぉ?」
一緒にするなと言いたいのをぐっと押さえる。
「俺にやるくらいならレナンシェ先生とやらに作ればいいだろう」
レナンシェの名を出した瞬間、シエルは顔を真っ赤にした。
「そんな事、は、恥ずかしくて出来る訳ないじゃない!」
じゃあ何の為に作っているんだ、とリシェは不思議に思った。ひたすら義理チョコを作成する意味が分からない。
突き出されたチョコの箱を渋々受け取るのを見たシエルは、満足そうに笑みを浮かべた。
「ふん、じゃあねぇ★万年童貞君!」
食堂を去っていくシエルを見届けながら、あまりにも酷い渾名だとリシェは思った。
いつ食べたらいいんだと箱を手に自室へ戻ると、部屋で待機していたラスはリシェが持っていた包みを目ざとく見つける。
それを見るなり「せんぱいぃいい~!」と抱きついてきた。うわあ、とリシェは傾く。
「先輩!!俺の為に!!俺の為にチョコを持ってきてくれたんですね!!せんぱい、せんぱいぃいいうれじぃいいい!!!好き好き!!先輩っ、先輩!」
どうやらシエルから貰ったチョコを自分宛てのものだと勘違いしたらしい。引っ付くな!と喚き、これがそんなに欲しいのかと呆れた。
あまりにもしつこいので、ラスに「分かったよ!」とそのチョコを手渡した。いずれにせよどうしたらいいのか分からなかったものだ。
食べてくれるならこちらも助かる。
ラスは目を輝かせて包みを受け取ると、幸せそうな顔で礼を告げた。
そんなにまで欲しいものなのか。
「やったあああああ」
「………」
貰い物だけどなとあらかじめ言ったが、ラスは舞い上がりすぎて聞いていない様子だった。まあいいかとリシェは自分の勉強机に着く。
鼻歌を歌いながらラスは揚々と包みを開き、中身を確認して幸せそうな様子で写真に収めた後、一つだけ口に頬張った。
まあこいつが楽しいならいいや、と様子を見ていたその瞬間。
「うぶぁっ!?」
口にし、噛んだ瞬間ラスはチョコを吹き出していた。
「?」
「うぐっ、げっほ!!う、うげっほ!!な、なんでふかっ、こほれぇ!?」
部屋中に辛そうな匂いが充満していく。ラスは慌てて流し台に走り、口の中を洗った後で冷や汗を流しながら戻ってきた。
リシェは無表情のまま。
「何だ?何か入っていたのか?」
「先輩…チョコん中、デスソース仕込んだでしょ…」
ラスは口を押さえながらリシェに言った。
「俺、さっき貰い物だと言ったぞ。お前が舞い上がって奪うから」
「へ!?も、貰い物ぉ!?」
「そうだ。貰い物だ」
そんなあ、と嘆くラス。がっかりと肩を落とした彼を見ながら、リシェはあいつめと心の中で悪態をつく。
嫌がらせのチョコを作る熱意がある位なら恥ずかしがらずに本命のチョコを作ればいいのに。
咳き込みながら「先輩からのチョコかと思ったのに!」と嘆き続けるラスを無視するかのように、リシェは課題を片付ける為に教科書を広げた。
また面倒な事をしだす気か、とうんざりするリシェ。
「ふふ、今日は何の日か分かってる?」
何故かドヤ顔での登場だった。
「?」
「間抜けな顔してしらばっくれちゃって。あの自意識過剰男から何にも聞かなかったの?バレンタインだよ、バレンタイン」
ああ、とようやくリシェは理解した。そういえばスティレンが紙袋いっぱいのチョコを手にしながらモテ自慢をしていたなと思い出す。
くどいようだが、ここは男子校だ。
一体どこでそんな大量のチョコを受け取るのだろうか。しかも彼はしっかりと受け取ったチョコを食べるとは思えない。
毎日肌の手入れを欠かさないタイプだから、沢山甘い物を口にするとは思えなかった。むしろ見栄を張って自分で買ったのかもしれない。
ぽかーんと口を開いて考え事をするリシェに対し、シエルは可愛らしい顔を嫌味っぽく変化させて「おやおやぁ?」とこれまた嫌味っぽい声を上げていた。
「なぁにぃ?あんた、チョコの一つや二つ、貰ってない訳ぇ?ふふん、寂しいねぇ」
「いや、別に俺は」
必要無いし、と困った顔をする。
「痩せ我慢しなくてもいいんだよぉ?あんたが非モテ童貞な事は誰にも言わないしぃ」
いちいち余計な一言を言わなければダメなのだろうか。
シエルは勝ち誇った顔を浮かべると、リシェの前に小さな箱を突き出した。
「?」
「仕方無いねぇ。まぁったくモテないあんたにプレゼントしたげるよ」
綺麗に包装された箱を見下ろすリシェ。
「同性から貰って嬉しいと思うか?」
「あの自意識過剰男と同じ系統だから嬉しいんじゃないのぉ?」
一緒にするなと言いたいのをぐっと押さえる。
「俺にやるくらいならレナンシェ先生とやらに作ればいいだろう」
レナンシェの名を出した瞬間、シエルは顔を真っ赤にした。
「そんな事、は、恥ずかしくて出来る訳ないじゃない!」
じゃあ何の為に作っているんだ、とリシェは不思議に思った。ひたすら義理チョコを作成する意味が分からない。
突き出されたチョコの箱を渋々受け取るのを見たシエルは、満足そうに笑みを浮かべた。
「ふん、じゃあねぇ★万年童貞君!」
食堂を去っていくシエルを見届けながら、あまりにも酷い渾名だとリシェは思った。
いつ食べたらいいんだと箱を手に自室へ戻ると、部屋で待機していたラスはリシェが持っていた包みを目ざとく見つける。
それを見るなり「せんぱいぃいい~!」と抱きついてきた。うわあ、とリシェは傾く。
「先輩!!俺の為に!!俺の為にチョコを持ってきてくれたんですね!!せんぱい、せんぱいぃいいうれじぃいいい!!!好き好き!!先輩っ、先輩!」
どうやらシエルから貰ったチョコを自分宛てのものだと勘違いしたらしい。引っ付くな!と喚き、これがそんなに欲しいのかと呆れた。
あまりにもしつこいので、ラスに「分かったよ!」とそのチョコを手渡した。いずれにせよどうしたらいいのか分からなかったものだ。
食べてくれるならこちらも助かる。
ラスは目を輝かせて包みを受け取ると、幸せそうな顔で礼を告げた。
そんなにまで欲しいものなのか。
「やったあああああ」
「………」
貰い物だけどなとあらかじめ言ったが、ラスは舞い上がりすぎて聞いていない様子だった。まあいいかとリシェは自分の勉強机に着く。
鼻歌を歌いながらラスは揚々と包みを開き、中身を確認して幸せそうな様子で写真に収めた後、一つだけ口に頬張った。
まあこいつが楽しいならいいや、と様子を見ていたその瞬間。
「うぶぁっ!?」
口にし、噛んだ瞬間ラスはチョコを吹き出していた。
「?」
「うぐっ、げっほ!!う、うげっほ!!な、なんでふかっ、こほれぇ!?」
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そんなあ、と嘆くラス。がっかりと肩を落とした彼を見ながら、リシェはあいつめと心の中で悪態をつく。
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