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緑の翼
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【 緑の翼所属 ゼノンの視点 】
王宮兵士にはそれぞれ階級と役割がある。
表向きトップに君臨するのは銀の翼と呼ばれる近衛騎士の中でも国王陛下をお守りする部隊。
赤の翼は王族や高位貴族の事件などを調査・処罰の執行をする部隊。
黒の翼と緑の翼は表に出ない。黒の翼は諜報・工作の精鋭部隊。緑の翼は王族の護衛に就きながら動向を見守り安全を確保する国王陛下直属の少数精鋭部隊だ。普通の近衛とは違い判断まで行うのが緑の翼の役目。緑の翼が必要だと思えば陛下にお伺いを立てなくとも我々の判断で始末することもある。
私は国王陛下の特命を受けてヴラシス殿下の専属護衛に就いていた。
ヴラシス殿下は陛下と寵妃との間に生まれた王子で、寵妃が平民出身であったことから正妃の生んだ第一王子と第二王子が疎んでいた。
陛下はヴラシス殿下の身を案じて私を就けた。
異母兄達や正妃からの言動、使用人達の言動を報告したり、利用する者が現れないか見張った。
ヴラシス殿下が7歳になり、友人を作らせようと陛下は考えたが、高位貴族の子供達を集めた茶会に参加させても浮いてしまった。異母兄達のせいかヴラシス殿下が半分平民の血が混じっていることを知っているようで、差別感情が伝わってきた。
思い悩んでいたところ、陛下の補佐室の中に歳の近い娘を持った者がいた。“うちの娘は賢い”とよく親バカ発言をしていたらしい。
相手が子爵家の令嬢ということで、陛下は躊躇った。身分差とヴラシス殿下の粗暴さで、令嬢に嫌な思いをさせるのではという懸念があった。
それでも、同年代と遊べないヴラシス殿下に心を痛めた陛下が子爵に頼み込んだ。
現れた子は体も小さく 年齢よりとても幼く見える6歳のエリシア・キュアノス子爵令嬢だった。
何というか、まるで小動物のような愛くるしさがあり、大きな瞳で見上げられると悶えそうになる。ヴラシス殿下も同じ反応をしたように見えた。
令嬢は子爵に抱っこされ、降ろそうとすると嫌がって、子爵の首に腕を巻き付けて抵抗していた。
子爵は顔が溶けて消えそうなくらい嬉しそうだった。
同年代との関わりが不慣れで 陛下に甘やかされた殿下は緊張したまま令嬢に言葉を投げかける。
エリシア嬢はヴラシス殿下を拒否した。
一度休憩を入れて両者を引き離した。
『俺の何が気に入らないんだ?』
『身分が違いすぎて失敗が怖いのですよ』
『俺の血のことじゃなくて?』
『違います』
『黒髪が嫌なんじゃないかな』
『殿下。小さな女の子には優しくしなくてはなりません。思ったことをポンポン言っていてはいけません。優しい言葉に置き換えなけれはなりません』
『例えば?』
『チビなんて言ってはいけません。可愛いと言えばいいのです』
『そっ、そんなこと言えるわけないだろう!』
『仲良くなりたいのでしょう?』
『……』
ヴラシス殿下は顔を赤くして頷いた。
もう一度、子爵と令嬢を部屋に通すと令嬢は6歳児より幼く振る舞う一方でかなり難しい言葉を時々使う。
しまいには“王子御免状”というものを国王陛下に発行させた。我が国始まって以来のとんでもない免状だろう。後々、この免状をロイス殿下とダリウス殿下にも使っていた。名前を入れずに“王子”とした理由がその時に分かった。
ヴラシス殿下は頻繁に子爵邸に先触れも何もなく遊びに行った。もちろん教育係や世話係も先触れは大事だと教えた。
2人きりになったとき、ヴラシス殿下に聞いてみた。
『だって。エリシアはどうせ断るだろう?』
『……』
『嫌がられているのは分かってる。分かってるけど、ゼノンが言ったんだろう?エリシアにはすぐに虫が付くって』
確かに言った。
あれだけ可愛い子なら、令息達が放っておかない。
しかも子爵家のご令嬢。格上からのアプローチにどこまで断ることかできるのか。それに優しくて器用な令息が現れたら、好きになってしまうかもしれないと教えた。
『虫は大丈夫かもしれません』
『何で?』
何故なら国王陛下の寵愛を受けているヴラシス殿下をあれほどぞんざいに扱えるなら 高位貴族の令息も同じだろう。
ヴラシス殿下は6歳児に手のひらで転がされているのだ。だがそれが殿下を伸び伸びとさせた。
唯一の居場所を見つけたのだ。
エリシア嬢は不思議な令嬢だった。
お菓子や食事について既にあれこれ厨房に指示をしていて、子爵家の食事やお菓子はとても美味しかったし、珍しいものも多かった。
そして難しい言葉を使うから殿下がついていけない。
『俺が馬鹿だからエリシアの言葉が時々分からないのかな』
『エリシア嬢の使う言葉は大人が使う言葉が多々あります。エリシア嬢の側にいたいのならしっかり勉強なさらないと置いていかれますよ』
その日から王宮にいる時間は猛勉強を始めた。陛下はヴラシス殿下の変化にとても喜んだ。
エリシア嬢は殿下にタメ口で話し敬うことはない。嫌なら嫌とはっきり言うし迷惑そうにする。だが差別感情はない。
子爵は予め、殿下の出生について説明していた。6歳の子に、平民との子とか説明したのかと当時は呆れたが、エリシア嬢を知ってからは適切だったと納得した。
『ヴラシス殿下が差別を受けていることについてどう思われますか?』
こっそりエリシア嬢に質問をした。
『上の王子2人から?虐げた王子たちは馬鹿だと思う。わざわざ敵を作るだなんて。アリーシャ妃は単なる平民じゃないよ。自国の平民ならまだ分かるけど、隣国から国賓として招待されるほどの要人が平民と分かった上で雇っていた侍女だよ?どんなコネがあるか分からないじゃない。
今は大人しくしていても国王が代替わりしたら、内部からはヴラシスが、外部からは隣国が仕掛けてくる場合もあるわ。他の賛同する国も攻めて来るかもしれないじゃない。
わざわざ虐げて禍根を残す真似をするなんて愚かだわ。そもそも責めるなら父親にでしょう』
『……』
この時は 怖っ!6歳児の発言か!?と鳥肌が立った。そしてもう一つの質問をした。
『黒髪はやっぱり嫌ですか?』
『なんかこの世界の人は黒髪が嫌みたいね。
私は鼻が低くて黒髪がタイプだけど。
出来れば歳は30歳以上がいいかな』
『……』
ヴラシス殿下には吉報なのに、何だ30歳以上って!
しかも、何でヴラシス殿下の前で私に婿の誘いなんて…。お陰でずっとヴラシス殿下からは警戒されて、ついには王女就きに移動させられた。
楽しかったのに…。
移動してからもエリシア嬢は私のことを話題に出すようで、“エリシアを見たら隠れろよ”と殿下に言われる始末。
だけどやっと再会出来たのは赤の翼が絡んだ時だった。
王宮兵士にはそれぞれ階級と役割がある。
表向きトップに君臨するのは銀の翼と呼ばれる近衛騎士の中でも国王陛下をお守りする部隊。
赤の翼は王族や高位貴族の事件などを調査・処罰の執行をする部隊。
黒の翼と緑の翼は表に出ない。黒の翼は諜報・工作の精鋭部隊。緑の翼は王族の護衛に就きながら動向を見守り安全を確保する国王陛下直属の少数精鋭部隊だ。普通の近衛とは違い判断まで行うのが緑の翼の役目。緑の翼が必要だと思えば陛下にお伺いを立てなくとも我々の判断で始末することもある。
私は国王陛下の特命を受けてヴラシス殿下の専属護衛に就いていた。
ヴラシス殿下は陛下と寵妃との間に生まれた王子で、寵妃が平民出身であったことから正妃の生んだ第一王子と第二王子が疎んでいた。
陛下はヴラシス殿下の身を案じて私を就けた。
異母兄達や正妃からの言動、使用人達の言動を報告したり、利用する者が現れないか見張った。
ヴラシス殿下が7歳になり、友人を作らせようと陛下は考えたが、高位貴族の子供達を集めた茶会に参加させても浮いてしまった。異母兄達のせいかヴラシス殿下が半分平民の血が混じっていることを知っているようで、差別感情が伝わってきた。
思い悩んでいたところ、陛下の補佐室の中に歳の近い娘を持った者がいた。“うちの娘は賢い”とよく親バカ発言をしていたらしい。
相手が子爵家の令嬢ということで、陛下は躊躇った。身分差とヴラシス殿下の粗暴さで、令嬢に嫌な思いをさせるのではという懸念があった。
それでも、同年代と遊べないヴラシス殿下に心を痛めた陛下が子爵に頼み込んだ。
現れた子は体も小さく 年齢よりとても幼く見える6歳のエリシア・キュアノス子爵令嬢だった。
何というか、まるで小動物のような愛くるしさがあり、大きな瞳で見上げられると悶えそうになる。ヴラシス殿下も同じ反応をしたように見えた。
令嬢は子爵に抱っこされ、降ろそうとすると嫌がって、子爵の首に腕を巻き付けて抵抗していた。
子爵は顔が溶けて消えそうなくらい嬉しそうだった。
同年代との関わりが不慣れで 陛下に甘やかされた殿下は緊張したまま令嬢に言葉を投げかける。
エリシア嬢はヴラシス殿下を拒否した。
一度休憩を入れて両者を引き離した。
『俺の何が気に入らないんだ?』
『身分が違いすぎて失敗が怖いのですよ』
『俺の血のことじゃなくて?』
『違います』
『黒髪が嫌なんじゃないかな』
『殿下。小さな女の子には優しくしなくてはなりません。思ったことをポンポン言っていてはいけません。優しい言葉に置き換えなけれはなりません』
『例えば?』
『チビなんて言ってはいけません。可愛いと言えばいいのです』
『そっ、そんなこと言えるわけないだろう!』
『仲良くなりたいのでしょう?』
『……』
ヴラシス殿下は顔を赤くして頷いた。
もう一度、子爵と令嬢を部屋に通すと令嬢は6歳児より幼く振る舞う一方でかなり難しい言葉を時々使う。
しまいには“王子御免状”というものを国王陛下に発行させた。我が国始まって以来のとんでもない免状だろう。後々、この免状をロイス殿下とダリウス殿下にも使っていた。名前を入れずに“王子”とした理由がその時に分かった。
ヴラシス殿下は頻繁に子爵邸に先触れも何もなく遊びに行った。もちろん教育係や世話係も先触れは大事だと教えた。
2人きりになったとき、ヴラシス殿下に聞いてみた。
『だって。エリシアはどうせ断るだろう?』
『……』
『嫌がられているのは分かってる。分かってるけど、ゼノンが言ったんだろう?エリシアにはすぐに虫が付くって』
確かに言った。
あれだけ可愛い子なら、令息達が放っておかない。
しかも子爵家のご令嬢。格上からのアプローチにどこまで断ることかできるのか。それに優しくて器用な令息が現れたら、好きになってしまうかもしれないと教えた。
『虫は大丈夫かもしれません』
『何で?』
何故なら国王陛下の寵愛を受けているヴラシス殿下をあれほどぞんざいに扱えるなら 高位貴族の令息も同じだろう。
ヴラシス殿下は6歳児に手のひらで転がされているのだ。だがそれが殿下を伸び伸びとさせた。
唯一の居場所を見つけたのだ。
エリシア嬢は不思議な令嬢だった。
お菓子や食事について既にあれこれ厨房に指示をしていて、子爵家の食事やお菓子はとても美味しかったし、珍しいものも多かった。
そして難しい言葉を使うから殿下がついていけない。
『俺が馬鹿だからエリシアの言葉が時々分からないのかな』
『エリシア嬢の使う言葉は大人が使う言葉が多々あります。エリシア嬢の側にいたいのならしっかり勉強なさらないと置いていかれますよ』
その日から王宮にいる時間は猛勉強を始めた。陛下はヴラシス殿下の変化にとても喜んだ。
エリシア嬢は殿下にタメ口で話し敬うことはない。嫌なら嫌とはっきり言うし迷惑そうにする。だが差別感情はない。
子爵は予め、殿下の出生について説明していた。6歳の子に、平民との子とか説明したのかと当時は呆れたが、エリシア嬢を知ってからは適切だったと納得した。
『ヴラシス殿下が差別を受けていることについてどう思われますか?』
こっそりエリシア嬢に質問をした。
『上の王子2人から?虐げた王子たちは馬鹿だと思う。わざわざ敵を作るだなんて。アリーシャ妃は単なる平民じゃないよ。自国の平民ならまだ分かるけど、隣国から国賓として招待されるほどの要人が平民と分かった上で雇っていた侍女だよ?どんなコネがあるか分からないじゃない。
今は大人しくしていても国王が代替わりしたら、内部からはヴラシスが、外部からは隣国が仕掛けてくる場合もあるわ。他の賛同する国も攻めて来るかもしれないじゃない。
わざわざ虐げて禍根を残す真似をするなんて愚かだわ。そもそも責めるなら父親にでしょう』
『……』
この時は 怖っ!6歳児の発言か!?と鳥肌が立った。そしてもう一つの質問をした。
『黒髪はやっぱり嫌ですか?』
『なんかこの世界の人は黒髪が嫌みたいね。
私は鼻が低くて黒髪がタイプだけど。
出来れば歳は30歳以上がいいかな』
『……』
ヴラシス殿下には吉報なのに、何だ30歳以上って!
しかも、何でヴラシス殿下の前で私に婿の誘いなんて…。お陰でずっとヴラシス殿下からは警戒されて、ついには王女就きに移動させられた。
楽しかったのに…。
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