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そのきゅうじゅうろく
豆
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ころりとテーブルに転がった豆を二人で眺める。
何故中に厳重に豆が搭載されていたのか理解に苦しんでいる中、無言の時間を経てラスはぽつりと呟いた。
「植えますか?」
唐突に言い出す謎の発言。
リシェは眉を寄せて「種じゃないだろう、どう考えたって」と返した。これはどこからどう見ても豆なのだ。
収穫は完全に無いだろう。
「だって…どうしますか?」
「別にいらないし」
小豆色の豆を再び眺める。
「先輩。これ、誰から貰ったんです?」
「同じクラスの奴だけど…それが何か?」
「その人に何かしたとかは?」
まぁ、好意を持たれているのだろうとは思うのだが。
「何もしてない」
リシェは豆を見つめながらラスの質問に返事をした。どちらにしろ、別に必要も無いから捨てても構わないのだ。またマタンゴの中に入れても構わない。
豆なら別にそのまま放置しても何も生えてはこないだろう。
「先輩」
「ん?」
「多分その同級生、先輩を狙ってますよ。そうに違いないです」
「お前じゃあるまいし…」
恋愛脳のラスらしい意見だ。リシェははぁ、と溜息を吐くと、その問題の豆をマタンゴのフィギュアに戻そうとした。そこで、すかさずラスはちょっと待って下さい!と止めに入る。
うんざりしたようにリシェは「何」と聞いた。
「豆のように見えて実は盗聴器かもしれないじゃないですか!」
「そんな訳あるか!!」
「ここは盗聴器の専門家であるスティレンに聞いてみた方がいいんじゃないかなって思うんですよ」
いつの間に盗聴器の専門家になったのだろう。
面倒だから別にいいよと言う。ここでスティレンが関わると面倒な事になりそうだ。リシェが首を振り、それなら捨てればいいじゃないかと言っていると、室内の扉がいきなり開かれる。
「呼んだ?」
ノックもせずに普通にスティレンが入って来た。
「うわぁ、もう」
嫌がるリシェ。何度も仕掛けられた盗聴器を取っ払っているにも関わらず、まだ部屋の中にあるらしい。そして今までもこちらの会話を盗聴していた様子だ。
タイミング良く入ってくる彼に、リシェは「本当に薄気味悪い趣味だな」と呆れた。外見はとにかくいいくせに、内面は非常に粘着質なタイプらしい。
「今度はどこに着けたんだ」
「ふん、それを正直に話すと思う?」
「まぁまぁ。ちょうどいいよ。ね、スティレン。この豆って盗聴器っぽい?」
ラスはラスでスティレンの行動を普通に認知している様子だ。
それもどうかと思うが。
ふんわりと香水の香りを漂わせながら、スティレンは転がった豆を覗き込んだ。そしてすぐに答える。
「うん、豆だね」
ほらやっぱり普通の豆じゃないか、とリシェは言った。
「分かった。もうお前には用は無い。帰れ」
そしてかなり冷たくスティレンをあしらう。
「ちょっと!!何その態度!?リシェのくせに!!」
従兄弟の非常に冷たい態度に、瞬間湯沸かし器のようなスティレンは激怒した。リシェはリシェで、彼の非常識な趣味がお気に召さない模様だ。
「お前がまた人の部屋に変なものを仕込んでいるのが分かってうんざりしているんだ。これは普通に豆なんだろう。それが分かったからもういい。帰れ」
ぷいっと顔を背けた。
「まぁ落ち着いて先輩。…んで、どうしますかこれ?また中に入れますか?」
盗聴器ではないのは確かなようだ。安心したものの、この豆はどうする気なのだろう。
リシェは豆を持っているラスに「お前にやるよ」とぶっきらぼうに言うと、ただ入っていただけで特に何もないんだろうとマタンゴの入ったケースを見た。
「ええ」
俺も別にいらないし、と目線を豆に向けた後で「そうだ」とスティレンを見た。
「じゃあスティレンにあげるよ」
「いらないよ!!」
予想どおりの返事を貰う。
「そっかぁ」
じゃあどうしようかなぁ、と困っていると、リシェはそれをひったくり「誰もいらないなら捨てろ」とあっさりゴミ箱に放った。
「ああ、捨てちゃった。…まぁいいかあ。凄いですね、豆だけでこんなに話が伸びるなんて」
感心するようにラスはニコニコしていた。あまりにも楽観的な彼に対し、スティレンは何いってるのさと呟く。
「単に暇なだけでしょ…」
呆れる彼の側で、リシェは妙に気に入ったのか、マタンゴが入ったケースを携帯電話のカメラで写真を撮っていた。
何故中に厳重に豆が搭載されていたのか理解に苦しんでいる中、無言の時間を経てラスはぽつりと呟いた。
「植えますか?」
唐突に言い出す謎の発言。
リシェは眉を寄せて「種じゃないだろう、どう考えたって」と返した。これはどこからどう見ても豆なのだ。
収穫は完全に無いだろう。
「だって…どうしますか?」
「別にいらないし」
小豆色の豆を再び眺める。
「先輩。これ、誰から貰ったんです?」
「同じクラスの奴だけど…それが何か?」
「その人に何かしたとかは?」
まぁ、好意を持たれているのだろうとは思うのだが。
「何もしてない」
リシェは豆を見つめながらラスの質問に返事をした。どちらにしろ、別に必要も無いから捨てても構わないのだ。またマタンゴの中に入れても構わない。
豆なら別にそのまま放置しても何も生えてはこないだろう。
「先輩」
「ん?」
「多分その同級生、先輩を狙ってますよ。そうに違いないです」
「お前じゃあるまいし…」
恋愛脳のラスらしい意見だ。リシェははぁ、と溜息を吐くと、その問題の豆をマタンゴのフィギュアに戻そうとした。そこで、すかさずラスはちょっと待って下さい!と止めに入る。
うんざりしたようにリシェは「何」と聞いた。
「豆のように見えて実は盗聴器かもしれないじゃないですか!」
「そんな訳あるか!!」
「ここは盗聴器の専門家であるスティレンに聞いてみた方がいいんじゃないかなって思うんですよ」
いつの間に盗聴器の専門家になったのだろう。
面倒だから別にいいよと言う。ここでスティレンが関わると面倒な事になりそうだ。リシェが首を振り、それなら捨てればいいじゃないかと言っていると、室内の扉がいきなり開かれる。
「呼んだ?」
ノックもせずに普通にスティレンが入って来た。
「うわぁ、もう」
嫌がるリシェ。何度も仕掛けられた盗聴器を取っ払っているにも関わらず、まだ部屋の中にあるらしい。そして今までもこちらの会話を盗聴していた様子だ。
タイミング良く入ってくる彼に、リシェは「本当に薄気味悪い趣味だな」と呆れた。外見はとにかくいいくせに、内面は非常に粘着質なタイプらしい。
「今度はどこに着けたんだ」
「ふん、それを正直に話すと思う?」
「まぁまぁ。ちょうどいいよ。ね、スティレン。この豆って盗聴器っぽい?」
ラスはラスでスティレンの行動を普通に認知している様子だ。
それもどうかと思うが。
ふんわりと香水の香りを漂わせながら、スティレンは転がった豆を覗き込んだ。そしてすぐに答える。
「うん、豆だね」
ほらやっぱり普通の豆じゃないか、とリシェは言った。
「分かった。もうお前には用は無い。帰れ」
そしてかなり冷たくスティレンをあしらう。
「ちょっと!!何その態度!?リシェのくせに!!」
従兄弟の非常に冷たい態度に、瞬間湯沸かし器のようなスティレンは激怒した。リシェはリシェで、彼の非常識な趣味がお気に召さない模様だ。
「お前がまた人の部屋に変なものを仕込んでいるのが分かってうんざりしているんだ。これは普通に豆なんだろう。それが分かったからもういい。帰れ」
ぷいっと顔を背けた。
「まぁ落ち着いて先輩。…んで、どうしますかこれ?また中に入れますか?」
盗聴器ではないのは確かなようだ。安心したものの、この豆はどうする気なのだろう。
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