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求婚
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今日は父となったブルイヤール伯爵が尋ねて来る。
応接間に行くとカイン様とローランド王子殿下もいらした。
父「これからの話の前に、アリサに分かってもらいたい。
アリサは元々ブルイヤール伯爵家の血を引く娘で、今は伯爵令嬢だ。
間違いなく、国内一の大富豪だ。共に暮らしていないから分からないかもしれないがかなりの権力を持っている。
王子妃も望める立場だ。分かるな?」
私「はい」
父「アリサ・ブルイヤールは王子妃に望まれたら、王子妃になれる」
王子妃に?
私「はい」
カ「アリサ」
カイン様は立ち上がると私の側で跪き手を取った。
カ「私はずっとアリサが好きだ。
愛している。君を閨係に選び手元に置いたのは誰にも取られたくなかったからだ」
私「婚約者がいらしたではありませんか」
カ「解消することもできる婚約だった。
相手にもそう告げていたし明記してある。
政略結婚だった」
私「王子宮に婚約者と結婚したときの植樹のスペースを空けていたのでは?」
カ「アリサを唯一の妻として迎えたときに記念に植えるためのものだ」
私「婚約者との初夜やその後の閨事のために愛していると囁き、私を抱いていたのでは?」
ロ「ただの閨係に愛など囁くか。勘違いさせたくないし愛してもいないからな。
私のときは貴賓室などではなく、閨係用の部屋に住まわせ、気の向いたときに伽をさせる。
初夜だけは生娘だから丁寧に解すが慣れるまで潤滑油などを使い、慣れれば突然でない限り自分で解しておくように命じた。抱きしめたりキスをしたり、一緒に花を見に外に出ることなどしない。
ドレスや宝飾品を買い与えたりしない。給金は支払っているし無駄だからだ。
アリサ嬢は食事から何から全てが特別だ。
カインがなかなか君を抱こうとしなかったのは、閨係として抱くのではなく、慕う女だからだ。
君に好きになってもらいたくて、嫌われたくなくて、君の気持ちを待とうとした。
だけど、閨係は公務として雇っている。手を付けなければ契約不履行で雇用を解消しなくてはならない。
だからその分、弟は君に尽くしたはずだよ」
え? じゃあ本当に?
カ「アリサ。大好きだ。君しかいない。愛してるんだ。結婚して欲しい」
私「お妃様の器では、」
カ「そんなことはどうでもいい」
私「私、辞めようとしていました。辛くて…」
カ「っ!」
私「お妃様のために王子宮に植樹をなさるのだと。
お妃様に見立てて私に愛を囁き優しく抱くのだと。
私は練習台に過ぎないのだと思うと辛くなってきて。
子爵家で、存在を疎まれた閨係が、王子殿下の未来のお妃様に嫉妬するなど、あってはならないと思っておりました」
カ「アリサ、このまま此処に居て結婚して欲しい」
私「陛下は反対なさるのでは」
ロ「もう話は通してある」
私「本当に私を?」
カ「アリサしかいない」
私「妾でもなく?」
カ「私の正妃で唯一の妻だ」
私「お慕いしております」
ロ「イエスだな?」
私「はい」
カ「アリサ!」
カイン様は私を抱きしめ、とても喜んでくださった。
父「おめでとう、アリサ」
私「ありがとうございます」
ロ「では署名を」
父「用意してあったのですね」
ロ「ええ。カインの望みですから」
父は書類を読み問題無しと言い署名した。
私も署名した。
陛下の署名は先にしてあり、最後にカイン様が署名した。
応接間に行くとカイン様とローランド王子殿下もいらした。
父「これからの話の前に、アリサに分かってもらいたい。
アリサは元々ブルイヤール伯爵家の血を引く娘で、今は伯爵令嬢だ。
間違いなく、国内一の大富豪だ。共に暮らしていないから分からないかもしれないがかなりの権力を持っている。
王子妃も望める立場だ。分かるな?」
私「はい」
父「アリサ・ブルイヤールは王子妃に望まれたら、王子妃になれる」
王子妃に?
私「はい」
カ「アリサ」
カイン様は立ち上がると私の側で跪き手を取った。
カ「私はずっとアリサが好きだ。
愛している。君を閨係に選び手元に置いたのは誰にも取られたくなかったからだ」
私「婚約者がいらしたではありませんか」
カ「解消することもできる婚約だった。
相手にもそう告げていたし明記してある。
政略結婚だった」
私「王子宮に婚約者と結婚したときの植樹のスペースを空けていたのでは?」
カ「アリサを唯一の妻として迎えたときに記念に植えるためのものだ」
私「婚約者との初夜やその後の閨事のために愛していると囁き、私を抱いていたのでは?」
ロ「ただの閨係に愛など囁くか。勘違いさせたくないし愛してもいないからな。
私のときは貴賓室などではなく、閨係用の部屋に住まわせ、気の向いたときに伽をさせる。
初夜だけは生娘だから丁寧に解すが慣れるまで潤滑油などを使い、慣れれば突然でない限り自分で解しておくように命じた。抱きしめたりキスをしたり、一緒に花を見に外に出ることなどしない。
ドレスや宝飾品を買い与えたりしない。給金は支払っているし無駄だからだ。
アリサ嬢は食事から何から全てが特別だ。
カインがなかなか君を抱こうとしなかったのは、閨係として抱くのではなく、慕う女だからだ。
君に好きになってもらいたくて、嫌われたくなくて、君の気持ちを待とうとした。
だけど、閨係は公務として雇っている。手を付けなければ契約不履行で雇用を解消しなくてはならない。
だからその分、弟は君に尽くしたはずだよ」
え? じゃあ本当に?
カ「アリサ。大好きだ。君しかいない。愛してるんだ。結婚して欲しい」
私「お妃様の器では、」
カ「そんなことはどうでもいい」
私「私、辞めようとしていました。辛くて…」
カ「っ!」
私「お妃様のために王子宮に植樹をなさるのだと。
お妃様に見立てて私に愛を囁き優しく抱くのだと。
私は練習台に過ぎないのだと思うと辛くなってきて。
子爵家で、存在を疎まれた閨係が、王子殿下の未来のお妃様に嫉妬するなど、あってはならないと思っておりました」
カ「アリサ、このまま此処に居て結婚して欲しい」
私「陛下は反対なさるのでは」
ロ「もう話は通してある」
私「本当に私を?」
カ「アリサしかいない」
私「妾でもなく?」
カ「私の正妃で唯一の妻だ」
私「お慕いしております」
ロ「イエスだな?」
私「はい」
カ「アリサ!」
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父「おめでとう、アリサ」
私「ありがとうございます」
ロ「では署名を」
父「用意してあったのですね」
ロ「ええ。カインの望みですから」
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陛下の署名は先にしてあり、最後にカイン様が署名した。
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