【完結】聖域を守る乙女は王弟の愛に気付かない

ユユ

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安らぎ

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村長さんをいじめていたゼノンを懇々と叱り、連れて帰って狼化したゼノンを背もたれにしてくつろいでいた。あったかくて落ち着く。それによく眠れる。どうしてあんなに眠れなかったのだろうか。

「ゼノン、私にも意地悪した?」

「クゥン?」

「ゼノンと別れてから寝れなかった」

「ワン」

「ゼノンのせいなのね。毒は効かないのに…」

「クゥン」

「毒じゃないなら何?」

ペロッ

「唾液!?」

「クゥン」

「わかんないよ。とにかくゼノンのせいなんだよね?悪い子」

「クゥン」

「で、今回はいつまでいるの?」

「ワン!ワンワン!」

「ごはんのときに聞くよ。
暖炉もあったかいけど、生きた毛皮は別格だよね」

「……」

ゼノンは少し心配になった。毛並みの良い生き物なら自分じゃなくてもいいとか言いそうだから。国は離れているが人狐族もいる。彼らの毛は人狼族よりも手触りがいい。彼らが現れたら用無しになりそうな気がしてきた。
ネスティフィーネと交わりはしたが愛してもらっているかといえば自信がなかった。


夕食のときにゼノンは昼間の返事をした。

「当分帰る予定はない」

「今回は何の用事出来たの?」

「ネスティフィーネに会いにきた」

「そっか。でも早めに帰りなよ、お仕事あるでしょ」

相変わらず素っ気ないことを言うネスティフィーネだが、ゼノンは以前よりも気持ちに余裕があった。

夜はゆっくり交わり、ネスティフィーネは拒絶することなくゼノンを受け入れ快楽にのまれ深い眠りについた。
これを連日繰り返した。

ネスティフィーネが不眠を経験した原因についてゼノンには心当たりどころか自信があり、それを利用しようとしていた。交わりが加わった分、前回よりも強く影響が出るように祈りながら夜を過ごしていた。

そんな日々を半年過ごした後、ゼノンはフォルモントに帰国した。村長にくれぐれもネスティフィーネにを近寄らせるなと脅して去った。


ゼノンは帰国した後、に備えて国中を駆け巡り討伐を行った。

一方でネスティフィーネはなかなか眠れず眠りが浅く、体が落ち着かない。どうしてこうなってしまうのかわからずにいた。隣町の医者に診せるも、医者には全くわからない。ネスティフィーネからは“眠れない、体が落ち着かない”としか説明がなかったし、熱とか食欲不振とか痛みや腫れや変色や呼吸や脈の異常などがなかったから。
処方された煎じ薬は精神の安定と睡眠を促すもの。だけど効果は無かった。

気を紛らわせるために森や湖に行って、いつも以上に体を動かし、疲れさせると寝付きは悪いが少し効果はあった。だがやり過ぎはいけない。森の中にも生態系というものがあるし、頻繁に人が入って死んでいるわけでもない。つまりずっとは続かなかった。

ゼノンが帰ってから数ヶ月が経ち、本格的な冬に入ったため、もう湖には入っていない。
膝を抱えて暖炉の前でボーッとしていた。

ドンドンドンドン!
ドアを力強く叩く音にハッとした。多分普通のノックでは気が付かなかったのだろう。急いで玄関のドアを開け、ノックの主を視界に入れた瞬間ネスティフィーネは飛び付いた。

「ネスティフィーネ」

ゼノンは抱きしめ返すのを止めるとネスティフィーネが引っ付いたまま装備を床におろし二階へ上がった。ベッドに降ろすと外套を外し服を脱いだ。

「ゼノン」

以前なら“汚い”とか“風呂に入れ”とか言われるところだが、ネスティフィーネは早く来いと両手を伸ばした。

「俺はいつまで此処に居てもいいんだ?冬が明けるまでか?」

「ずっと」

「仕事をしない王弟でもいいのか?」

「ゼノンが居ないと眠れない」

「良かった」

もう経験のあるネスティフィーネに遠慮することはないとゼノンは激しく抱き続けた。
死んだように眠るネスティフィーネを抱きしめた。














  
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