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襲撃
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閨係になって一年。
やっと一年だ。
今日は平日。教会に行く日。
ついに私はブルイヤール伯爵の養女になることになった。
閨係の私ではご迷惑となる、そうずっと遠慮してきたが、夫人が説得に来た。話しているうちに “はい” と返事をしてしまい、夫人は訂正させまいと急いで帰ってしまった。
閨係の資格は子爵家か男爵家だけど、なってから養女になるのは前例が無いらしく、話が進んでしまった。
もう名簿ではアリサ・ブルイヤールだけど、教会に届け出なくてはならない。養女にする側とされる側の宣誓書に署名が必要だった。
持っている中でも質素なドレスを着た。
どれもカイン様の瞳の色だけど。
叔父様改め、お父様が司祭様とお話ししている間に告解室へ向かった。
閨係について話せないから、別のことを尋ねようとした。
「アリサ様」
振り返ると見知らぬ令嬢がいた。
「はい」
「人の男を誑かして楽しい?」
「え?」
「その瞳、その肌、その恵まれた容姿…私とは違う」
この女、なんかおかしい…
「何か誤解でも、」
「いいえ、アリサ・クロネック。
私の婚約者をその身体で誘惑した女で間違いないわ」
もしかしてカイン様の婚約者!?
「誘惑だなんて」
「こんな錆色のソバカスだらけの女が王子妃になるなんてと蔑んでいたんでしょ?」
「違います!」
「カイン王子殿下の下半身を夢中にさせて、寵妃になろうとしたんでしょ」
「違います!カイン様は、」
「黙りなさい!私は侯爵令嬢で貴女は娼婦なの。
身の程を弁えない下賎な女にはお仕置きが必要よね」
女は肩掛けカバンから瓶を取り出して液体を掛けた。
匂いからすると強い酒だと分かった。
廊下のランプを手に掴み、高く上げた。
焼き殺される!!
逃げ道がなく、目を瞑った。
物音と苦しむ声が聞こえた。
「殿下! そのくらいに! 死んでしまいます!」
「グッ…やめ…て」
目を開けるとカイン様が羽交い締めにあっていて、足元には顔の判別がつかない血まみれの人が倒れて苦しんでいた。
後で聞いた話では殴り倒した後、顔を中心に足で蹴ったそうだ。
「司祭と伯爵を呼べ!」
カイン様の護衛騎士に呼ばれて駆けつけた司祭は驚き、現状を察したお父様が教会のシャワールームを使わせてくれと頼んだ。
全身を洗い、シスターから服を借りて王城へ戻った。
今夜だけはお父様が泊まり込んでくれて、私は一般の貴賓室で睡眠薬を処方されて眠った。
翌朝、もう一度診察を受けて、お父様に抱きしめられていた。
「怖かったな」
「怖かったです。目が普通じゃなくて。
お会いしたこともないのに」
「どうも、二ヶ月ほど様子がおかしくて、アリサが特別に外出するときに、あの女が無断欠席したと聞いてカイン王子殿下が教会に駆けつけてくれたんだ」
「そうですか。
ヴィオレット様は生きていらっしゃるのですか」
「外傷が酷いとは聞いていて、その後は分からない。治しても無駄だろう。アリサを殺そうとしたんだ」
「でも、私は子爵家の娘ですし」
「アリサは正式にブルイヤール伯爵家の娘になっているから、あの女が襲ったのはブルイヤール伯爵家の令嬢だ。
しかも王子殿下の寵愛するアリサを殺そうとした。
その他に王宮の誰かを買収した疑いがある。
アリサの予定は一部の人間しか知らない。
私は邸で教会に行くとしか言っていないから、漏れたとしたら教会か王宮だろう」
「殺されるほど憎まれていたのですよね」
「アリサは悪くない」
「そうでしょうか」
「間違いない」
やっと一年だ。
今日は平日。教会に行く日。
ついに私はブルイヤール伯爵の養女になることになった。
閨係の私ではご迷惑となる、そうずっと遠慮してきたが、夫人が説得に来た。話しているうちに “はい” と返事をしてしまい、夫人は訂正させまいと急いで帰ってしまった。
閨係の資格は子爵家か男爵家だけど、なってから養女になるのは前例が無いらしく、話が進んでしまった。
もう名簿ではアリサ・ブルイヤールだけど、教会に届け出なくてはならない。養女にする側とされる側の宣誓書に署名が必要だった。
持っている中でも質素なドレスを着た。
どれもカイン様の瞳の色だけど。
叔父様改め、お父様が司祭様とお話ししている間に告解室へ向かった。
閨係について話せないから、別のことを尋ねようとした。
「アリサ様」
振り返ると見知らぬ令嬢がいた。
「はい」
「人の男を誑かして楽しい?」
「え?」
「その瞳、その肌、その恵まれた容姿…私とは違う」
この女、なんかおかしい…
「何か誤解でも、」
「いいえ、アリサ・クロネック。
私の婚約者をその身体で誘惑した女で間違いないわ」
もしかしてカイン様の婚約者!?
「誘惑だなんて」
「こんな錆色のソバカスだらけの女が王子妃になるなんてと蔑んでいたんでしょ?」
「違います!」
「カイン王子殿下の下半身を夢中にさせて、寵妃になろうとしたんでしょ」
「違います!カイン様は、」
「黙りなさい!私は侯爵令嬢で貴女は娼婦なの。
身の程を弁えない下賎な女にはお仕置きが必要よね」
女は肩掛けカバンから瓶を取り出して液体を掛けた。
匂いからすると強い酒だと分かった。
廊下のランプを手に掴み、高く上げた。
焼き殺される!!
逃げ道がなく、目を瞑った。
物音と苦しむ声が聞こえた。
「殿下! そのくらいに! 死んでしまいます!」
「グッ…やめ…て」
目を開けるとカイン様が羽交い締めにあっていて、足元には顔の判別がつかない血まみれの人が倒れて苦しんでいた。
後で聞いた話では殴り倒した後、顔を中心に足で蹴ったそうだ。
「司祭と伯爵を呼べ!」
カイン様の護衛騎士に呼ばれて駆けつけた司祭は驚き、現状を察したお父様が教会のシャワールームを使わせてくれと頼んだ。
全身を洗い、シスターから服を借りて王城へ戻った。
今夜だけはお父様が泊まり込んでくれて、私は一般の貴賓室で睡眠薬を処方されて眠った。
翌朝、もう一度診察を受けて、お父様に抱きしめられていた。
「怖かったな」
「怖かったです。目が普通じゃなくて。
お会いしたこともないのに」
「どうも、二ヶ月ほど様子がおかしくて、アリサが特別に外出するときに、あの女が無断欠席したと聞いてカイン王子殿下が教会に駆けつけてくれたんだ」
「そうですか。
ヴィオレット様は生きていらっしゃるのですか」
「外傷が酷いとは聞いていて、その後は分からない。治しても無駄だろう。アリサを殺そうとしたんだ」
「でも、私は子爵家の娘ですし」
「アリサは正式にブルイヤール伯爵家の娘になっているから、あの女が襲ったのはブルイヤール伯爵家の令嬢だ。
しかも王子殿下の寵愛するアリサを殺そうとした。
その他に王宮の誰かを買収した疑いがある。
アリサの予定は一部の人間しか知らない。
私は邸で教会に行くとしか言っていないから、漏れたとしたら教会か王宮だろう」
「殺されるほど憎まれていたのですよね」
「アリサは悪くない」
「そうでしょうか」
「間違いない」
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