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そのさんじゅうご
餌付け
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アストレーゼン学園は中高一貫校だ。
その為、中等部と高等部の間にある中庭は両方の学生が休み時間などを利用して休憩の為に集まってくる。お互いの制服のシャツの襟には、中等部の生徒か高等部の生徒なのかを判別しやすいようにワンポイントで校章の刺繍が施されていた。
中等部は銀色。高等部は金色。
高等部の先輩に好んで近付く中等部の生徒はまず居ない。彼らにとって、年上の先輩方の存在は恐怖の対象でしかならないのだ。
…一部を除いては。
「ああんやめてぇ…」
「何するんだよ、このチビ!よくも邪魔しやがったな!」
明らかにそれは中等部の生徒だった。襟元の校章の色で分かったのだ。
目の前でガン飛ばししてくる少年を、リシェは困ったような表情で見つめる。威勢の良い少年と、目を潤ませながら上目遣いをする少年の二人組。似過ぎているという事は双子なのだろう。
だがタイプは全然違うようだ。
「邪魔って…」
「邪魔だろーがよー!今ハトを召喚しようと頑張ってパンを撒き散らしてたのに!お前、パンの切れっ端を置いた側から回収してんじゃねーよ!!空気読め空気!!」
リシェは手にしていた小さなパン屑に目を向ける。
やけに地面に散らばってるなとは思ったが、まさかハトをおびき寄せる為だったとは思わなかった。
「散らかしてると思ったのだ」
「敢えて散らかしてんだよ!!」
因縁をつけてきた少年はリシェからパン屑をひったくると、じろじろと見始めた。
「高等部の奴かよ。中等部かと思った。紛らわしいな」
「へぇえ…んふ、可愛い顔してるぅ」
もう片方の少年は、ふわふわな金髪を風に遊ばせながら小悪魔的な微笑みを向けていた。その笑みはやけに妖しげな雰囲気を醸し出している。
じろじろと見られた事にリシェはやや気分を悪くしながらも、「こんな事したらいくらハトを呼ぶ為だからと言っても怒られるぞ」と先輩らしく注意する。
「ハトが降りてきたら食うから問題無えよ」
「大体、何でハトなんだ。まさかお前らか?ハトを毎回召喚してるのは」
「ああ?知らねーよ。俺達はたまにやってるだけで」
「…やってるじゃないか!!」
お前らのおかげでこちらはハトに襲われるんだぞ、とリシェは訴える。過去数度に渡りハトの襲撃を食らっているのは、もしかしたら裏で彼らが餌をばら撒いているせいもあるかもしれないのだ。
少年らはリシェの剣幕に驚きながら、運が悪いだけだろとスルーを決め込もうとする。
「ハトに好かれる顔だからぁ?僕達のせいって限らないかもよぉ…ほら、求愛行動かもしれないじゃない」
頓珍漢な言葉に、リシェはそんな訳あるか!と怒鳴った。
「お前らはハトに攻撃的な求愛を受けて嬉しいのか!?意味も分からずに突かれる身にもなってみろ!!」
「知るかよ!そもそもハトが人間をピンポイントで突く訳が…」
その時だ。
鳥臭さを感じると同時に、バサバサという羽音を耳にした。周囲を黒っぽいものが走るのを感じる。
「うわ…うわっ!!」
双子はその異様な光景に身を引く。同時にリシェは「ぎゃああああ」と叫んでいた。
「は、ハト!!ハト凄げぇ!てか痛っ!!」
「あぁん、ハトがいっぱぁい!ハトに犯されちゃうう!」
訳の分からない叫びを上げながら、自分らの周囲を取り囲むハトの大群に驚く。
リシェはいつものように突かれながら、だから言ったのに!!と怒鳴る。頭を守りながらうわあああとその場から逃走していく。
不思議な事に、リシェが逃げるに伴って何故かハトの塊も一緒についていった。パン屑を手にしていた双子を完全に無視して。
「やだああああああ」
逃げ惑うリシェを見送りながら、二人は呆気に取られてしまう。
「何あれ?凄くね?」
あまりのハトの懐かれっぷりにぽかんとしてしまう。あれだけの襲撃っぷりを見れば無理も無い。
「ああん。ハトったら、エッチだねぇ。んふふ」
愛くるしい顔をしたもう一人の片割れは、全く見当違いの感想を述べていた。
その為、中等部と高等部の間にある中庭は両方の学生が休み時間などを利用して休憩の為に集まってくる。お互いの制服のシャツの襟には、中等部の生徒か高等部の生徒なのかを判別しやすいようにワンポイントで校章の刺繍が施されていた。
中等部は銀色。高等部は金色。
高等部の先輩に好んで近付く中等部の生徒はまず居ない。彼らにとって、年上の先輩方の存在は恐怖の対象でしかならないのだ。
…一部を除いては。
「ああんやめてぇ…」
「何するんだよ、このチビ!よくも邪魔しやがったな!」
明らかにそれは中等部の生徒だった。襟元の校章の色で分かったのだ。
目の前でガン飛ばししてくる少年を、リシェは困ったような表情で見つめる。威勢の良い少年と、目を潤ませながら上目遣いをする少年の二人組。似過ぎているという事は双子なのだろう。
だがタイプは全然違うようだ。
「邪魔って…」
「邪魔だろーがよー!今ハトを召喚しようと頑張ってパンを撒き散らしてたのに!お前、パンの切れっ端を置いた側から回収してんじゃねーよ!!空気読め空気!!」
リシェは手にしていた小さなパン屑に目を向ける。
やけに地面に散らばってるなとは思ったが、まさかハトをおびき寄せる為だったとは思わなかった。
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じろじろと見られた事にリシェはやや気分を悪くしながらも、「こんな事したらいくらハトを呼ぶ為だからと言っても怒られるぞ」と先輩らしく注意する。
「ハトが降りてきたら食うから問題無えよ」
「大体、何でハトなんだ。まさかお前らか?ハトを毎回召喚してるのは」
「ああ?知らねーよ。俺達はたまにやってるだけで」
「…やってるじゃないか!!」
お前らのおかげでこちらはハトに襲われるんだぞ、とリシェは訴える。過去数度に渡りハトの襲撃を食らっているのは、もしかしたら裏で彼らが餌をばら撒いているせいもあるかもしれないのだ。
少年らはリシェの剣幕に驚きながら、運が悪いだけだろとスルーを決め込もうとする。
「ハトに好かれる顔だからぁ?僕達のせいって限らないかもよぉ…ほら、求愛行動かもしれないじゃない」
頓珍漢な言葉に、リシェはそんな訳あるか!と怒鳴った。
「お前らはハトに攻撃的な求愛を受けて嬉しいのか!?意味も分からずに突かれる身にもなってみろ!!」
「知るかよ!そもそもハトが人間をピンポイントで突く訳が…」
その時だ。
鳥臭さを感じると同時に、バサバサという羽音を耳にした。周囲を黒っぽいものが走るのを感じる。
「うわ…うわっ!!」
双子はその異様な光景に身を引く。同時にリシェは「ぎゃああああ」と叫んでいた。
「は、ハト!!ハト凄げぇ!てか痛っ!!」
「あぁん、ハトがいっぱぁい!ハトに犯されちゃうう!」
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リシェはいつものように突かれながら、だから言ったのに!!と怒鳴る。頭を守りながらうわあああとその場から逃走していく。
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