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一体
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とっぷりと日の暮れた街並みは、うっすら橙色に染まっている。俺は産まれてこのかたずっとこの街で過ごしてきた。多くの建物が建てられては、消えて行き昔から形を変えず残っているものはごく僅か。
変わらないのは、空の色のみか。セピア色の街並みから、どこかセンチメンタルになりながら歩を進める。
仕事を終えて心身共に疲弊しきった身体に鞭打ってずるずると帰る。
明日は休みだ。今宵は酒に溺れてしまおうかと、自宅の冷蔵庫に眠る酒とつまみを想うと少し足取りが軽くなった。
シャワーで1日の汗水を洗い流し、さっぱりしたところで1人贅沢な宴の準備を始める。数日前スーパーのつまみコーナーに置いてあった裂きイカ。コンビニで見つけた新発売のカップ焼きそば。趣味で始めた糠漬けの中からキュウリとゆで卵を取り出し、一口大に切ってゆく。これらをちゃぶ台に並べ、酒も同様に並べていく。
そして、俺の宴は始まった。
キンキンに冷えた酒をあおり、並べたつまみを平らげてゆく。日本酒、焼酎、ビールなど、様々な酒を好んで呑んで飲みまくる。
アルコールも回り、身体も熱くなりつつも脳髄がとろけてしまったような感覚だ。
酒は無くなってしまい、1人の宴は終わりを迎えた。夜風に当たりたくて俺は外に出た。
おぼつかない足取りで、行く当ても無く進む。ひんやりとした空気が、酒の入った体に心地よい。酒で熱くなった身体がいい感じに冷やされる。
ふと、頭上を見上げる。濃紺の夜空には銀色の星々が光輝く。灰色の雲が月を覆い、金色に変わる。
やがて月を覆っていた雲は流れ、明るい満月が顔を出した。
「いい眺めだなあ」
草の匂いや虫の鳴き声、風の柔らかさなど味覚以外の感覚が満たされ、自然と一体化したような気分になり、ますます気分が良くなった。
満月が出て少し良くなった視界に、人影を見つけた。全体的に白く、細長い影。
目を凝らしてみると、明るい栗色のセミロングの女性がいた。小さな顔は伏し目がちな表情を浮かべ、うっすら赤みを帯びている。女性は何だかもじもじとした動きを見せる。どうしたものかと少し近づけば、俺は目を疑った。彼女は、一糸纏わない、産まれたままの姿だったのだ。
彼女の白い肌を、満月が妖しく照らしている。小柄な身体に見合った控えめな乳房は陶器のように滑らかで、その頂点には赤い蕾が咲いていて何とも艶かしい。
細く、むちむちとして柔らかそうな太ももは内股で擦り合っており、その間からは透明な液体が一筋伝っている。
俺は、ごくりと生唾を飲んだ。なぜ全裸の女性が外を出歩いているのだろう。それに、見たところまだ成人すらしていない。
俺はただ固まっていた。そんな俺に女性もとい少女が来た。
「おじさんも私と一緒、だね」
「ねえ、おじさん。今夜一緒に…」
これは一体どういうことなのか。だが、先程大量に飲んだ酒で頭が回らない。とろけた脳髄は思考を無くし、そこから意識は途切れた。
目を覚ませば、俺は灰色の狭い部屋にいた。一体どういうことなのか。痛む頭に意識を持っていかれそうになりながらなんとか目を覚ます。
「目が覚めたかい」
聞きなれない男の声がした。
「ここは、どこですか」
「取調室だよ」
「どうして、俺はこんな所に…あれ、あのの子は?」
「あの子?あの子って何なんだ」
「それより、俺はどうしてこんな所に」
「それは鏡を見れば分かるよ」
俺は鏡を見た。鏡には、だらしなく出た腹部が、毛にまみれた足が、産まれたころからずっと着いている息子がはしたなく立っていた。
俺は絶句した。
変わらないのは、空の色のみか。セピア色の街並みから、どこかセンチメンタルになりながら歩を進める。
仕事を終えて心身共に疲弊しきった身体に鞭打ってずるずると帰る。
明日は休みだ。今宵は酒に溺れてしまおうかと、自宅の冷蔵庫に眠る酒とつまみを想うと少し足取りが軽くなった。
シャワーで1日の汗水を洗い流し、さっぱりしたところで1人贅沢な宴の準備を始める。数日前スーパーのつまみコーナーに置いてあった裂きイカ。コンビニで見つけた新発売のカップ焼きそば。趣味で始めた糠漬けの中からキュウリとゆで卵を取り出し、一口大に切ってゆく。これらをちゃぶ台に並べ、酒も同様に並べていく。
そして、俺の宴は始まった。
キンキンに冷えた酒をあおり、並べたつまみを平らげてゆく。日本酒、焼酎、ビールなど、様々な酒を好んで呑んで飲みまくる。
アルコールも回り、身体も熱くなりつつも脳髄がとろけてしまったような感覚だ。
酒は無くなってしまい、1人の宴は終わりを迎えた。夜風に当たりたくて俺は外に出た。
おぼつかない足取りで、行く当ても無く進む。ひんやりとした空気が、酒の入った体に心地よい。酒で熱くなった身体がいい感じに冷やされる。
ふと、頭上を見上げる。濃紺の夜空には銀色の星々が光輝く。灰色の雲が月を覆い、金色に変わる。
やがて月を覆っていた雲は流れ、明るい満月が顔を出した。
「いい眺めだなあ」
草の匂いや虫の鳴き声、風の柔らかさなど味覚以外の感覚が満たされ、自然と一体化したような気分になり、ますます気分が良くなった。
満月が出て少し良くなった視界に、人影を見つけた。全体的に白く、細長い影。
目を凝らしてみると、明るい栗色のセミロングの女性がいた。小さな顔は伏し目がちな表情を浮かべ、うっすら赤みを帯びている。女性は何だかもじもじとした動きを見せる。どうしたものかと少し近づけば、俺は目を疑った。彼女は、一糸纏わない、産まれたままの姿だったのだ。
彼女の白い肌を、満月が妖しく照らしている。小柄な身体に見合った控えめな乳房は陶器のように滑らかで、その頂点には赤い蕾が咲いていて何とも艶かしい。
細く、むちむちとして柔らかそうな太ももは内股で擦り合っており、その間からは透明な液体が一筋伝っている。
俺は、ごくりと生唾を飲んだ。なぜ全裸の女性が外を出歩いているのだろう。それに、見たところまだ成人すらしていない。
俺はただ固まっていた。そんな俺に女性もとい少女が来た。
「おじさんも私と一緒、だね」
「ねえ、おじさん。今夜一緒に…」
これは一体どういうことなのか。だが、先程大量に飲んだ酒で頭が回らない。とろけた脳髄は思考を無くし、そこから意識は途切れた。
目を覚ませば、俺は灰色の狭い部屋にいた。一体どういうことなのか。痛む頭に意識を持っていかれそうになりながらなんとか目を覚ます。
「目が覚めたかい」
聞きなれない男の声がした。
「ここは、どこですか」
「取調室だよ」
「どうして、俺はこんな所に…あれ、あのの子は?」
「あの子?あの子って何なんだ」
「それより、俺はどうしてこんな所に」
「それは鏡を見れば分かるよ」
俺は鏡を見た。鏡には、だらしなく出た腹部が、毛にまみれた足が、産まれたころからずっと着いている息子がはしたなく立っていた。
俺は絶句した。
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