【完結】双子の公子様に執着された貧乏モブ令嬢になりました

ユユ

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平手打ち

「本当、ごめん!」

朝礼が始まる前の教室で、王子様がエミールくんの席に座り私の方を向いて机に手をついて頭を下げた。

「殿下?」

「私がうつしたんだ。ごめん!」

「殿下も風邪だったのですね?」

「怠いなと思っていたけど登校した翌日に熱が上がっちゃって…本当ごめん!」

「うつったの私だけですし、気になさらないでください」

「お詫びをしたいから、次の休み、王宮に招待するよ」

「え?けっこうです」

「え?」

「休日も寝込んでやりたいことが出来なかったので次の休日にやる予定なので、けっこうです」

「アレン、エヴァン…私は断られたのか?」

「「そうです」」

「メイ、何をする予定なんだ?」

「あ、先生がいらっしゃいました。殿下、さようなら」

「続きは昼だ」

「黙秘します」

「何でだ?」

「早く退いてください。エミールくん、ごめんね」

「い、いえ」

「アレン…」

「殿下、ここは学園ですよ。ご自分の教室に戻ってください」

「……」

殿下が出ていくと、双子は私を褒めた。

「偉いぞ メイ」

「いい子だ メイ」

双子は何故か喜んでいた。
だけど喜ばない人はいた。


「ちょっと、殿下は私の婚約者なのよ!没落寸前の男爵家の娘のくせに色目を使って!」

トイレの個室から出ると、ベリーさんを含めた3人の女生徒がいて、詰め寄られている。

「色目?どういうのを色目というのか分かりません。やってみてください」

「は?」

「だから、色目が分からないので、ベリーさんがやって見せてください」

「あなたね!カレン様は殿下に近付くなと仰ったのよ!」

「それこそ言いがかりです。私、一度たりとも私から近付いたことはありません。
でもみなさんは、私から近付いたのを見たのですよね?いつ何処で見ましたか?」

「っ!」

「今朝だって、」

「殿下は別の教室の生徒である殿下が 私のいる教室に来たのに、私から近付いたと言うのですか?」

「そもそも風邪をうつされるほど近くにいたってことじゃないの!」

治りはしたけど病み上がり。彼女達に長く付き合う余裕は無かった。

「これだから無知は嫌なのよ」

「は!? 」

「飛沫がどのくらい飛ぶのか知らないのですか?
私は貴女達のような人がいるから殿下との距離は気を付けているんです。さっきだって断ったの分かりませんでした?母国語で会話していましたよ?
そんなに不満なら殿下に直訴したらどうですか?
トイレに着いてきてこんな風に詰め寄って、姑息で卑怯です」

バシッ

「何なのよ!今年は男爵家の娘は狂ってるわけ!?」

「未来の王子妃じゃなくて野蛮人だったのね」

バシッ

二度目の平手打ちを喰らったところでポケットから笛を取り出して吹いた。

ピーッ ピーッ

「なっ!」

バン!!

「メイ!!」

アレン様が女子トイレのドアを開けた。
私の側に近寄り頬の手形を見た。

「誰に叩かれた?」

「自称未来の王子妃」

アレン様はベリーさんに近寄った。

「こ、公子…私は何も」

「メイの頬にしっかり手形が残っているし、お前の手のひらも赤くなってるじゃないか」

「だ、だって、その女が殿下に色目を、キャア!」

パン!

アレン様がベリーさんの頬を平手打ちして、ベリーさんはトイレの床に倒れた。

「メイはカルデック家の庇護下にあると告げたよな」

「私は王子殿下の婚約者なのですよ!なのにこんなこと、許されませんわ!」

「メイりを2回は叩いただろう。1回で済ませてもらえたのだから有り難く思え。
それにまだ王子妃ではないから何の効力もない。だとすれば家門で判断することになるが、ベリー家は格下だし、こんなことをしたと殿下が知ったらどう思うだろうか。私も知りたいから今から泣き付きに行っていいぞ?」

「絶対にその女に謝らせますわ!」

「だから今叩いたのは私で、メイはおまえの暴力の被害者だろう。
さあメイ。おいで。酷い目に遭ったな」

「あの人 頭おかしいんです。言葉も通じなくて」

「確かに頭のおかしな奴だな。
とりあえず放っておいて医務室に行こう」


結局 医務室にベリーさんも連れてこられて、そこに学園長が来てしまった。学園長の姿を見るや否やベリーさんは声を上げた。

「学園長!酷いんです!」

「ベリーくん。口を閉じなさい」

「ですが!」

「では、こちらの……」

学園長は私をじっと見た。
モブだから名前が浮かばないのね。

「メイ・モヴィーと申します」

「…モヴィーくん。何があったのかな?」

「オシッコしに、」

「んん゛」

アレン様が咳払いをした。
そうだ。意味不明な隠語を使うんだった。

「失礼しました。お花を摘みに花畑へ足を踏み入れたところ、ベリーさんとお連れのお友達2人に覚えのないことで詰め寄られました。
王子殿下に色目を使ったと言うのです。
私には色目とはどんな目なのか分からなかったので、やってみて欲しいと言いました。見せてもらえれば、そんな目をしたかどうか分かるかもしれませんから。
結局色目を教えてもらえず、次は近付くなと言われました。私から近付いたことがないので殿下に直訴してくださいと伝えたのです。
その後、理不尽な詰め寄りに腹が立って言い返しました。ベリーさんはしきりに王子殿下の婚約者だと主張し、私の頬を思い切り2回叩きました」

「…なるほど」

学園長は、私の頬に残った手の跡を見て険しい顔になった。

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