異世界学園の中の変な仲間たち2

へすこ(ひしご)

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そのきゅうじゅうなな

素直じゃない寂しがり

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「リシェ君、ラス先輩が迎えに来たよ」
 いつものように授業が終わり、自分の荷物を纏めていたリシェにクラスメイトが声をかけてきた。言われるまま教室の出入口を見ると、鞄を肩にかけるラスがにっこりと笑いながら手をヒラヒラさせている。
 毎度の義務のように終わればやって来るのでうんざりする気力も無くなっている。慣れてしまえば普通になるものだ。
 今週は清掃当番ではないのですぐ帰る事が出来る。
 鞄を持ち、リシェは慣れた様子でラスの元へ向かった。スティレンはその間、最後の授業に使っていたクラス全員のプリントを提出する為に職員室に届けに出て、まだ戻っていない。
「今日はどこか行きます?明日休みだし…先輩とデートしたいなぁ♡なんて思ったりもして…」
「別に欲しいものは無いからいい」
「えー」
 一見真面目そうなリシェと、どう見てもチャラそうで、格好も制服を着崩したりピアスを開けたり派手な様子のラスの組み合わせは不釣り合いな印象だったが、しょっちゅうリシェを求めに通い詰めていた為に生徒達の目も慣れた様子だった。
 今では普通に弟を迎えに来た兄のような扱い。
「俺、先輩と一緒に街を歩きたい!」
「面倒臭いなあ…」
 会話の中身は違和感を受けるが。
 しつこいラスの要望を仕方無く受け入れる形で、リシェは渋々彼と街へと繰り出す代わりにパフェをご馳走になる事で合意した。
「やったー!デートだ!」
「約束だぞ」
 二人が教室から去った後、役目を終えたスティレンは再び教室に戻ってくる。そしてリシェの姿が無い事に気付いた。
 周囲を見回す彼に、これまたクラスメイトが話しかける。
「リシェ君なら少し前にラス先輩と出て行ったよ」
 その言葉に、当然ながらスティレンは「はぁあ?」と不愉快そうに声を放った。
「あいつはまた何で俺を待たないかなぁ!」
「ラス先輩が来てたからそのまま行ったよ」
 またあいつか!と彼はぷりぷりしながら自分の身支度をする。我儘なスティレンは、彼が自分を待つ事が当然だと思っていたので勝手に置いていかれた事自体腹立たしいようだ。
 教えてくれた優しいクラスメイトは、一人怒り狂うスティレンに「何かデート行ったみたいだけど」と問いかける。
「大丈夫?」
 ただでさえ面倒なタイプなスティレンの顔を不安げに覗き込んだ。
「大丈夫な訳ないじゃない!ああもう、こうしちゃいられないや。早く追いかけないと!」
 鞄を持ち、スティレンは急いで教室を飛び出していった。
 残されたクラスメイトはぽかんと口を開きながら、スティレンのリシェに対する執着心につい感心する。
「…早っ」
 あまりの素早さに思わず呟いてしまった。

 生徒の波を駆け抜け、スティレンは昇降口まで辿り着く。
 仲良くデートなんてさせるか!という気持ちが強かったのだ。しかも自分を差し置いてなんて許されない。
 自分の靴が収納されている靴棚に近付くと、まだ校舎から出ていないリシェとラスの姿が見えてくる。それを確認すると、スティレンは妙に安心した。
 …なんだ、まだそれ程移動してなかったじゃないか。
 つい口元が緩んだ。
 自分を置いてきた事を心底後悔させてやるんだからね!と意気込むスティレンは、まだ靴を履き替える事無く立ち止まって会話をしている二人に「ちょっと!!」と怒鳴り込んだ。
 同時にこちらを振り向く二人。
「俺を差し置いて行くなんてっ、許される訳ないでしょ!!抜け駆けしないでくれないかなぁ!?」
 ようやく追いつき、息を切らしながらスティレンは叫んだ。
 リシェはきょとんとした顔をしている。
「スティレン、どこに行ってたの?先輩の側に居なかったから変だなって思ってたのに」
 自分を置き去った事を悪びれもせずラスが問いかけてくる。スティレンは「はあ?」と彼を睨んだ。
「授業で使ったプリントを提出しに行ったんだよ!むしろリシェ、お前が俺を待たないでどうするのさ!?普通そのまま帰る!?全く気が利かないんだから!!仲良くデートなんてさせるかっての、ムカつく!!」
 リシェはラスを困った表情で見上げた。
「ほら」
 案の定そうだったろう?と続ける。ラスもふふっと笑った。
「そんなに怒らないでよ。…先輩、スティレンを待とうって言ってたんだよ?俺はデートしたくてたまらなかったんだけどね」
 スティレンはしばらくカッカしていたものの、意外な事実に脳内の処理が追いつかず理解するまでに時間を要した。
 間を開け、ようやく冷静になり「……は?」と間抜けに問う。
「スティレンを置いていくと後でめちゃくちゃうるさいからって」
 リシェは事実だろうと突っぱねる。
「は…??何、え?」
 まさか自分を待っていたというオチ。
 ではこの怒りはどう処理をしたら良いのだろうか。混乱していると、突然腕が掴まれた。
「ほら、行くぞ」
「じゃあ三人で遊びに行きましょう、先輩。それならいいでしょう?」
 リシェはこくりと頷く。
「これなら文句言わないだろう、スティレン?」
 やや小馬鹿にしたように揶揄う従兄弟に、怒りのやり場を塞がれたスティレンは「当然でしょ!!」と吐き捨てるように言う。
「この俺を置いていくなんて許されない事だからね!少しは分かってきたようだから褒めてあげてもいいんだよ、リシェ!」
 本当はめちゃくちゃ嬉しいくせに、何故素直に喜ばないのか。
「寂しがりだなあ、スティレンは」
 この期に及んで全く素直ではない彼に、ラスは思わず吹き出してしまった。
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