【完結】責任など取らなくて結構です!

ユユ

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3人の男達

【 クリスの視点 】


「殿下、シェイナ様は定時に出勤なさいました」

「ありがとう」

ミリエナのお披露目が終わり、夕食に誘おうとしたが姿が見当たらなかった。


翌日、バロウ辺境伯が騒いでいないなと思い、探させた。

「殿下、辺境伯は昨夕に下城なさっております。同行の侍従や騎士達も一緒に去ったそうです」

「ありがとう」


どう言うことだ?

月曜まで確認が取れず苛立っていた。

今朝確認に行かせたら普通に勤務していると言う。
考えすぎかと思っていたが、昼にシェイナの口から嫌な言葉が出た。


「フェリシアンですか?
母が招待してヴェリテ邸に滞在しています」

「は!? あんなに嫌がっていたじゃないか」

「向こうでの事件で、少し見直しました。
活かさなければ生かした意味がありませんし。
招待したのは母ですから」

「……」

あの男!




【 ローエンの視点 】


少しずつシェイナと関わって近付けたつもりだった。

だけど ベアトリスとの一件がよくなかったのか、どんどん遠ざかっていく。

シェイナのいない屋敷がつまらないものに感じる。
シェイナがいてくれるだけで、使用人達も楽しそうにしていたのに。


実子の適性者を増やすため、新たな女2人を領地の屋敷に迎えた。
2人に種付けをしたが芽が出るかは分からないし、実のなる木に育つかも分からない。

シェイナはまだ若い。
今のうちに妾達に沢山産ませて、シェイナを迎えたときに楽にしたい。シェイナを王都の屋敷に置いて妾達を抱きに領地に通いたくない。

追加で女5人を迎えた。

翌月に月のモノが来なかったのが4人。
1ヶ月遅れて1人。

残りの2人は半年以内に孕まなければ別の女に入れ替える予定だ。

乳母を補充し、育児に長けたメイドも補充した。
妊娠した女達には褒美を与えた。
無事に産めばまた褒美を与え、生まれた子が適性者と判明した日には更に褒美を与える予定だ。

シェイナを迎える前に10人くらい産ませたい。

「後3人追加しておいてくれ」

「かしこまりました」



王都で様々な報告を受けた。

ヒュドラの雫か。話には聞いていたが使ったことは無かった。

そして妬みからシェイナに毒を盛ろうとした女を引き取って苦しませて殺した。

何故 あの容姿と無能さで、シェイナに対抗できると思ったのか気がしれない。

密造や密売などしていなければシェイナはあの地に行くことは無かったし、あの男の領地に行くこともなかった。

フェリシアン・バロウ。
夜這いの女と間違えて 私のシェイナの純潔を奪った男。

セヴリアンの話ではシェイナが彼に心を開き始めているという。


「お呼びでしょうか」

「セヴリアン。そろそろ嫁を迎えたらどうだ」

「嫁ですか」

「嫁だけではない。妾も2、3人迎えて子を産ませてくれないか。妾も子もは領地で面倒を見る。
セヴリアンの才能を受け継ぐかもしれないだろう」

「では適当に用意していただけますか」

「妾は直ぐに用意しよう。妻は候補を出して父上の意見も取り入れたい。

好みはあるか?」

「鬱陶しくない女がいいです。出来れば生娘は避けたいです」

「生娘が嫌なのか?」

「手間がかかるのは面倒ですから」

「では妾は2、3ヶ月拘束して先に孕んでいないか 病気を持っていないか確認してからにしよう。
妻になる女は 医師の診断を受けさせてから見張りを付ける」

「お願いします」





【 セヴリアンの視点 】


ミラが分からない。

俺が鈍いのか、シェイナとして生きてきた年月のせいか。


俺達はノワールの掟の中で生きてきた。
常識と非常識の入り混じった掟は統率と生き残るためのものだ。

子供の頃から訓練を重ねてきた。
血の繋がりが無い上に 仲間と馴染めなかった時もミラが慕ってくれたから人間を辞めずにすんだ。

ミラの面倒を見ながら教えることで、俺も成長できた。自分のことだけじゃなくて 下の者達への扱いや関わり方を学べた。

俺にとってミラは実の妹の様だった。

ミラが死んだと知らさせたときは、怒りが強すぎて 、この世の全ての人間を殺したくなった。
仲間に殺されたと分かり制裁した後は、二度と仲間に手を付ける者が現れないよう恐怖を示してきた。


今、再会できたというのに、ミラの記憶を持っているあの子が時々分からない。

特に 昔のようにシェイナのベッドで寝た頃から、隔たりを感じ始めた。

辺境ではミラではない一面を見せていた。
王弟殿下を父に持ち 軍師と呼ばれる母を持つ、ヴェリテ公爵家の令嬢だった。

ショックだった。
またミラを失った気持ちになってしまった。

先日はアコールの前で拒絶された。

自分はもうシェイナなのだと。


避けられない日がやってきた。
何年も前から父上からは妻を娶れと言われてきた。
今日はローエン様に妾も迎え入れて孕ませろと命じられた。

恐らくローエン様の実子に暗殺向きの適性者がいないからだろう。

愛を求めたりしなければ別に構わない。
ただ子孫を残すことに抵抗があった。
自分の子が生まれても愛せそうにないからだ。


1週間後、婚約者候補の釣書を4人分受け取った。
その中から1人を父上と選び婚約した。

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