2 / 32
閨係の選抜
しおりを挟む閨係は書類審査を経て王城で二次審査が行われる。
身体検査と貴族令嬢としての振る舞いが出来るかをみる。
私は身体検査の直後に気を失い、ありさの記憶がよみがえった。
さらに一週間後、選定のためにある部屋に10名の女性が集められた。
16歳から19歳までの男爵令嬢か子爵令嬢だ。
「カイン第ニ王子殿下にご挨拶なさい」
10名がカーテシーをした。
「全員裸になって一番から一人ずつ名を告げなさい」
侍女長の指示に従い、服を脱ぎ名を名乗る。
私の番がやってきた。
「クロネック子爵家の長女アリサと申します。歳は16歳です」
カイン王子殿下は立ち上がり、私に上着を羽織らせた。
「アリサで決まりだ」
「かしこまりました。今夜からで宜しいでしょうか」
「アリサを後宮の貴賓室へ移せ」
「かしこまりました」
他の令嬢達が服を着て退室して行く中、殿下はじっと私を見つめていた。
「病気などは無いか」
「はい、殿下。健康で純潔でございます」
「嫌な思いをさせたな」
「?」
「皆の前で裸にするなど」
「仕方がございません。閨係として殿下にご奉仕する身です。体の好みも確認していただかなくてはなりません」
「……ドレスは持ってきているか?」
「三着持ってまいりました」
「少ないな」
「閨係の仕事着はナイトドレスでございます。
王城から出ることは基本的にはございません。
殿下の婚姻の日に私はこちらを去りますが、その時には流行遅れでしょう。
その代わりワンピースを三着別に用意いたしました」
「分かった。今夜は話だけしよう」
「かしこまりました」
その後、私はカイン王子殿下の後宮にある貴賓室へ案内された。
王子殿下の住む宮があり、そこから其々の妃や妾や閨係を住まわせる後宮が渡り廊下で繋がっている。
其々の専用のラブホが直結してるみたいな感じ?
通常閨係は、王子殿下に奉仕するためのベッドルームが後宮にあり、その直ぐ隣の使用人部屋を当てがわれる。
だけど私は、二番目に豪華な部屋へ案内されたのだ。
貴賓室は実家よりも豪華で手入れの行き届いた部屋だった。
「アリサ様。カイン王子殿下は話だけと仰いましたが、お気持ちが変わるかもしれません。
初夜になってもいいように準備をいたしましょう。
夕食は消化にいいものを少量いただくという決まりです。分かりましたね?」
「はい。侍女長」
夜から朝の間に王子殿下のお相手をする。
それ以外は後宮の中でのんびりしていていい。
メイドを連れていれば後宮の庭園限定で散歩もできる。
私は読書をして過ごした。
そして夜、本当に話すだけだった。
産まれてからここに来るまでのことを話すように命じられたが、ぼかして話した。貴族である以上、クロネック子爵家の内情を話すわけにはいかない。
婚約解消についても聞かれた。
「私が至らなかっただけでございます」
「…アリサ、かしこまった言葉遣いはこの時間に聞きたくない」
「しかし、不敬を疑われてしまいます」
「侍女長にも王子宮と俺の後宮の全ての者に、私の命令だと伝えよう。さあ、カインと呼んでくれ」
「カイン様」
「日中、退屈ではないか?」
「閨の後は好きなだけ睡眠を取り、その後は食事も自由です。本を読んで過ごします」
「いいか、アリサ。悲しい時や体調が優れない時は正直に教えてくれ。俺はアリサを大事にしたい」
「ありがとうございます、カイン様」
その後も、夜はお茶を飲みながらお話しをしてカイン様と過ごした。
そして何故か、二日目の夜から夕食の量や品数が増えた。
採寸もしてドレスを作ってくれるらしい。
カイン殿下はとても優しい。
元婚約者と婚姻しなくて本当に良かった。
採用から一週間後、ついに初夜を迎えた。
443
あなたにおすすめの小説
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
大人になったオフェーリア。
ぽんぽこ狸
恋愛
婚約者のジラルドのそばには王女であるベアトリーチェがおり、彼女は慈愛に満ちた表情で下腹部を撫でている。
生まれてくる子供の為にも婚約解消をとオフェーリアは言われるが、納得がいかない。
けれどもそれどころではないだろう、こうなってしまった以上は、婚約解消はやむなしだ。
それ以上に重要なことは、ジラルドの実家であるレピード公爵家とオフェーリアの実家はたくさんの共同事業を行っていて、今それがおじゃんになれば、オフェーリアには補えないほどの損失を生むことになる。
その点についてすぐに確認すると、そういう所がジラルドに見離される原因になったのだとベアトリーチェは怒鳴りだしてオフェーリアに掴みかかってきた。
その尋常では無い様子に泣き寝入りすることになったオフェーリアだったが、父と母が設定したお見合いで彼女の騎士をしていたヴァレントと出会い、とある復讐の方法を思いついたのだった。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる