それぞれの日記をつけ始めた少女たち

神流

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藍色の彼女は相棒を守る 1

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「ベルっ! お前ニゲラのこといじめてるんだってな!!」
「ベロニカにもひどいことをしているそうだな。シーホール、君がこんな女性だとは思わなかった」
「ネモフィラ様にも失礼な態度をとっていたとか。見損なったよ、ブルーベル嬢」
「…へ?」

青天の霹靂とはこのことかと混乱した頭の片隅で、なぜか出てきた言葉。
だけど言いたい、私はなぜ知り合いから言い詰め寄らているのだろうか。

ブルーベルは前世の記憶がある。
そのせいでこの世界が乙ゲーの色日記シリーズ「藍色日記~ユニコーン商会編」でありその主人公だということに。
普通ならよっしゃーっ!!と大喚起するところだが、前世喪女な腐女子。
そんな女は貪欲に男なんて漁れません。(別のものなら欲しいので頑張った。)
なので、ストーリーの商会建設と商品販売のみをメインに今日まで頑張ってきました。
相手役たちとも商会ギルドの取引相手として、卸業者として、悪友な幼馴染として×2、学生時代の先輩として、そして元生徒として接してきたはず。
なのに、これはなんだ?という心境。

「聞いてるのかベルっ」
「聞いてるけど、ごめん。ベロニカとかネモフィラとか、はてはニゲラって誰? マジで知らないんだけど??」

聞き覚えのない名前を復唱するも、私が知っている前世情報だとベロニカは同じ学校の1個下の後輩(会ったことはなし)、ネモフィラは商会ギルドの後援をしている貴族の娘さん(噂は聞いたことある)、ニゲラは近所にある喫茶店の看板娘(なお行ったことはない)。

私の困惑顔に幼馴染たちはあれっと首を傾げたが、他は問屋が卸さない状態に。
「ふざけるな、ブルーベル・シーホール。貴様がしたことはすべて聞いている」
「そうですよ、学校でも言っているのを聞いたのですから」
「聞いていましたが、まさかこんな人が契約を重んじる商会に所属していたとは」
「…君は、最低だ」
「いやだから何の話?」

マジでちんぷんかんぷんことを言われ、気が付くのが遅かった。

「嘘つかなくていいんですよ、学校でのことはベロニカから聞いていますよ」
「ネモフィラ様からも聞き及んでいます」
「俺たちは」
「喫茶店に行ったときにニゲラから」

(…あ、彼女たち転生者か)

頭が余計痛くなった。
ブルーベルは頭に手を当て文字通り頭を抱えた。
自分が転生しているなら、この国にも他の転生者がいる可能性を考えておくべきだったと。
そして彼女たちは私を蹴落とし、自身が主人公、ひいては逆ハーを目論でいるのだろう。
ならばとる手段は一つ。

「…聞いていてよくわかりませんが、わかりました。だからこそ言わせてもらいます。まずベロニカさんでしたっけ、学校ってなんの話ですか? 私が最後に学校に行ったのって諸々の事情で退学した2年も前の話ですよ。それとネモフィラ様についてですが、貴族相手に平民である私に何ができるんですか? うちは小さな雑貨屋ですし。それでニゲラさん。彼女近所の喫茶店の看板娘さんらしいけど私その喫茶店一度も行ったことないし、行こうとしたらあんたら嫌な顔するからお店に来る人から聞く情報しかないんですけど」

 鼻息荒くいうと、アレっという顔をされた。

「…そういえば君は家の事情で退学をしていたね」
「確かに平民は何もできないし、彼女は貴賓用の出入り口に専用の部屋を使っていた」
「…そうだっけ?」「そういやそうだ」
「はぁぁぁぁぁぁ」

思わず大きなため息を吐くと気まずそうに視線を逸らす男たち。
十中八九色仕掛けを受けたのだろう。
ジト目見てからブルーベルは決めていたことを話すことにした。

「わかりました。皆さんとはそこまで親しくありませんが、私がこの町にいるのが嫌そうなので早々に引っ越したいと思います。てか、予定していました」
「「「「「「え?」」」」」」

ポカンとした間抜けずらに幾分か溜飲が落ちたブルーベルは踵を返した。

「とある場所で商売をしたいとずっと考えていたので、そこでいい物件をお持ちの方に声をかけていただいたのでそちらに移り住むことになっていたんです」
「は、聞いてないぞベルっ」
「いや、幼馴染でも最近会っていない人にどう言えと。まぁ最後に挨拶はする予定だったけど今日が最後でいいや」

振り向きあっけらかんと言った私に幼馴染だけ悲しそうな顔をしてきた。

「なら彼女たちの言っていたことは」
「いや、だから面識もないのにどうしてそう言われたのか私も知らないんですけど」

 元先生の言葉に鋭く突っ込むと、彼はばつが悪そうに視線をそらした。
それぞれが困惑のるつぼに落ちたところでブルーベルは再び踵を返しその場から去った。
そして彼女は宣言通り1カ月もかからずに町はもとより国から出て行った。
その時荷馬車を引いていた馬が話題になり慌てて引き留めようとした周りから出ていく原因の聞き、詰め寄っていた男たちは批難受けることとなった。
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