【完結】旦那様の性欲を満たせるのは私でした

ユユ

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大冒険の現実

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【 パトリック王子(陸)の視点 】

俺はシーツやカーテンを繋ぎ合わせて窓から脱出した。
部屋にあった指輪など宝石のついた物と金貨を布で包み腹に巻き付けた。目立たなそうな服を着て外套を纏い、王都地図をポケットに入れていた。
秘密の通路は虫やネズミで溢れていて、脱出を諦めそうになったが通りきった。

地図を見ながら傭兵を扱う店まで辿り着いた。
俺の顔を見ると店のボスはVIPルームに案内した。
分かっているじゃないか。さすがだ。

「それで、高貴なお方のご用件は」

「ある女を奪還したい」

「どなたでしょう」

「……」

「この部屋の中の話は他言いたしません」

「ラヴィア・オルドレイを取り返しに行きたい」

「……バルド侯爵の妻になった?」

「そうだ」

「イアン・バルド侯爵の愛妻といわれている夫人をですか?」

「あの女は俺の女だ!!」

「…残念ながら、イアン・バルド侯爵を敵に回すような者はおりません。夫人を連れ去るということはバルド侯爵とバルド軍と対峙しなくてはなりません。王宮所属の戦士をかき集めるレベルです。傭兵斡旋所うちではどうにもなりません。そもそも重罪ですから。
運良く対峙せず夫人を連れ去ることができても、バルド侯爵は夫人の生死を問わず犯人や関係者を追い回して躊躇なく狩っていくでしょう」

「じゃあ、屋敷の前まで送り届ける仕事なら請け負えるか?」

「はい」

「馬車も必要だ」

「馬車で行くのですか?」

「あ、当たり前だ!ラヴィアを連れ帰るのに馬車が必要だろう!」

「送り届けるまでというお話では?」

「そ、その後は自分でやる」

「つまり、馬車を買取りということですね?」

「え?」

「貸し出しということはできかねますので。
どのような馬車になさいますか」

「乗り心地の良いものがいい」

「二頭立てならこのくらいはします」

「は!?」

「どうかなさいましたか?」

「一頭なら?」

「このくらいです」

「分かった」

「何名付けますか?」

「10人で足りるか?」

「時間帯や道次第ですね。暗くなれば襲われる確率が上がりますし、人や馬車があまり通らない道を選べば待ち伏せに遭う確率が上がります」

「ルートは任せる」

冗談だろう!?こんな世界で怪我をしたら死ぬだろう!内臓を損傷したら手術できるのか?かすり傷でも破傷風とかで死ぬんじゃないのか?
なんて野蛮な世界なんだ!


ゴトゴトゴトゴトゴトゴトゴトゴト

車があれば ナビがあれば……

「オエッ」

「おいおい、何なんだこの軟弱な小僧は」

「馬鹿っ 一応高貴なお方だぞ」

「謝罪文載せた小僧だろう?」

「シド、彼はお客だ」

「オエッ」

「ですが、この調子じゃあ目的地まで相当かかりますよ?」

「損はないだろう。行きは日当 帰りは行きの半額。行きが長引くほど俺たちは稼げるんだ」

「オエッ」

「しかし、まだ30分も走らせていないのに、馬車酔いなんて…」

「温室育ちの高貴なお方がお客のときはどうなるのか、俺たちにも良い経験だ」

「さすが隊長、向上心の塊ですね」

こいつら…好き勝手言いやがって!

「次の町で泊まるしかないな」

「もうですか?」

「そのうち馬車に慣れるさ」


2時間休憩してから次の町へ向かったのに…

到着後、酔いは治らず宿の部屋で寝込んだ。

次の町と言ったら、一番近い町だろう!
町を2つ素通りして、日が暮れる前にこの町に到着した。

「何で手前の町で止まらないんだ!」

「一つは村です。どちらも宿はありません。野宿は嫌だということでしたので、“次の町”と言えば、次に宿のある町という意味です。野宿が良かったですか?」

「……次の宿まで何時間かかるかだけ教えてくれ」

「途中の予定にない休憩があるので何とも…」

「もういい、分かった」

部屋に食事が運ばれたが、スープの肉の獣臭さにまた吐き戻してしまった。
文句を言ったら、平民が泊まるような小さな宿では普通だと言われた。

「高級な宿にすれば身バレしますよ?」

そう言われたら何も言えない。


元の世界に戻りたい!!


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