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そのろくじゅう
【日曜】初顔合わせ【アストレーゼン場所】
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ある日曜の昼下がり。
リシェはぽかぽか陽気で充満している部屋で、すやすやと寝息を立てていた。そこへバイトから戻って来たラスが普通に「先輩」と起こしてくる。
大抵の土日はほとんど昼近くまで眠っているリシェは、ラスの声に対して鬱陶しそうに唸り目をゆっくりと開いた。起こされる事には慣れてはいるものの、自分のペースで起床出来ないのが不満のようで「…何」と小さく呟く。
「先輩、会わせたい人が居るって言ってたでしょ俺」
頭の中が完全に覚醒しないままのリシェは、そうだったっけ…と寝返りをする。ラスはそんな彼に引っ付くと、忘れてたんですかとしょげたように返した。
「バイト先の知り合い。先輩の事をCGだって言うからさあ」
「いいじゃないかそれで…俺の事はほっとけよ」
真っ白い布団に顔を埋めるリシェは、ラスから逃れようと背を向ける。
「もう、俺約束したんだから!」
「勝手に約束するな!!」
自分が知らない所でこちらの同意も無く約束された事に苛立ち、リシェはラスに対して怒り出した。
すぐ間近にあるラスのニコニコ顔が、今やっと目が覚めて頭がはっきりしてきたリシェの感情に余計癪に障る。
「だって先輩、なかなか俺に合わせようとしてくれないんだもん。ならこっちが引っ張るしかないでしょ?」
そう言いながら彼はリシェに甘えるかのように引っ付いた。
「同意してないだろうが!!もうちょっと寝てたいのに」
「寝てばっかりだと休みがおわっちゃうじゃないですかあ」
自分はそれでもいいんだよと鬱陶しそうにリシェは寝ながらラスを見る。すぐ目の前に居るラスは、やっと目が覚めてきた?と無邪気な笑顔を向けてきた。
「俺、今バイト終わってきたばっかなんですよ。んで、ちょうど休みだった相手と一緒に寮の外まで来てたんです」
「は…?」
「本当なら先輩と一緒に向こうに行くのが正解なんだけど、先輩なかなか応じてくれないから。ちょっと顔合わせるだけでいいんで、会って貰えないですか?」
人のせいにするなとギリギリしていたが、待たせているというフレーズに「ん?」と考えを停止させた。
横になったままのリシェと、そんな彼を上から押し付けるようにして見下ろすラス。そしてリシェの隣にはクマのぬいぐるみ。
「何です?」
「お前、待たせてるって?」
「ああ」
待たせてますよ、とにっこり。
「だから先輩、ちょっとだけでいいから」
こうして自分が逃げられないように外堀を埋めていくのか、と彼のやり口にムッとし、リシェは手を伸ばしてラスの耳をぐにいいいっときつく引っ張った。
いきなりの痛みに襲われたラスは「痛ぁああああ」と叫び声を上げる。
「俺はお前のそういう所が嫌いなんだ!!」
「そ、そんな事言わないで下さいよ…」
こうなれば拒否する事も出来ない。
それをラスは見越しているのだ。選択肢を完全に無くし、そうせざるを得ないように仕向けるのが、如何に狡い事なのかを理解していない。
リシェはラスの耳を引っ張り「お前の我儘に付き合うのもうんざりだ!!」と喚いていた。
数十分後。
ラスは不機嫌そうなリシェを引っ張りながら待ち合わせた寮の入口に出た。そこに居たのはメイクをがっつりと決めた派手めの格好をした少女。
携帯電話を片手にしながら、ラスの姿を見るなり「遅いって!」と不満そうな様子で訴えた。だが頰がやたら腫れ上がっている彼の様子に、何?と怪訝そうに眉を寄せる。
「ごめんごめん、先輩物凄く粋が良くて」
相当痛いと思わせる位に腫れ上がっていたが、別に気にしていない様子だ。嫌々引っ張られてきたリシェは舌打ちしながら人を魚みたいに言うなと呟いていた。
「先輩、この子同じバイト先のマルテロ」
ラスの後ろに隠れるようにしていたリシェは、ようやく彼が紹介したいと言っていた相手の顔を初めて確認出来た。ラスと似たようなタイプの少女の顔を見ると、仕方無いと観念したように頭を下げる。
一方でようやくラスの携帯の画像の相手を目の当たりにしたマルテロは、本当にそのままの姿のリシェに口をあんぐりさせていた。
「…CGじゃねぇ!!」
どうやら思った事をそのまま発言してしまう性格のようだ。
「………」
未だに不愉快そうな様子のリシェ。
「だから言ったじゃん、先輩はCGじゃないって!!」
余程信じてなかったのだろう。
「マジで存在してたんだ、ゲームキャラとかだと思ってたのに!うわぁああ、凄っげえええ」
やたら感動してリシェをじろじろ見るマルテロ。
「おい」
耐え切れずリシェはラスの背中を突く。
「帰ってもいいか」
見せ物になった覚えは無い。妙に失礼な人間を相手にする程、彼は優しい性格ではなかった。
「い…いや…待って、待って下さいよぉ…」
一方のラスもどう対処したらいいのか困惑気味で、両方の知り合い故にどちらも無碍に出来ないジレンマに襲われる。
「ちょっと、あたしも写真欲しい!友達に自慢する!めっちゃ可愛い、実際に居るとか思ってなかった、あんたの事だからパソコン画面の奥の彼女とかだと思ってたし!!」
物凄く早口で言う。
やっと目的のリシェを目の前に出来たマルテロだけは嬉しそうに浮かれて写真撮っていい!?と興奮気味にはしゃいでいた。
リシェはぽかぽか陽気で充満している部屋で、すやすやと寝息を立てていた。そこへバイトから戻って来たラスが普通に「先輩」と起こしてくる。
大抵の土日はほとんど昼近くまで眠っているリシェは、ラスの声に対して鬱陶しそうに唸り目をゆっくりと開いた。起こされる事には慣れてはいるものの、自分のペースで起床出来ないのが不満のようで「…何」と小さく呟く。
「先輩、会わせたい人が居るって言ってたでしょ俺」
頭の中が完全に覚醒しないままのリシェは、そうだったっけ…と寝返りをする。ラスはそんな彼に引っ付くと、忘れてたんですかとしょげたように返した。
「バイト先の知り合い。先輩の事をCGだって言うからさあ」
「いいじゃないかそれで…俺の事はほっとけよ」
真っ白い布団に顔を埋めるリシェは、ラスから逃れようと背を向ける。
「もう、俺約束したんだから!」
「勝手に約束するな!!」
自分が知らない所でこちらの同意も無く約束された事に苛立ち、リシェはラスに対して怒り出した。
すぐ間近にあるラスのニコニコ顔が、今やっと目が覚めて頭がはっきりしてきたリシェの感情に余計癪に障る。
「だって先輩、なかなか俺に合わせようとしてくれないんだもん。ならこっちが引っ張るしかないでしょ?」
そう言いながら彼はリシェに甘えるかのように引っ付いた。
「同意してないだろうが!!もうちょっと寝てたいのに」
「寝てばっかりだと休みがおわっちゃうじゃないですかあ」
自分はそれでもいいんだよと鬱陶しそうにリシェは寝ながらラスを見る。すぐ目の前に居るラスは、やっと目が覚めてきた?と無邪気な笑顔を向けてきた。
「俺、今バイト終わってきたばっかなんですよ。んで、ちょうど休みだった相手と一緒に寮の外まで来てたんです」
「は…?」
「本当なら先輩と一緒に向こうに行くのが正解なんだけど、先輩なかなか応じてくれないから。ちょっと顔合わせるだけでいいんで、会って貰えないですか?」
人のせいにするなとギリギリしていたが、待たせているというフレーズに「ん?」と考えを停止させた。
横になったままのリシェと、そんな彼を上から押し付けるようにして見下ろすラス。そしてリシェの隣にはクマのぬいぐるみ。
「何です?」
「お前、待たせてるって?」
「ああ」
待たせてますよ、とにっこり。
「だから先輩、ちょっとだけでいいから」
こうして自分が逃げられないように外堀を埋めていくのか、と彼のやり口にムッとし、リシェは手を伸ばしてラスの耳をぐにいいいっときつく引っ張った。
いきなりの痛みに襲われたラスは「痛ぁああああ」と叫び声を上げる。
「俺はお前のそういう所が嫌いなんだ!!」
「そ、そんな事言わないで下さいよ…」
こうなれば拒否する事も出来ない。
それをラスは見越しているのだ。選択肢を完全に無くし、そうせざるを得ないように仕向けるのが、如何に狡い事なのかを理解していない。
リシェはラスの耳を引っ張り「お前の我儘に付き合うのもうんざりだ!!」と喚いていた。
数十分後。
ラスは不機嫌そうなリシェを引っ張りながら待ち合わせた寮の入口に出た。そこに居たのはメイクをがっつりと決めた派手めの格好をした少女。
携帯電話を片手にしながら、ラスの姿を見るなり「遅いって!」と不満そうな様子で訴えた。だが頰がやたら腫れ上がっている彼の様子に、何?と怪訝そうに眉を寄せる。
「ごめんごめん、先輩物凄く粋が良くて」
相当痛いと思わせる位に腫れ上がっていたが、別に気にしていない様子だ。嫌々引っ張られてきたリシェは舌打ちしながら人を魚みたいに言うなと呟いていた。
「先輩、この子同じバイト先のマルテロ」
ラスの後ろに隠れるようにしていたリシェは、ようやく彼が紹介したいと言っていた相手の顔を初めて確認出来た。ラスと似たようなタイプの少女の顔を見ると、仕方無いと観念したように頭を下げる。
一方でようやくラスの携帯の画像の相手を目の当たりにしたマルテロは、本当にそのままの姿のリシェに口をあんぐりさせていた。
「…CGじゃねぇ!!」
どうやら思った事をそのまま発言してしまう性格のようだ。
「………」
未だに不愉快そうな様子のリシェ。
「だから言ったじゃん、先輩はCGじゃないって!!」
余程信じてなかったのだろう。
「マジで存在してたんだ、ゲームキャラとかだと思ってたのに!うわぁああ、凄っげえええ」
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「おい」
耐え切れずリシェはラスの背中を突く。
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一方のラスもどう対処したらいいのか困惑気味で、両方の知り合い故にどちらも無碍に出来ないジレンマに襲われる。
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