68 / 101
そのろくじゅうなな
類似の変態
しおりを挟む
調べたい物があった為に、オーギュスティンは図書室で該当する本を探し当てひたすら読み漁っては自分のノートに記入し、参考資料に目を通していた。
彼の趣味は解読不明の史書を片っ端から自分流に調べ上げ、今の言葉に直す事だ。色々な文献を読み漁るのがとにかく好きで、現代の言葉で上げていくのが楽しくて堪らないらしい。
メモ程度にノートに書いた後で、パソコンを開いて訂正、更に書き足していく。最初は図書室に持って行って没頭していたが、妙に効率の悪さを感じて持ちだすのをやめた。
直接メモして後で打ち込んだ方が楽な事が分かったのだ。
ただデスクワークと同じく肩こりが酷くなるのが難点。
肩回しをしながら時折休みを入れていると、背後から「やあ」と穏やかな声が聞こえてきた。
「授業が終わったというのにまた勉強中かい?頑張るねぇ」
それが分かるならば邪魔をしないで欲しい。
オーギュスティンは相手を見上げながら思ったが、ええとだけ返した。
「勉強というか、趣味の調べ物をしているだけなので。あなたは何をしにこちらに来たんです、カティル先生」
「ん?私かい?ふらふらしてみたかっただけだよ。たまたま立ち寄ってみたら君が居たからね」
「そうなんですか」
要は暇だったようだ。
出来るなら邪魔をしないで貰いたかったオーギュスティンは、私は忙しいので構わないでくれますかとカティルに頼む。暇な人間に構う時間も勿体無い。
しかしカティルはニコニコしながらオーギュスティンと向かい合わせる形で席に着いた。
はあ?とオーギュスティンは眉を寄せると、「何なんです?」と問う。明らかに邪魔をしたくてたまらない様子ではないか、と。
警戒するオーギュスティンとは逆に、カティルは笑顔のままこちらを見て「そういえば」と話を切り出した。
「君が勧めてくれたアロエ、なかなかの成長をしているよ」
「そうですか。良かったですね」
仕方無くそのまま作業を開始するオーギュスティンは、カティルの話に適当な相槌を打った。
「ただアロエを見ていると、君の顔を思い出してねぇ」
「私は植物ではありません」
何故思い出してしまうのか。自分は単に軽い気持ちで勧めただけなのに。
「これはきっと恋ではないかと思うんだよ、オーギュスティン先生」
「アロエに恋ですか。随分報われない恋をするもんですね。成就出来るように祈りますよ」
書物のページをめくりながら、心にも無い事を言うオーギュスティンに対し、カティルはノーダメージの笑顔で「はっはっは」と笑った。
カティルはメモを書いている最中のオーギュスティンの手をそっと押さえると、優しい声音で続ける。
「どうやら君が気になってしまったようだ」
一応愛の告白である事には違いない。カティルは分かりやすくアプローチをしたつもりだった。
伝わらないはずはない。
一方で作業の邪魔をされ、趣味に没頭したかったオーギュスティンは胡散臭そうな表情で顔を上げる。
「急な求愛で驚いたのかい?オーギュスティン先生」
いかにも不機嫌な顔を剥き出しにしているのに、カティルは勝手に愛の告白に感動しているのだろうと違う捉え方をしてしまう。
「…そんな訳無いでしょう。私の表情で理解出来ませんか?」
そう言う彼の顔は、普段冷静なイメージから相当かけ離れ、酷く苛ついた表情だった。
カティルは「おやおや」と苦笑する。
「嬉しくて仕方無いのかい」
「これが嬉しくて仕方無いと見えるなら、眼鏡を変えた方がいいですよ」
どう見たらそんな風に思えるのだろう。
「そんなに照れなくてもいいのに」
誰かこの馬鹿をどうにかして欲しい。
これでは全然好きな事に没頭出来ないではないか。
「全く照れてもいませんしむしろ邪魔です」
「照れ隠ししなくてもいいのに」
「隠すものなんかありゃしませんよ」
話が全く噛み合わない。オーギュスティンは仕方無く、自分の道具を回収し始める。
「おや?帰るのかい?」
「あなたが邪魔すぎて集中出来ないから引き上げるんです」
「それは大変だ。君がリラックス出来るようにマッサージを施してあげよう。まずは臀部の疲れから始めようか」
完全にセクハラな発言だった。そそ、と隣に近付いてきたカティルを睨むと、手を出そうとした彼の手を掴み甲の柔らかな部分を引きちぎらんばかりに抓り上げる。
んぎゃああ!!と静かな図書館にカティルの変な悲鳴が響いた。
「では私はこれで」
激しい痛みに顔を歪め、カティルは「君は私に尻すら触らせてくれないのかい?」と理解し難い事を言い出した。
やはり感覚がおかしい。オーギュスティンはそんな同僚を睨みながら、「捕まりたく無かったらいらない行動は控えて下さい」と捨て台詞を吐いた。
何故変な行動を好んでしたがるのだろう。
苛立つオーギュスティンに、カティルは痛みに少し涙目になりながら切実に言い返した。
「そ、そんな。ヴェスカ先生を踏んでたらしいじゃないですか。せめて私もあやかりたかったのに…!!」
どこから流れたのだろうか。聞いた瞬間、オーギュスティンはかあっと顔を真っ赤にした。それは全くの誤解なのだ。単にマッサージのつもりだったのに。
「それなら私も踏んで欲しい!オーギュスティン先生、私も踏んで下さいよ!!」
「ばっ…馬鹿を言わないで下さいよ!あれは肩こりが激しいから踏んでくれと言われただけで!!ああもう、嫌だ、嫌すぎる!!」
説明するのも面倒になり、オーギュスティンは迫るカティルにビンタしてしまう。
あふ!と変な声を上げてなよなよと崩れ落ちる彼を無視し、自分の道具を掻っ攫うと逃げるように図書室を後にする。
「ああ、オーギュスティン先生…たまら…な…」
よく分からない性癖に目覚めたカティルは、全身の力を失うと床に膝を突いて顔を紅潮させていた。
彼の趣味は解読不明の史書を片っ端から自分流に調べ上げ、今の言葉に直す事だ。色々な文献を読み漁るのがとにかく好きで、現代の言葉で上げていくのが楽しくて堪らないらしい。
メモ程度にノートに書いた後で、パソコンを開いて訂正、更に書き足していく。最初は図書室に持って行って没頭していたが、妙に効率の悪さを感じて持ちだすのをやめた。
直接メモして後で打ち込んだ方が楽な事が分かったのだ。
ただデスクワークと同じく肩こりが酷くなるのが難点。
肩回しをしながら時折休みを入れていると、背後から「やあ」と穏やかな声が聞こえてきた。
「授業が終わったというのにまた勉強中かい?頑張るねぇ」
それが分かるならば邪魔をしないで欲しい。
オーギュスティンは相手を見上げながら思ったが、ええとだけ返した。
「勉強というか、趣味の調べ物をしているだけなので。あなたは何をしにこちらに来たんです、カティル先生」
「ん?私かい?ふらふらしてみたかっただけだよ。たまたま立ち寄ってみたら君が居たからね」
「そうなんですか」
要は暇だったようだ。
出来るなら邪魔をしないで貰いたかったオーギュスティンは、私は忙しいので構わないでくれますかとカティルに頼む。暇な人間に構う時間も勿体無い。
しかしカティルはニコニコしながらオーギュスティンと向かい合わせる形で席に着いた。
はあ?とオーギュスティンは眉を寄せると、「何なんです?」と問う。明らかに邪魔をしたくてたまらない様子ではないか、と。
警戒するオーギュスティンとは逆に、カティルは笑顔のままこちらを見て「そういえば」と話を切り出した。
「君が勧めてくれたアロエ、なかなかの成長をしているよ」
「そうですか。良かったですね」
仕方無くそのまま作業を開始するオーギュスティンは、カティルの話に適当な相槌を打った。
「ただアロエを見ていると、君の顔を思い出してねぇ」
「私は植物ではありません」
何故思い出してしまうのか。自分は単に軽い気持ちで勧めただけなのに。
「これはきっと恋ではないかと思うんだよ、オーギュスティン先生」
「アロエに恋ですか。随分報われない恋をするもんですね。成就出来るように祈りますよ」
書物のページをめくりながら、心にも無い事を言うオーギュスティンに対し、カティルはノーダメージの笑顔で「はっはっは」と笑った。
カティルはメモを書いている最中のオーギュスティンの手をそっと押さえると、優しい声音で続ける。
「どうやら君が気になってしまったようだ」
一応愛の告白である事には違いない。カティルは分かりやすくアプローチをしたつもりだった。
伝わらないはずはない。
一方で作業の邪魔をされ、趣味に没頭したかったオーギュスティンは胡散臭そうな表情で顔を上げる。
「急な求愛で驚いたのかい?オーギュスティン先生」
いかにも不機嫌な顔を剥き出しにしているのに、カティルは勝手に愛の告白に感動しているのだろうと違う捉え方をしてしまう。
「…そんな訳無いでしょう。私の表情で理解出来ませんか?」
そう言う彼の顔は、普段冷静なイメージから相当かけ離れ、酷く苛ついた表情だった。
カティルは「おやおや」と苦笑する。
「嬉しくて仕方無いのかい」
「これが嬉しくて仕方無いと見えるなら、眼鏡を変えた方がいいですよ」
どう見たらそんな風に思えるのだろう。
「そんなに照れなくてもいいのに」
誰かこの馬鹿をどうにかして欲しい。
これでは全然好きな事に没頭出来ないではないか。
「全く照れてもいませんしむしろ邪魔です」
「照れ隠ししなくてもいいのに」
「隠すものなんかありゃしませんよ」
話が全く噛み合わない。オーギュスティンは仕方無く、自分の道具を回収し始める。
「おや?帰るのかい?」
「あなたが邪魔すぎて集中出来ないから引き上げるんです」
「それは大変だ。君がリラックス出来るようにマッサージを施してあげよう。まずは臀部の疲れから始めようか」
完全にセクハラな発言だった。そそ、と隣に近付いてきたカティルを睨むと、手を出そうとした彼の手を掴み甲の柔らかな部分を引きちぎらんばかりに抓り上げる。
んぎゃああ!!と静かな図書館にカティルの変な悲鳴が響いた。
「では私はこれで」
激しい痛みに顔を歪め、カティルは「君は私に尻すら触らせてくれないのかい?」と理解し難い事を言い出した。
やはり感覚がおかしい。オーギュスティンはそんな同僚を睨みながら、「捕まりたく無かったらいらない行動は控えて下さい」と捨て台詞を吐いた。
何故変な行動を好んでしたがるのだろう。
苛立つオーギュスティンに、カティルは痛みに少し涙目になりながら切実に言い返した。
「そ、そんな。ヴェスカ先生を踏んでたらしいじゃないですか。せめて私もあやかりたかったのに…!!」
どこから流れたのだろうか。聞いた瞬間、オーギュスティンはかあっと顔を真っ赤にした。それは全くの誤解なのだ。単にマッサージのつもりだったのに。
「それなら私も踏んで欲しい!オーギュスティン先生、私も踏んで下さいよ!!」
「ばっ…馬鹿を言わないで下さいよ!あれは肩こりが激しいから踏んでくれと言われただけで!!ああもう、嫌だ、嫌すぎる!!」
説明するのも面倒になり、オーギュスティンは迫るカティルにビンタしてしまう。
あふ!と変な声を上げてなよなよと崩れ落ちる彼を無視し、自分の道具を掻っ攫うと逃げるように図書室を後にする。
「ああ、オーギュスティン先生…たまら…な…」
よく分からない性癖に目覚めたカティルは、全身の力を失うと床に膝を突いて顔を紅潮させていた。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
* ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。
BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
本編完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
きーちゃんと皆の動画をつくりました!
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら!
本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
悪役令息に転生したのに、ヒーローもヒロインも不在で、拾って育てた執事が最強なんだが……なんで?!
はぴねこ
BL
前世の弟が好きだったゲームの世界に、悪役令息として転生してしまった俺。
本来なら、ヒロインをいじめ、ヒーローが活躍するための踏み台になる……
そんな役割のはずなのに、ヒーローともヒロインとも出会えない。
いじめる対象すら見つけられない新米悪役令息とか、ポンコツすぎないだろうか?
そんな俺に反して、子供の頃に拾って育てた執事は超優秀で、なぜか「悪役執事スキル」を着実に磨いている。
……いや、違う!
そうじゃない!!
悪役にならなきゃいけないのは俺なんだってば!!!
劣等アルファは最強王子から逃げられない
東
BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。
ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!
めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈
社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。
もらった能力は“全言語理解”と“回復力”!
……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈
キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん!
出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。
最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈
攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉
--------------------
※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!
【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】
彩華
BL
俺の名前は水野圭。年は25。
自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで)
だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。
凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!
凄い! 店員もイケメン!
と、実は穴場? な店を見つけたわけで。
(今度からこの店で弁当を買おう)
浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……?
「胃袋掴みたいなぁ」
その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。
******
そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる