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門出
店内の応接間で話を聞き終えた店長は怒っていた。
店長は 私が看病中、何度かデリックの家に食事の差し入れをしてくれたので、看病している私を目撃した一人だった。
「いい青年だと思ったのに残念だ」
「きっと私達の愛が偽物だったのです」
「デリックは本物の愛を裏切ったんだ。甘い言葉と体にまどわされたのだな。
やり直す気はないんだね?」
「2人が交わっている現場を見てしまいましたし、彼は事実確認をちゃんとせずに裏切る人だと分かりました。彼と結婚しても、何かあればまた彼は浮気します」
子供ができたり病気とかで夜の相手をしてあげられなくなったら浮気するだろうなと思ってしまう。
デリックは顔もいいし鍛えているからモテるのだろう。現にローズマリーがデリックを狙っていたわけだから。
だとしたら、またローズマリーのような女が現れてもおかしくない。その時また彼は私を裏切る可能性がある。
「アイリーンに辞められるのはかなりの痛手だが仕方ないな。ちょっと待っていなさい」
少し席を外すと店長は戻って来て小さな巾着を私にに手渡した。
「給金の精算だ。今までありがとう」
「こちらこそ ご迷惑をお掛けしました」
「後のことは任せておきなさい」
「? はい」
「帰って旅支度をしなさい。買うものもあるだろう?」
「ありがとうございます」
そのまま退職が許され、少し買い物をして家に帰った。
伯父から了承の手紙が届き、運送屋のロバートさんからも了承が取れたので、あれから4日後の朝、両親に挨拶をしてロバートさんの馬車に乗った。運送の仕事の一つに領主様の町との往復便がある。その担当がロバートさんだ。本当にありがたい。無料でいいらしい。お礼に食事を作って持って来た。最初の休憩で朝食として食べてくれた。
この土地の領主はレオナード・セイラス伯爵で、代々領地を守ってきた家門だ。屋敷に一番近い町ザンヌが領内で一番大きな町だ。
15時頃に到着して伯父さんの家の前で降ろしてもらった。
「ロバートさん、ありがとうございました」
「こちらこそご馳走様、道中話が出来て楽しかったよ」
馬車を見送って、お店の中に入った。
「アイリーン!?」
「伯父さん?」
お父さんによく似た人だから直ぐに分かった。
「大きくなって……ソフィー!ソフィー!」
伯父さんが伯母さんの名を呼ぶと奥から出て来た。
「ソフィー、アイリーンだ。すごく大きくなったけど面影がある」
伯父さん達とは6年前に会ったきりだった。
叔父さんたちは宿屋を営んでいるので休んで実家に戻ることは簡単にできない。
「大きくなって……辛かったね」
「……」
「さあ、おいで。ライルの嫁に紹介しよう」
事務所に行くと従兄のライル兄さんと女性がいた。彼女が4年前にお嫁に来たケイトさんだろう。
「ライル、アイリーンが来たよ」
「アイリーン!」
「ライル兄さん」
「更に可愛くなって」
「冗談は止めてください」
「冗談じゃないよ。6年前も可愛かったけど、今は17歳か」
「18歳になりました」
「早いなぁ」
「ライル、紹介して」
「従妹のアイリーンだ。
アイリーン、彼女は嫁のケイトだよ」
「初めまして、アイリーンです。少しの間お世話になります」
「初めまして、ライルの妻です。早く仕事が見つかるといいですね」
「ケイト何言ってるんだよ。
アイリーン、ゆっくり宿にいればいいからな。いっそ宿に定住していいんだぞ。
アイリーン1人くらい俺が養うよ」
「そんな冗談は止めてください」
「冗談なんかじゃないさ、アイリーンは働かなくていい。だけどたまに昼食を作ってくれたら嬉しいな。アイリーンの手料理が食べられるなら午後も頑張れるよ」
「直ぐに職を見つけますので」
「何を言っているんだ。疲れたんだね。今日はゆっくり休みなさい。明日は町を案内しよう」
「ライルには仕事があるでしょう」
「6年ぶりの従兄妹の再会だぞ?毎日働いているんだから少しくらいで文句を言われたくない。そんなに人手不足なら人を雇えばいい」
ダメだ…ここに居候はできない。1日でも早く職を見つけないと。
店長は 私が看病中、何度かデリックの家に食事の差し入れをしてくれたので、看病している私を目撃した一人だった。
「いい青年だと思ったのに残念だ」
「きっと私達の愛が偽物だったのです」
「デリックは本物の愛を裏切ったんだ。甘い言葉と体にまどわされたのだな。
やり直す気はないんだね?」
「2人が交わっている現場を見てしまいましたし、彼は事実確認をちゃんとせずに裏切る人だと分かりました。彼と結婚しても、何かあればまた彼は浮気します」
子供ができたり病気とかで夜の相手をしてあげられなくなったら浮気するだろうなと思ってしまう。
デリックは顔もいいし鍛えているからモテるのだろう。現にローズマリーがデリックを狙っていたわけだから。
だとしたら、またローズマリーのような女が現れてもおかしくない。その時また彼は私を裏切る可能性がある。
「アイリーンに辞められるのはかなりの痛手だが仕方ないな。ちょっと待っていなさい」
少し席を外すと店長は戻って来て小さな巾着を私にに手渡した。
「給金の精算だ。今までありがとう」
「こちらこそ ご迷惑をお掛けしました」
「後のことは任せておきなさい」
「? はい」
「帰って旅支度をしなさい。買うものもあるだろう?」
「ありがとうございます」
そのまま退職が許され、少し買い物をして家に帰った。
伯父から了承の手紙が届き、運送屋のロバートさんからも了承が取れたので、あれから4日後の朝、両親に挨拶をしてロバートさんの馬車に乗った。運送の仕事の一つに領主様の町との往復便がある。その担当がロバートさんだ。本当にありがたい。無料でいいらしい。お礼に食事を作って持って来た。最初の休憩で朝食として食べてくれた。
この土地の領主はレオナード・セイラス伯爵で、代々領地を守ってきた家門だ。屋敷に一番近い町ザンヌが領内で一番大きな町だ。
15時頃に到着して伯父さんの家の前で降ろしてもらった。
「ロバートさん、ありがとうございました」
「こちらこそご馳走様、道中話が出来て楽しかったよ」
馬車を見送って、お店の中に入った。
「アイリーン!?」
「伯父さん?」
お父さんによく似た人だから直ぐに分かった。
「大きくなって……ソフィー!ソフィー!」
伯父さんが伯母さんの名を呼ぶと奥から出て来た。
「ソフィー、アイリーンだ。すごく大きくなったけど面影がある」
伯父さん達とは6年前に会ったきりだった。
叔父さんたちは宿屋を営んでいるので休んで実家に戻ることは簡単にできない。
「大きくなって……辛かったね」
「……」
「さあ、おいで。ライルの嫁に紹介しよう」
事務所に行くと従兄のライル兄さんと女性がいた。彼女が4年前にお嫁に来たケイトさんだろう。
「ライル、アイリーンが来たよ」
「アイリーン!」
「ライル兄さん」
「更に可愛くなって」
「冗談は止めてください」
「冗談じゃないよ。6年前も可愛かったけど、今は17歳か」
「18歳になりました」
「早いなぁ」
「ライル、紹介して」
「従妹のアイリーンだ。
アイリーン、彼女は嫁のケイトだよ」
「初めまして、アイリーンです。少しの間お世話になります」
「初めまして、ライルの妻です。早く仕事が見つかるといいですね」
「ケイト何言ってるんだよ。
アイリーン、ゆっくり宿にいればいいからな。いっそ宿に定住していいんだぞ。
アイリーン1人くらい俺が養うよ」
「そんな冗談は止めてください」
「冗談なんかじゃないさ、アイリーンは働かなくていい。だけどたまに昼食を作ってくれたら嬉しいな。アイリーンの手料理が食べられるなら午後も頑張れるよ」
「直ぐに職を見つけますので」
「何を言っているんだ。疲れたんだね。今日はゆっくり休みなさい。明日は町を案内しよう」
「ライルには仕事があるでしょう」
「6年ぶりの従兄妹の再会だぞ?毎日働いているんだから少しくらいで文句を言われたくない。そんなに人手不足なら人を雇えばいい」
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