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私には勝てませんよ
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「ダリウス先生には初心者の指導をしてもらいます。
弓を触るのが初めての方…5人、的に当たらない方…7人。12人はダリウス先生について行ってください」
私はグリゾフ先生の方を向いていた。
その私の前にダリウス王子が立った。
「キュアノスくん。君はこっちだろう」
「違います」
「射ればすぐにバレるぞ。早く来い」
「的に当たりますからグリゾフ先生に習います」
「5歩下がった距離から当てるわけではないぞ?」
「ダリウス先生、どうしましたか」
「キュアノスくんがこちらに来ないのです」
「キュアノスさん?」
「私は経験者で的にも当たります」
「ダリウス先生、キュアノスさんは私が教えます」
「いいえ、僕が教えた方がいいでしょう。この子が経験者のはずがありませんから」
「キュアノスさん」
「経験者としてグリゾフ先生に習います」
「ではこちらに、」
「待ってください。
キュアノスくん。試しに射ってみてください」
「ダリウス先生。あなたは教師に向きませんよ」
「失礼だぞ」
「経験者としてグリゾフ先生の元に集まっている生徒はたくさんいます。なのに何故私にだけ執拗に絡むのですか?ハラスメントです」
「ハラスメント?」
「嫌がらせという意味です」
「嫌がらせなどしていない」
「では何故私にだけ執拗に絡むのですか?
しかも経験者であるとさっきから言っているではありませんか。それでも初心者達と混ぜようとする行為は嫌がらせでなければ私を根拠無く嘘つき呼ばわりしているのと一緒です」
「おまえが的に当てられるはずがないだろう」
「そこまで。
確かにダリウス先生に問題がありますね。
まず生徒を“おまえ”などと呼ばないこと。
剣術とは違って経験者と初心者を分けなくとも本来は問題ではありません。
効率を考えて分けているだけです。
ダリウス先生は何を根拠にキュアノスさんにだけ突っかかるのですか?」
「突っかかっているわけではありません」
「グリゾフ先生、私とダリウス先生とで的当てを競っていいですか。このままですと他の生徒の時間を無駄にしてしまいますから」
「ダリウス先生、どうしますか?」
「いいでしょう。やります」
「グリゾフ先生、一番遠い的でお願いします」
「いいのですか?」
「はい。
ダリウス先生、1矢の勝負でいいですね?」
「僕はいいですよ」
我儘王子を連れて的から一番遠くに離れたけど、私にはまだ近い。
「近いですね」
「え?」
「まあ学園内では仕方ないですかね」
袋から弓を取り出すと王子は鼻で笑った。
「大きけりゃ良いってものじゃないんだぞ?」
「早く準備してください」
王子も弓を手に持った。
「お先にどうぞ」
「ふん。手本を見せてあげよう」
王子は構えて矢を射た。的の外から2番目の線辺りに刺さった。
次は私の番なので構えると、やっぱり王子はあれこれ言い出した。
「弓は真ん中を持つんだ。馬鹿みたいに大きい弓など使うから、」
シュッ トン!
その場にいた全員が押し黙った。
的を見に行ったグリゾフ先生が旗をふった。
ど真ん中に矢が刺さったという合図だった。
「すっげー!ど真ん中だ!」
「何だよ、勉強だけじゃなくて弓術まで満点かよ。すごいな」
グリゾフ先生が戻ってきて結論を告げた。
「勝負はキュアノスさんの勝ちです。
ダリウス先生、キュアノスさんに謝罪をしてください」
「え?」
「根拠もなしに何度も一方的に初心者扱いしたのですから、詫びを入れるべきです。ダリウス先生のために授業が20分近く無駄になっているのですよ」
「っ!……キュアノスくん。申し訳ありません」
「謝罪を受け入れます。では失礼します」
王子に背を向けてグリゾフ先生の元へ。
「グリゾフ先生、よろしくお願いします」
「正直、教えることは無さそうな気がしますが」
「そんな事はありません。弓を引くグリゾフ先生の腕や肩の筋肉が見たいです。背中も見れたら嬉しいです」
「キュアノスさん…私に服を脱げと?」
「うふふっ」
1時間後
「この大きな弓は元々真ん中を持たないものなのですね」
「はい。これは遠くの国の弓を再現したもので、飛距離も凄いんです。私の弓は私の体に合わせているのでこれでも小さめなのです。
大型のもので使いこなせる方が矢を射れば、さっきの的までの距離の5倍以上飛ぶそうです」
「そんなに遠くまでですか!?」
「はい。私の体と力では無理ですけど。
剣術と一緒です。ロングソードなどの重量のあるものは女性は不利ですよね」
「言っておきますが剣に触ったら駄目ですからね。私がクビになります」
「そのときは婿に来てください」
「私は既婚者ですよ。可愛い子供もいます」
「残念」
ビュン トン!
「さすが 先生」
「確かにこの弓 良いですね」
「約束通りご都合します」
「お代は払います」
私と同じ和弓を作って先生に渡す(本人の希望により買い上げ)ことを条件に、グリゾフ先生は上半身裸になって私の弓を引いた。
素敵な筋肉を至近距離で拝んだ。
弓を触るのが初めての方…5人、的に当たらない方…7人。12人はダリウス先生について行ってください」
私はグリゾフ先生の方を向いていた。
その私の前にダリウス王子が立った。
「キュアノスくん。君はこっちだろう」
「違います」
「射ればすぐにバレるぞ。早く来い」
「的に当たりますからグリゾフ先生に習います」
「5歩下がった距離から当てるわけではないぞ?」
「ダリウス先生、どうしましたか」
「キュアノスくんがこちらに来ないのです」
「キュアノスさん?」
「私は経験者で的にも当たります」
「ダリウス先生、キュアノスさんは私が教えます」
「いいえ、僕が教えた方がいいでしょう。この子が経験者のはずがありませんから」
「キュアノスさん」
「経験者としてグリゾフ先生に習います」
「ではこちらに、」
「待ってください。
キュアノスくん。試しに射ってみてください」
「ダリウス先生。あなたは教師に向きませんよ」
「失礼だぞ」
「経験者としてグリゾフ先生の元に集まっている生徒はたくさんいます。なのに何故私にだけ執拗に絡むのですか?ハラスメントです」
「ハラスメント?」
「嫌がらせという意味です」
「嫌がらせなどしていない」
「では何故私にだけ執拗に絡むのですか?
しかも経験者であるとさっきから言っているではありませんか。それでも初心者達と混ぜようとする行為は嫌がらせでなければ私を根拠無く嘘つき呼ばわりしているのと一緒です」
「おまえが的に当てられるはずがないだろう」
「そこまで。
確かにダリウス先生に問題がありますね。
まず生徒を“おまえ”などと呼ばないこと。
剣術とは違って経験者と初心者を分けなくとも本来は問題ではありません。
効率を考えて分けているだけです。
ダリウス先生は何を根拠にキュアノスさんにだけ突っかかるのですか?」
「突っかかっているわけではありません」
「グリゾフ先生、私とダリウス先生とで的当てを競っていいですか。このままですと他の生徒の時間を無駄にしてしまいますから」
「ダリウス先生、どうしますか?」
「いいでしょう。やります」
「グリゾフ先生、一番遠い的でお願いします」
「いいのですか?」
「はい。
ダリウス先生、1矢の勝負でいいですね?」
「僕はいいですよ」
我儘王子を連れて的から一番遠くに離れたけど、私にはまだ近い。
「近いですね」
「え?」
「まあ学園内では仕方ないですかね」
袋から弓を取り出すと王子は鼻で笑った。
「大きけりゃ良いってものじゃないんだぞ?」
「早く準備してください」
王子も弓を手に持った。
「お先にどうぞ」
「ふん。手本を見せてあげよう」
王子は構えて矢を射た。的の外から2番目の線辺りに刺さった。
次は私の番なので構えると、やっぱり王子はあれこれ言い出した。
「弓は真ん中を持つんだ。馬鹿みたいに大きい弓など使うから、」
シュッ トン!
その場にいた全員が押し黙った。
的を見に行ったグリゾフ先生が旗をふった。
ど真ん中に矢が刺さったという合図だった。
「すっげー!ど真ん中だ!」
「何だよ、勉強だけじゃなくて弓術まで満点かよ。すごいな」
グリゾフ先生が戻ってきて結論を告げた。
「勝負はキュアノスさんの勝ちです。
ダリウス先生、キュアノスさんに謝罪をしてください」
「え?」
「根拠もなしに何度も一方的に初心者扱いしたのですから、詫びを入れるべきです。ダリウス先生のために授業が20分近く無駄になっているのですよ」
「っ!……キュアノスくん。申し訳ありません」
「謝罪を受け入れます。では失礼します」
王子に背を向けてグリゾフ先生の元へ。
「グリゾフ先生、よろしくお願いします」
「正直、教えることは無さそうな気がしますが」
「そんな事はありません。弓を引くグリゾフ先生の腕や肩の筋肉が見たいです。背中も見れたら嬉しいです」
「キュアノスさん…私に服を脱げと?」
「うふふっ」
1時間後
「この大きな弓は元々真ん中を持たないものなのですね」
「はい。これは遠くの国の弓を再現したもので、飛距離も凄いんです。私の弓は私の体に合わせているのでこれでも小さめなのです。
大型のもので使いこなせる方が矢を射れば、さっきの的までの距離の5倍以上飛ぶそうです」
「そんなに遠くまでですか!?」
「はい。私の体と力では無理ですけど。
剣術と一緒です。ロングソードなどの重量のあるものは女性は不利ですよね」
「言っておきますが剣に触ったら駄目ですからね。私がクビになります」
「そのときは婿に来てください」
「私は既婚者ですよ。可愛い子供もいます」
「残念」
ビュン トン!
「さすが 先生」
「確かにこの弓 良いですね」
「約束通りご都合します」
「お代は払います」
私と同じ和弓を作って先生に渡す(本人の希望により買い上げ)ことを条件に、グリゾフ先生は上半身裸になって私の弓を引いた。
素敵な筋肉を至近距離で拝んだ。
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