【完結】責任など取らなくて結構です!

ユユ

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お母様からの忠告

チュッ

「ちょっと!それ以上付けないで」

「こんなもの、1週間もあれば消えるだろう?
1週間後からはキスマークの代わりに何でシェイナを守ればいいんだ?」

「何それ」

「シェイナの服をずらしてキスマークを見れば、俺の存在を知らしめられるだろう?」

「はぁ」


私を毛布で隠して、フェリシアンはメイドに湯浴みの支度をさせた。

その間に、アリオンという侍従に、シェイナが城に泊まることと、下着を届けさせて欲しいこと手紙に書かせて私が署名だけした。


湯に入れられて、優しく身体を洗われた。
髪も汚れてしまったから。

「一緒に入らなくたって」

「世話をしたいんだ」

何でこんなことになったのか。

リン兄様にフラれて壊れてるのかもしれない。


この部屋は、大きなベッドルーム兼居間があり、廊下との間には待合室のような小さな部屋があり、簡単な打ち合わせができるようになっている。

お風呂から出ると、ノックにフェリシアンが応えた。

部屋から出て、戻ってくる彼の手には手紙と荷物があった。

「バレてるっぽい」

「え?」

手紙を開けると

“シェイナ。

一緒にいる人達と こっちに来なさい。

私しかいないから。

1時間後に迎えの馬車を出します。

母より”

「うわ…」

「鋭い母君だな」

「父じゃないだけ良かったわ。
報告される前に言うことを聞いておく方がいいかも。
どうする?」

「シェイナと離れたくないから行くよ。
護衛達も滞在していいってことだよな?」

「そうだと思う」

「アリオンに指示してくる」




私と辺境伯一行は荷物を纏めて王都のヴェリテ邸へ移った。


エントランスにシヴァが走ってきた。

「うわっ でかいな」

「シヴァ!お出迎えありがとう!」

スンスン

「……」

私の匂いを嗅ぎ、

スンスン

「……」

フェリシアンの匂いを嗅ぐ。

「嗅覚は誤魔化されないわよ」

「お母様…ただいま戻りました」

「お久しぶりです。ヴェリテ夫人。
お招きいただきありがとうございます」

「ようこそヴェリテ邸へ。

バロウ辺境伯、護衛の皆様には部屋にご案内させます。貴方はこちらへどうぞ」

「シヴァ、お腹すいた?」

「シェイナもよ」

「…はい」



応接間にお茶が運ばれて、尋問が始まった。

母「今回?」

フ「今回は一応未遂です」

母「一応?」

フ「ある意味途中といいますか、ある意味遂げたといいますか、…未遂です」

母「シェイナ」

私「そういうことです」

母「どうするつもりなの」

フ「私はシェイナ嬢を愛しています」

私「私は失恋したばかりですから」

母「……」

フ「……」

母「無理矢理じゃないなら、シェイナにも責任があるのよ?」

私「…はい」

フ「私の責任です。義母上ははうえ

母「早い」

フ「夫人…」

私「お父様には」

母「後で考えるわ」


そこにメイド長が食事の支度が整ったと伝えに来た。


アリオンや護衛騎士達も席に着き、食事を始めた。

母「滞在はどのくらいですか?」

フ「できるだけ一緒にいたいのですが、10日後には戻ろうかと思っております。
ですが王都に来る頻度を増やします」

母「うちの主人は一途な人だったから よく分からないのだけど、辺境伯はシェイナには難しいと思うのです」

フ「過去の女性問題を仰っておられるのですね。
否定はできませんが、シェイナ嬢と出会ってからは彼女に顔向けできないようなことは一切しておりません。
彼女と夫婦になっても他の女に手を付ける気はありません」

母「それを信じろと言われても難しいですわ。

シェイナ。彼が浮気をするかもしれないという前提でよく考えなさい」

私「はい」

フ「シェイナ、浮気なんてしないからな」

私「……」

フェリシアンの護衛騎士は気不味そうに食事をしていた。


食後は、フェリシアンは私の部屋でシヴァと散々遊んでから客室に戻った。



翌朝、フェリシアンはうちの私兵と鍛錬するというので、私はアコールに行って帳簿関係の仕事を済ませた。

「しばらくヴェリテ邸にいるんだって?」

「はい。すみません。不在にしてしまって」

「構わないよ。こうやって条件を果たしてくれているのだし。

それより困ったことはないのかな?」

「ありません。ご心配いただきありがとうございます」

「ローエンが会いたがっていたよ」

「領地との往復でお忙しいと聞いていましたが」

「目的は果たしたから今は王都にいるよ」

「そのうちお手紙を出しますわ」

「…伝えておくよ」


デュケット子爵おじさまに挨拶をして店を出て馬車に近寄るとリン兄様が立っていた。

「叔父様は中にいらっしゃいますよ」

「何でヴェリテ邸に辺境伯がいるんだ」

「母が招待したのです」

「……まさか、辺境伯と」

「もう心配いりませんわ」

「何をされたのか忘れたのか?」

「だから、あれは事故だったのです。
もう落ち着きましたし、彼も反省しています。
あの事故を除けば悪くないです」

「は?」

「ヒュドラの雫の事件で、少し見方が変わりました」

「ローエン様が何て言うか、」

「ローエン様が?」

「……」

「ローエン様だって心配してくださっているだけです。大丈夫ですとお伝えください」

「シェイナ!」

「リン兄様はどの立ち位置で私に制限を掛けようとするのですか?
今世は兄妹弟子でもありませんし、実の兄妹でもありません。
私はシェイナ・ヴェリテとして生まれたのです。
ノワールの掟の中で生きていません」

「ミラ!」

「ミラの人生は消えたのです」

「……」



馬車に乗ってヴェリテ邸に戻り昼食をとった。

午後は、動きたくないというシヴァを抱き上げて散歩をするフェリシアンに付き合ったが、

「重い……」

「だから言ったのに」

ちょっとならまだ分かるが、時間が経つに連れて辛くなってきたようだ。

多分、大人の男一人分の体重はあるからね。
フェリシアンくらいあるんじゃない?
測ったことがないからわからないけど。

「シヴァ、ごめんね。自分で歩いて戻ろうか」

シヴァを降ろすと 仕方ないなという雰囲気を出して歩き出した。 

夜は腰と背中のマッサージを受けたらしい。






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