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“ロナ”
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ヴェルベットside
最近可愛い子を買い取った。
たまたま見世物小屋を通った時に傷だらけの少年が檻の中でうずくまってるのを見つけた。
見世物小屋での人身売買、身売りはこの街の禁止事項に値する。
屋敷に戻ったあと素早くボクの側近であり国の騎士王のジークを自室に呼ぶ。
「なるほど。承知致しました。全く…急な仕事ですが…。ベル様は引き続き御屋敷で資料の整理をなされてください。」
失礼します。とジークは屋敷から出て資料を確認する。
そもそも、半年前の王族会議で全ての人身売買、闇オークションは一掃されたず。
捕まえきれなかったネズミが息を潜めて人身売買をしていたらしい。
ボクは色々考えながら眼鏡をかけ、資料を確認する。
裏ルートから仕入れた資料には先程街で見かけた青年のプロフィールが書かれていた。
「…名前が…ない?」
名前が無い。だけではなかった。
家族構成、身長、体重、全てにおいて空白。
唯一あるのは性別が男なのと、血液型が稀に見ないα種だった。
「α型。元貴族か、裕福な家庭だったのかな。」
一般的にこの国には3種の血液型があり、
貴族の少数や国王、騎士に稀に見るα型。
平民や女性、貴族の8割、一般的なβ型。
貧しい者や未熟児、子供が大人になるまでの成長期の時に流れている血液、Δ型
「Δ型じゃないってことは…18歳以上。」
もちろん彼が売れて欲しいがために嘘の情報を売人側は書いているかもしれない。
「買い取った後に調べないとね。」
ボクはそう言いながら資料を机に置いてジークが準備してくれたハーブティーを飲む。
しばらく経ち計画は順調に進み彼を手に入れることが出来た。
手を差し伸べても無反応でまるで感情をどこかに捨てたような子だった。
問題はそこでは無かった。
人とのコミュニケーションで大切な声が出ないのだ。
馬車の中で彼の少し首輪で赤黒くなった喉をまじまじと見るが跡が着いているだけで潰された痕跡は無い。
多分彼は声が出なくなってしまったのだろう。
とりあえずボクは安心させるために隣に行き頭を撫でて落ち着かせる。
頭にも鞭で打たれた跡や瘡蓋があり、もうとっくに処理されたであろう売人に再度殺意が湧いた。
痩せていて辛そうな彼はいかにも平凡で何の変哲もない男の子だがボクは何故かそんな彼に惹かれてしまった。
売れなかった彼を引き取ったのは仕事の一環だが…うん。彼を完全にボクの者として育て上げよう。
そう考えた。
屋敷につき、湯浴みをさせた。
体の傷がだいぶ惨かったがひとまず応急処置をジークとふたりでやった。
キミ、と呼びずらかった言い方もロナという名前が決まり呼びやすくなった。
食事も食べさせ普通の生活を送り1週間。
最近ロナは読み書きを覚えた。
と言っても声は出ないから読まないけどね。
よくロナは子供のようなぐちゃぐちゃな字をノートに書き見せてくる。
『これ、よめてる?べるべつとさん』
「うん読める読める。ロナは覚えが早いね」
ぱぁっと表情を変え鼻歌の幻聴が聞こえるかのように部屋を回る。
ロナは初めてあった時とは違い表情の変化が分かりやすくなった。
笑顔が可愛かったり、悲しい顔がそそられたり。どうやらボクもロナに振り回されてるようだ。
コンコン
と、ロナの部屋をノックすると、ジークがいた。
「ベル様。」
「ロナはねたのかい?」
ロナはどうやら先程まで泣いていたのか涙のあとが見える。
「はい。ベル様。」
「トラウマは拭えないか…そいえばジーク。奴らは口を割ったか?」
ジークの隣に座りすやすやと眠るロナの髪を撫でる。
奴ら。闇オークションをしていた貴族たちをつかまえ、騎士達に独房を見張らせている。
そんな奴らから事情を聞くべきだと判断しボクはジークに奴らの管理を任せたのだ。
「いえ。口を割るどころかなぜ自分たちが悪いのか理解していない状況でした。」
「あぁ…嫌になってしまうね。ロナ以外の売買された人達は貴族を当って保護を進めているかい?」
ロナの赤くなった目元を優しく撫でながらジークに問う。
実際問題、売買に関係した物、人を保護するのもボク達騎士の役目。
ロナだけではなかった。
「安心してください。ベル様。アンジュ騎士総監が各々保護対応されています。アンジュに怒られてしまいましたよ。闇オークションを野放しにするなど管理不足だと。」
アンジュ騎士総監。
彼女はすごく生真面目でボクが事務騎士になる前はよく手合わせをしてくれていた。
今でも生真面目なのは変わらず先日ボクにも説教通知が届いたばかりだ。
「相変わらずだね。それじゃあなにか進展があったら逐一ボクに報告を。」
「あぁ、そうです。ベル様。」
「?なに?ジーク。」
ジークは腰をかけていたベッドから立ち上がり微笑む。
「今日はロナと寝てあげてください。」
それでは。お休みなさいませ。
そういいジークはロナの部屋から出ていく。
ロナを見るとまた涙を貯めていた。
悪い夢でも見ているのだろうか。
優しく頭を撫でていると可愛らしい寝息が聞こえてくる。
声は出なくても、自然に出てくる可愛らしい産声にボクは自然に笑顔になる。
安心していいよ。
ここにはロナの味方しかいないから。
最近可愛い子を買い取った。
たまたま見世物小屋を通った時に傷だらけの少年が檻の中でうずくまってるのを見つけた。
見世物小屋での人身売買、身売りはこの街の禁止事項に値する。
屋敷に戻ったあと素早くボクの側近であり国の騎士王のジークを自室に呼ぶ。
「なるほど。承知致しました。全く…急な仕事ですが…。ベル様は引き続き御屋敷で資料の整理をなされてください。」
失礼します。とジークは屋敷から出て資料を確認する。
そもそも、半年前の王族会議で全ての人身売買、闇オークションは一掃されたず。
捕まえきれなかったネズミが息を潜めて人身売買をしていたらしい。
ボクは色々考えながら眼鏡をかけ、資料を確認する。
裏ルートから仕入れた資料には先程街で見かけた青年のプロフィールが書かれていた。
「…名前が…ない?」
名前が無い。だけではなかった。
家族構成、身長、体重、全てにおいて空白。
唯一あるのは性別が男なのと、血液型が稀に見ないα種だった。
「α型。元貴族か、裕福な家庭だったのかな。」
一般的にこの国には3種の血液型があり、
貴族の少数や国王、騎士に稀に見るα型。
平民や女性、貴族の8割、一般的なβ型。
貧しい者や未熟児、子供が大人になるまでの成長期の時に流れている血液、Δ型
「Δ型じゃないってことは…18歳以上。」
もちろん彼が売れて欲しいがために嘘の情報を売人側は書いているかもしれない。
「買い取った後に調べないとね。」
ボクはそう言いながら資料を机に置いてジークが準備してくれたハーブティーを飲む。
しばらく経ち計画は順調に進み彼を手に入れることが出来た。
手を差し伸べても無反応でまるで感情をどこかに捨てたような子だった。
問題はそこでは無かった。
人とのコミュニケーションで大切な声が出ないのだ。
馬車の中で彼の少し首輪で赤黒くなった喉をまじまじと見るが跡が着いているだけで潰された痕跡は無い。
多分彼は声が出なくなってしまったのだろう。
とりあえずボクは安心させるために隣に行き頭を撫でて落ち着かせる。
頭にも鞭で打たれた跡や瘡蓋があり、もうとっくに処理されたであろう売人に再度殺意が湧いた。
痩せていて辛そうな彼はいかにも平凡で何の変哲もない男の子だがボクは何故かそんな彼に惹かれてしまった。
売れなかった彼を引き取ったのは仕事の一環だが…うん。彼を完全にボクの者として育て上げよう。
そう考えた。
屋敷につき、湯浴みをさせた。
体の傷がだいぶ惨かったがひとまず応急処置をジークとふたりでやった。
キミ、と呼びずらかった言い方もロナという名前が決まり呼びやすくなった。
食事も食べさせ普通の生活を送り1週間。
最近ロナは読み書きを覚えた。
と言っても声は出ないから読まないけどね。
よくロナは子供のようなぐちゃぐちゃな字をノートに書き見せてくる。
『これ、よめてる?べるべつとさん』
「うん読める読める。ロナは覚えが早いね」
ぱぁっと表情を変え鼻歌の幻聴が聞こえるかのように部屋を回る。
ロナは初めてあった時とは違い表情の変化が分かりやすくなった。
笑顔が可愛かったり、悲しい顔がそそられたり。どうやらボクもロナに振り回されてるようだ。
コンコン
と、ロナの部屋をノックすると、ジークがいた。
「ベル様。」
「ロナはねたのかい?」
ロナはどうやら先程まで泣いていたのか涙のあとが見える。
「はい。ベル様。」
「トラウマは拭えないか…そいえばジーク。奴らは口を割ったか?」
ジークの隣に座りすやすやと眠るロナの髪を撫でる。
奴ら。闇オークションをしていた貴族たちをつかまえ、騎士達に独房を見張らせている。
そんな奴らから事情を聞くべきだと判断しボクはジークに奴らの管理を任せたのだ。
「いえ。口を割るどころかなぜ自分たちが悪いのか理解していない状況でした。」
「あぁ…嫌になってしまうね。ロナ以外の売買された人達は貴族を当って保護を進めているかい?」
ロナの赤くなった目元を優しく撫でながらジークに問う。
実際問題、売買に関係した物、人を保護するのもボク達騎士の役目。
ロナだけではなかった。
「安心してください。ベル様。アンジュ騎士総監が各々保護対応されています。アンジュに怒られてしまいましたよ。闇オークションを野放しにするなど管理不足だと。」
アンジュ騎士総監。
彼女はすごく生真面目でボクが事務騎士になる前はよく手合わせをしてくれていた。
今でも生真面目なのは変わらず先日ボクにも説教通知が届いたばかりだ。
「相変わらずだね。それじゃあなにか進展があったら逐一ボクに報告を。」
「あぁ、そうです。ベル様。」
「?なに?ジーク。」
ジークは腰をかけていたベッドから立ち上がり微笑む。
「今日はロナと寝てあげてください。」
それでは。お休みなさいませ。
そういいジークはロナの部屋から出ていく。
ロナを見るとまた涙を貯めていた。
悪い夢でも見ているのだろうか。
優しく頭を撫でていると可愛らしい寝息が聞こえてくる。
声は出なくても、自然に出てくる可愛らしい産声にボクは自然に笑顔になる。
安心していいよ。
ここにはロナの味方しかいないから。
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