【完結】執着系王子のご執心は回避できませんか?

ユユ

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秘密の空間

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【 緑の翼 ゼノンの視点 】

ヴラシス殿下のお披露目パーティで事件があった。
すっかりレディに成長したエリシア嬢が強姦未遂に遭って、ギリギリのところをヴラシス殿下が止めに入った。

相手はラバル侯爵令嬢と伯爵令息。
ヴラシス殿下は実行犯の伯爵令息へ剣を振り下ろしていた。宮廷医は助からないと宣告した。
教唆犯の侯爵令嬢は重度の鼻骨骨折だった。ヴラシス殿下は相手が女でも容赦ないことが分かった。
被害者は子爵令嬢だけど彼女は王家の招待客でヴラシス殿下のパートナー。しかもヴラシス王子殿下のお披露目パーティの最中に起きた事件だったため赤の翼に調査権が移った。

侯爵令嬢は否定を繰り返し、伯爵令息は死んだ。
現行犯だったことで罪状は確定なのだが、エリシア嬢が殴られて気を失った状態だったのにも関わらず、侯爵令嬢は合意だったと言って譲らなかった。

そこで銀の翼の隊長が提案した。

『エリシア嬢に任せれば吐きますよ』

現行犯だから自白は必須ではないが侯爵家の令嬢なので自白があった方が良い。

赤の翼の隊長は、侯爵令嬢の完治の日にエリシア嬢に刑を執行させることにした。普通はあんなことがあった令嬢なら心の傷が癒えずに、屋敷から出て事件のあった王宮に来て犯人と顔を合わせたくないはずだろうに、彼女は堂々と現れた。何故かダリウス殿下を巻き込んで。そして侯爵令嬢を的にしてダリウス殿下と一緒に弓を引いて侯爵令嬢を自白させた。
この話は全翼会議で共有された話だった。

何故 銀の翼がエリシア嬢に刑の執行を任せたのかも分かった。以前、銀の翼のメンバーと弓で競ったらしいが、エリシア嬢に敵わなかったらしい。

『令嬢とか何歳だとかで彼女を枠にはめてはいけない。エリシアという唯一無二の人物と考えた方がいい』

『しかし、馬に乗れないとは。可愛かったな』

『恥ずかしがらずに何度も馬に跨ろうとしていましたね』

『だからラバル嬢はしっかり自白したんだ。馬に跨ることに成功でもされたら、フラフラと馬に揺られてバランスの取れない体で弓を射るだろうことを想像できてしまうからな。だがエリシア嬢が馬に乗れないのは本当でも、馬から射る気は無かったはずだ。演技だよ』

『ヴラシス殿下の想い人じゃなければスカウトしたいくらいですね』

『いや、婿に入りたい』

『そういえば、未だにエリシア嬢はゼノンを返せって殿下に文句を言うらしいぞ。何をしたらそんなに気に入ってもらえるんだ?』

『抜けがけしたんだろう』

『止めてくださいよ。私が就いていたのは彼女が6歳のときですよ!?』

『あ、ロリコンだ』

『ロリコン』

『酷い…』



そして王女が婚約者のいる隣国へ移住することになった。結婚前の花嫁修行のようなものだった。
王女は悩みをエリシア嬢に打ち明けた。
人払いをされても秘密の空間から緑の翼は監視を続ける。
壁の内側に空間があり、蓋を取って穴から覗いて見張る。その空間にヴラシス殿下も現れた。

《ヴラシス殿下がどうして壁の中ここへ?》

《エリシアがいるから》

《…見つからないようにお願いします》

目的というよりは何故この空間を知っていたのか入り方を知っていたのか聞いたつもりだったが違う返事が返ってきた。尋ね直したいけどあまり会話をすると王女達に気付かれてしまうので、とりあえずは会話を切った。

王女は胸の内を話し始めた。婚約者である隣国の王子を慕っているが、子供扱いされるらしい。
半年以上前に1度隣国へ行ったのだが、歓迎パーティでは王子の歳に近い年齢の女性がひっきりなしに王子にアピールしに来たのだとか。

『やっぱり殿下は大人の男性だものね。女性が必要よね』

『…そうですね。普通の健全な男はますね』

エリシア嬢の返答に私達は壁の中で驚いた。

《!!》

《!!》

『私の心の準備はできていても、殿下がその気にならないと…』

『本気で婚約者とエッチするのですか?』

『エッチ?』

『性交渉のことです』

『してもいいと思っているし、他の女性に触れて欲しくないの』

『本気の本気で?』

『本気の本気よ』

『…では今できる準備をしましょう』

『何をするの?』

『まずは下着です。世の中の下着はほぼダサいです。キュアノスの商売にするか考えていましたが、保守的な世の中だった場合、どう非難されるかわからず保留にしてきました。私は個人的に作らせて着用しています。少しお待ちください』

エリシア嬢は衝立ての向こうに行き、しばらくするととんでもない姿で現れた。

『なっ!』

『王女殿下、ちゃんと見てください。これは協力ですよ?』

『ごめんなさい』

『痴女みたいなナイトドレスか寝巻きだなんて、あてになりません。相手にその気になってもらわないと。もう1枚脱ぎますね』

ヴラシス殿下は私の覗いていた穴を手で塞ぎ、自分は覗き続けた。

『初めて見るわ。隠す面積が少なすぎるわ』

『体型維持は必要ですね。
ですがやたらくびれを作ったり むやみに痩せようとしてはいけません。ガリガリが好みの方もいますが、割合は高くありません。
男はスベスベの肌と柔らかな肉感に興奮するのです。程よい筋肉と脂肪の維持が大事です』

『難しそうね』

『バランスよく食べて、運動をすることです』

『すごく素敵な身体だわ。くびれも程よくあって、お腹も引き締まって、お尻なんかきゅっと上がって丸いわ』

『お尻の形は大事ですよ』

『私もその下着が欲しいわ』

『では採寸をしましょう。下着ですからかなり詳細な採寸をします』

『分かったわ。それと食事とか運動とかも教えてくれる?』

ヴラシス殿下が手を退けたときには、エリシア嬢の姿は無かった。

《殿下…》

《仕方ないだろう。俺だって男なんだから…。
俺、服の中身知ったらいつまで我慢できるのか自信なくなったよ》

ヴラシス殿下は股間を押さえて前屈みになっていた。

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