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王女の懇願
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国境の町からベルデマレ王国側の兵士2名が案内のため先導についた。残りは後方に。
オヴェルからは王宮兵士と騎士10人、近衞騎士4人。
「やっば。胃が出てきそう」
「馬車酔いか?」
「違う。緊張酔い」
「俺が付いてるから大丈夫だ」
「う~ん」
正直頼りない。王様連れてきたら大丈夫って気がするけど。うちの国の王子達はちょっと…。ヴラシスなんか子供に見えるし。私よりかなり大きいけど。
コツン
足元の瓶の入った箱にヴラシスの足が当たった。
「それ気を付けて。中のデスソースが漏れると悲惨なことになるから」
「ん? …デスソースって?」
「刺激物や汚い物を混ぜて作ったスペシャルソース」
「誰に使う気だ!?」
「襲撃があったら矢尻を浸して使うの。刺されば逃げてもダメージが強くて数日か半月以内に多分死ぬ」
「お手製か」
「材料を集めさせて自分でブレンドしたの」
「……中で倒れてないか?」
「箱と瓶の高さがほぼ同じだから瓶だけ倒れることはないかな。周りに布も詰めて固定しているし」
「そ、そうか」
ヴラシスはそれを聞いてから頻繁に箱を気にするようになった。
ガクン! ヒヒーン!
馬車が急停車して危うく前のめり倒れて打ちつけるところだった。ヴラシスが支えてくれて難を逃れた。
ヴラシスと外を覗くも賊は見えない。
「どうした!」
ヴラシスが外の護衛に何が起きたのか尋ねた。
「罠が仕掛けてあったのですが奇襲はなさそうです」
「分かった。出発するときに声をかけてくれ」
「はっ!」
10分くらい経って報告があった。
「殿下、出発します」
「大丈夫か?」
「足跡もいくつか見つかりましたが逃げたようです。遠くから馬車が近付いて来たので仕掛けをして脇に隠れていたようですが、実際に近付いてくると王宮騎士団だと分かって逃げたのでしょう」
「分かった」
馬車が動き出した。
そっか。そういうこともあるのね。さすが王宮騎士団。素敵。
更に2泊ほどした後、昼過ぎに目的地に到着してしまった。
すんなり門番達が通してしまう。
どうして止めて“門前払い”とかいうやつをやってくれないのかしら。そうしたら来た事実だけ残して即帰れたのに。
「はぁ~何で通しちゃうかなぁ。門前払いならヴラシスとゆっくり観光しながら楽しく帰れたのにね」
「門前払いにしよう。待ってろ。あいつらに説教してやる」
「ダメダメダメダメ!」
ヴラシスの胴体に腕を回して引き止めた。
この人、ダメじゃない。全部私の言葉を叶えようとしちゃう。男絡みとか以外。
馬に乗ったゼノン卿が何やってるんだ?って顔でこっち見てるし。
やっと馬車が止まるとドアが開いた。ヴラシスが降りて私も降りた。
「エリシア!」
「あ、王女様」
アイリス王女様が迎えに出てくれていた。早歩きで近寄ったと思ったら抱きしめられた。
「許して!」
「まさか魔女裁判ですか?火炙りは止めさせてください。せめてギロチンでお願いします。スパッと切れ味のいいやつで。錆びてたり途中でつっかえたりするのはナシですよ」
「違うけどアメデオ様が疑っているのよ」
「何をですか?」
「男遊びをしていたんじゃないかって」
「はい?だって王女様は、アレですよね?」
「そうなんだけど疑っているのよ。すごく怖いの!」
「そんな怖いのに何で私を呼ばせたんですか」
「あなたしか私の無実を証明する人はいないじゃない!」
「証明なんかできませんよ」
「酷い!見捨てるつもり!?」
アイリス王女様から離れてヴラシスにくっついた。
「ヴラシス、やっば帰ろ?」
上目遣いの効果抜群。
「よし、帰ろう」
「ちょっと!ヴラシス!異母姉を放置して帰るつもり!?」
「可愛がってもらえてないので」
「可愛がる!今から可愛がるから!そうだわ。エリシアとあなたの後ろ盾になるわ!」
「いいでしょう」
「シス?」
「っ!! 帰ります」
「何で!」
「エリシアが愛称で呼んでくれたんです。言うことを聞くしかありません」
「エリシア、宝石が沢山あるわよ!」
「え~必要ないかなぁ」
「何が欲しいの!言いなさい!」
「怖い」
「止めてください、異母姉上」
「あなた、いつもヴラシスを無碍に扱っているくせにこんなときだけヴラシスの後ろに隠れるなんて!」
「ヴラシス、嫌?」
「嫌じゃない」
「お願いよ。事実を話してくれたらいいの!証言してちょうだい」
「仕方ないですね。美味しい食事で手を打ちましょう。たくさんはいりませんよ。適量でお願いします。それと無事に国に帰してくださいね」
「分かったわ」
これで恩に感じてくれたかな?
オヴェルからは王宮兵士と騎士10人、近衞騎士4人。
「やっば。胃が出てきそう」
「馬車酔いか?」
「違う。緊張酔い」
「俺が付いてるから大丈夫だ」
「う~ん」
正直頼りない。王様連れてきたら大丈夫って気がするけど。うちの国の王子達はちょっと…。ヴラシスなんか子供に見えるし。私よりかなり大きいけど。
コツン
足元の瓶の入った箱にヴラシスの足が当たった。
「それ気を付けて。中のデスソースが漏れると悲惨なことになるから」
「ん? …デスソースって?」
「刺激物や汚い物を混ぜて作ったスペシャルソース」
「誰に使う気だ!?」
「襲撃があったら矢尻を浸して使うの。刺されば逃げてもダメージが強くて数日か半月以内に多分死ぬ」
「お手製か」
「材料を集めさせて自分でブレンドしたの」
「……中で倒れてないか?」
「箱と瓶の高さがほぼ同じだから瓶だけ倒れることはないかな。周りに布も詰めて固定しているし」
「そ、そうか」
ヴラシスはそれを聞いてから頻繁に箱を気にするようになった。
ガクン! ヒヒーン!
馬車が急停車して危うく前のめり倒れて打ちつけるところだった。ヴラシスが支えてくれて難を逃れた。
ヴラシスと外を覗くも賊は見えない。
「どうした!」
ヴラシスが外の護衛に何が起きたのか尋ねた。
「罠が仕掛けてあったのですが奇襲はなさそうです」
「分かった。出発するときに声をかけてくれ」
「はっ!」
10分くらい経って報告があった。
「殿下、出発します」
「大丈夫か?」
「足跡もいくつか見つかりましたが逃げたようです。遠くから馬車が近付いて来たので仕掛けをして脇に隠れていたようですが、実際に近付いてくると王宮騎士団だと分かって逃げたのでしょう」
「分かった」
馬車が動き出した。
そっか。そういうこともあるのね。さすが王宮騎士団。素敵。
更に2泊ほどした後、昼過ぎに目的地に到着してしまった。
すんなり門番達が通してしまう。
どうして止めて“門前払い”とかいうやつをやってくれないのかしら。そうしたら来た事実だけ残して即帰れたのに。
「はぁ~何で通しちゃうかなぁ。門前払いならヴラシスとゆっくり観光しながら楽しく帰れたのにね」
「門前払いにしよう。待ってろ。あいつらに説教してやる」
「ダメダメダメダメ!」
ヴラシスの胴体に腕を回して引き止めた。
この人、ダメじゃない。全部私の言葉を叶えようとしちゃう。男絡みとか以外。
馬に乗ったゼノン卿が何やってるんだ?って顔でこっち見てるし。
やっと馬車が止まるとドアが開いた。ヴラシスが降りて私も降りた。
「エリシア!」
「あ、王女様」
アイリス王女様が迎えに出てくれていた。早歩きで近寄ったと思ったら抱きしめられた。
「許して!」
「まさか魔女裁判ですか?火炙りは止めさせてください。せめてギロチンでお願いします。スパッと切れ味のいいやつで。錆びてたり途中でつっかえたりするのはナシですよ」
「違うけどアメデオ様が疑っているのよ」
「何をですか?」
「男遊びをしていたんじゃないかって」
「はい?だって王女様は、アレですよね?」
「そうなんだけど疑っているのよ。すごく怖いの!」
「そんな怖いのに何で私を呼ばせたんですか」
「あなたしか私の無実を証明する人はいないじゃない!」
「証明なんかできませんよ」
「酷い!見捨てるつもり!?」
アイリス王女様から離れてヴラシスにくっついた。
「ヴラシス、やっば帰ろ?」
上目遣いの効果抜群。
「よし、帰ろう」
「ちょっと!ヴラシス!異母姉を放置して帰るつもり!?」
「可愛がってもらえてないので」
「可愛がる!今から可愛がるから!そうだわ。エリシアとあなたの後ろ盾になるわ!」
「いいでしょう」
「シス?」
「っ!! 帰ります」
「何で!」
「エリシアが愛称で呼んでくれたんです。言うことを聞くしかありません」
「エリシア、宝石が沢山あるわよ!」
「え~必要ないかなぁ」
「何が欲しいの!言いなさい!」
「怖い」
「止めてください、異母姉上」
「あなた、いつもヴラシスを無碍に扱っているくせにこんなときだけヴラシスの後ろに隠れるなんて!」
「ヴラシス、嫌?」
「嫌じゃない」
「お願いよ。事実を話してくれたらいいの!証言してちょうだい」
「仕方ないですね。美味しい食事で手を打ちましょう。たくさんはいりませんよ。適量でお願いします。それと無事に国に帰してくださいね」
「分かったわ」
これで恩に感じてくれたかな?
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