9 / 69
公爵邸
しおりを挟む
ピアの懇願によって、公爵邸に引っ越した。
“体裁がありますから。
何もしなくていいと言われても、公爵家の体裁を悪くしていいとは書いてないと思います。
メイド長のことは本当に旦那様の意思ではございません。そんな事をすれば大奥様に叱られます”
そう言われたら仕方ない。
エリス達も、逆に私が我儘を言っているとか もっと酷い事を言われるかもと、恋活への影響を口にしたので渋々応じた。
その代わり、公爵の部屋のある階ではなく別の階に用意しろと要求した。しかもすぐ下とか嫌だと伝えた。
「お帰りなさいませ。若奥様」
多くの使用人が外に出迎えてくれた。
「アイリーン様ぁ~」
帰りを待ち侘びた飼い犬のように駆け寄ってきた。
「ピア、お部屋に案内してくれる?」
「はい!」
2階の奥の部屋に通された。
入室すると爽やかな香りが漂ってくる。
清潔感ある乙女の部屋という感じに仕上がっている。
夫人ではなく令嬢の部屋になっていた。
「いかがですか?
アイリーン様のイメージに仕上げました」
「ピアがやってくれたの?ありがとう。気に入ったわ」
「私、やる時はやる子なんです」
「そうね。頼もしいわ」
「アイリーン様」
「どうしたの?」
「一応この屋敷の主人がご挨拶をしたいと」
「一応じゃなくて完全に主人の公爵のこと?」
「はい。半人前の旦那様のことです」
「公爵や他の使用人の前で言っちゃ駄目よ」
「は~い」
ピアが呼びに出て10分後、現れた公爵は花を持っていた。
「アイリーン。あの日は申し訳なかった。
公爵夫人の君に無礼な事をしたメイド長は即座に追い出した。退職金も推薦状も渡さなかった。
それでも罰としては甘いかもしれないが、あまり酷くすると逆に君の負担になるかもと思って身体に危害は加えていない。
俺の意思では無いが、主人である俺の責任だ。
この通り、許してくれ」
公爵は深々と頭を下げて謝罪をした。
「分かりましたわ。頭を上げてください、公爵」
「ハロルドと呼んでくれ」
「愛するトリシア様の手前、それはいたしません。
ちゃんと弁えて お二人を応援いたしますのでご安心ください」
「アイリーン…」
「では、荷解きがありますので」
「ピアは」
「?」
「ピアを専属メイドに付けるという事でいいのか?」
「ええ」
「足りないだろう。他にも、」
「エリスがいますから結構ですわ」
「そうか。要望があったらすぐに俺に言ってくれ。午後に商人がくるから好きな物を買うといい」
公爵は花を置いて退室した。
バタン
「……別人だわ。甘やかされて貴族教育を受けなかった馬鹿だと思っていたけど」
エ「生まれつきの癇癪持ちか何かかと思っておりました」
ピ「手紙の内容もこんな感じだったんじゃないでしょうか。婚姻前日の行いも悔いて反省しているようでした」
「どうして分かるの?」
ピ「直接軽く罵りましたから」
「大丈夫なの!?」
ピ「はい。私は貴重な若奥様を持った使用人ですから。駄目ネコはいう事をききます」
「? とにかく無理しないでね」
ピ「お優しいアイリーン様に仕えることができて光栄です」
「貴女が躾けてくれたのね。お礼をしないと」
ピ「では、良くやったと頭を撫でてください」
ピアは私の足元に座り頭を差し出した。
「ふふっ。いい子ね。良くやったわ。ありがとう」
ピアの頭を優しく撫でた。
ピ「えへへ」
本当にこれでいいのかしら。
ピアは童顔で歳下に見えるけど……聞くのが怖いから、実年齢を聞かずに歳下ということにしておくことにした。
昼食はテラスでとり、その後商人が来たと応接間に案内された。
「ウィンター公爵夫人。
お初にお目にかかります。
私どもは王都に店を構えるジニア商会から参りました。ドレスなどを扱っております サリーと申します」
「ジュエリーを扱っておりますジャンと申します」
「その他のものは 私オマリーにお申し付けください」
「こちらこそ よろしくお願いしますわ」
あれこれと皆に薦められたけど、散財する気はない。
ピ「恋活するなら必要です、アイリーン様。
パーティに出るドレス、夜会に出るドレス、茶会に出るドレス、街へデートするときのものなど多種類を何着か揃えませんと。
それに同じようなデザインばかりは駄目です。攻めないとアピールできません。
ほら、お帽子や手袋も。このネックレスとかイヤリングも」
「必要?」
エリス達も首を縦に振った。
そしてサリー達と品を選んだ。
「公爵様がお喜びになります」
「こんなに愛らしい新妻はおりません」
「公爵様が直々に依頼にいらっしゃるはずですわ」
「え?直々って?」
「公爵様が店にいらして、奥様の愛らしい容姿や色、大体のサイズなどを伝え、奥様がお気のすむまで買わせてやりたいと」
「私にですか?」
「はい。聞いた通りのご容姿ですから間違いございません」
トリシア様と私では似つかない。
お詫びということかしら。
その日はかなりの大金を使った気がする。
ピアは大丈夫と言っていたけど…。
“体裁がありますから。
何もしなくていいと言われても、公爵家の体裁を悪くしていいとは書いてないと思います。
メイド長のことは本当に旦那様の意思ではございません。そんな事をすれば大奥様に叱られます”
そう言われたら仕方ない。
エリス達も、逆に私が我儘を言っているとか もっと酷い事を言われるかもと、恋活への影響を口にしたので渋々応じた。
その代わり、公爵の部屋のある階ではなく別の階に用意しろと要求した。しかもすぐ下とか嫌だと伝えた。
「お帰りなさいませ。若奥様」
多くの使用人が外に出迎えてくれた。
「アイリーン様ぁ~」
帰りを待ち侘びた飼い犬のように駆け寄ってきた。
「ピア、お部屋に案内してくれる?」
「はい!」
2階の奥の部屋に通された。
入室すると爽やかな香りが漂ってくる。
清潔感ある乙女の部屋という感じに仕上がっている。
夫人ではなく令嬢の部屋になっていた。
「いかがですか?
アイリーン様のイメージに仕上げました」
「ピアがやってくれたの?ありがとう。気に入ったわ」
「私、やる時はやる子なんです」
「そうね。頼もしいわ」
「アイリーン様」
「どうしたの?」
「一応この屋敷の主人がご挨拶をしたいと」
「一応じゃなくて完全に主人の公爵のこと?」
「はい。半人前の旦那様のことです」
「公爵や他の使用人の前で言っちゃ駄目よ」
「は~い」
ピアが呼びに出て10分後、現れた公爵は花を持っていた。
「アイリーン。あの日は申し訳なかった。
公爵夫人の君に無礼な事をしたメイド長は即座に追い出した。退職金も推薦状も渡さなかった。
それでも罰としては甘いかもしれないが、あまり酷くすると逆に君の負担になるかもと思って身体に危害は加えていない。
俺の意思では無いが、主人である俺の責任だ。
この通り、許してくれ」
公爵は深々と頭を下げて謝罪をした。
「分かりましたわ。頭を上げてください、公爵」
「ハロルドと呼んでくれ」
「愛するトリシア様の手前、それはいたしません。
ちゃんと弁えて お二人を応援いたしますのでご安心ください」
「アイリーン…」
「では、荷解きがありますので」
「ピアは」
「?」
「ピアを専属メイドに付けるという事でいいのか?」
「ええ」
「足りないだろう。他にも、」
「エリスがいますから結構ですわ」
「そうか。要望があったらすぐに俺に言ってくれ。午後に商人がくるから好きな物を買うといい」
公爵は花を置いて退室した。
バタン
「……別人だわ。甘やかされて貴族教育を受けなかった馬鹿だと思っていたけど」
エ「生まれつきの癇癪持ちか何かかと思っておりました」
ピ「手紙の内容もこんな感じだったんじゃないでしょうか。婚姻前日の行いも悔いて反省しているようでした」
「どうして分かるの?」
ピ「直接軽く罵りましたから」
「大丈夫なの!?」
ピ「はい。私は貴重な若奥様を持った使用人ですから。駄目ネコはいう事をききます」
「? とにかく無理しないでね」
ピ「お優しいアイリーン様に仕えることができて光栄です」
「貴女が躾けてくれたのね。お礼をしないと」
ピ「では、良くやったと頭を撫でてください」
ピアは私の足元に座り頭を差し出した。
「ふふっ。いい子ね。良くやったわ。ありがとう」
ピアの頭を優しく撫でた。
ピ「えへへ」
本当にこれでいいのかしら。
ピアは童顔で歳下に見えるけど……聞くのが怖いから、実年齢を聞かずに歳下ということにしておくことにした。
昼食はテラスでとり、その後商人が来たと応接間に案内された。
「ウィンター公爵夫人。
お初にお目にかかります。
私どもは王都に店を構えるジニア商会から参りました。ドレスなどを扱っております サリーと申します」
「ジュエリーを扱っておりますジャンと申します」
「その他のものは 私オマリーにお申し付けください」
「こちらこそ よろしくお願いしますわ」
あれこれと皆に薦められたけど、散財する気はない。
ピ「恋活するなら必要です、アイリーン様。
パーティに出るドレス、夜会に出るドレス、茶会に出るドレス、街へデートするときのものなど多種類を何着か揃えませんと。
それに同じようなデザインばかりは駄目です。攻めないとアピールできません。
ほら、お帽子や手袋も。このネックレスとかイヤリングも」
「必要?」
エリス達も首を縦に振った。
そしてサリー達と品を選んだ。
「公爵様がお喜びになります」
「こんなに愛らしい新妻はおりません」
「公爵様が直々に依頼にいらっしゃるはずですわ」
「え?直々って?」
「公爵様が店にいらして、奥様の愛らしい容姿や色、大体のサイズなどを伝え、奥様がお気のすむまで買わせてやりたいと」
「私にですか?」
「はい。聞いた通りのご容姿ですから間違いございません」
トリシア様と私では似つかない。
お詫びということかしら。
その日はかなりの大金を使った気がする。
ピアは大丈夫と言っていたけど…。
558
あなたにおすすめの小説
旦那様には愛人がいますが気にしません。
りつ
恋愛
イレーナの夫には愛人がいた。名はマリアンヌ。子どものように可愛らしい彼女のお腹にはすでに子どもまでいた。けれどイレーナは別に気にしなかった。彼女は子どもが嫌いだったから。
※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました。
【完結】旦那は堂々と不倫行為をするようになったのですが離婚もさせてくれないので、王子とお父様を味方につけました
よどら文鳥
恋愛
ルーンブレイス国の国家予算に匹敵するほどの資産を持つハイマーネ家のソフィア令嬢は、サーヴィン=アウトロ男爵と恋愛結婚をした。
ソフィアは幸せな人生を送っていけると思っていたのだが、とある日サーヴィンの不倫行為が発覚した。それも一度や二度ではなかった。
ソフィアの気持ちは既に冷めていたため離婚を切り出すも、サーヴィンは立場を理由に認めようとしない。
更にサーヴィンは第二夫妻候補としてラランカという愛人を連れてくる。
再度離婚を申し立てようとするが、ソフィアの財閥と金だけを理由にして一向に離婚を認めようとしなかった。
ソフィアは家から飛び出しピンチになるが、救世主が現れる。
後に全ての成り行きを話し、ロミオ=ルーンブレイス第一王子を味方につけ、更にソフィアの父をも味方につけた。
ソフィアが想定していなかったほどの制裁が始まる。
初耳なのですが…、本当ですか?
あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た!
でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。
幼なじみと再会したあなたは、私を忘れてしまった。
クロユキ
恋愛
街の学校に通うルナは同じ同級生のルシアンと交際をしていた。同じクラスでもあり席も隣だったのもあってルシアンから交際を申し込まれた。
そんなある日クラスに転校生が入って来た。
幼い頃一緒に遊んだルシアンを知っている女子だった…その日からルナとルシアンの距離が離れ始めた。
誤字脱字がありますが、読んでもらえたら嬉しいです。
更新不定期です。
よろしくお願いします。
白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』
鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」
公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。
だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。
――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの?
何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。
しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。
それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。
そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。
温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。
そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。
「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」
「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」
離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。
そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。
白い結婚で結構ですわ。殿下より、私の自由のほうが大事ですので
鍛高譚
恋愛
「第二王子との婚約? でも殿下には平民の恋人がいるらしいんですけど?
――なら、私たち“白い結婚”で結構ですわ。お好きになさってくださいな、殿下」
自由気ままに読書とお茶を楽しむのがモットーの侯爵令嬢・ルージュ。
ある日、突然“第二王子リオネルとの政略結婚”を押しつけられてしまう。
ところが当の殿下は平民の恋人に夢中で、
「形式上の夫婦だから干渉しないでほしい」などと言い出す始末。
むしろ好都合とばかりに、ルージュは優雅な“独身気分”を満喫するはずが……
いつしか、リナという愛人と妙に仲良くなり、
彼女を巡る宮廷スキャンダルに巻き込まれ、
しまいには婚約が白紙になってしまって――!?
けれどこれは、ルージュが本当の幸せを掴む始まりにすぎなかった。
自分を心から大切にしてくれる“新しい旦那様”候補が現れて、
さあ、思い切り自由に愛されましょう!
……そして、かの王子様の結末は“ざまぁ”なのか“自業自得”なのか?
自由気ままな侯爵令嬢が切り開く、
“白い結婚破談”からの痛快ざまぁ&本当の恋愛譚、はじまります。
白い結婚で結構ですわ。愛人持ちの夫に興味はありません
鍛高譚
恋愛
公爵令嬢ルチアーナは、王太子アルベルトとの政略結婚を命じられた。だが彼にはすでに愛する女性がいた。そこでルチアーナは、夫婦の義務を果たさない“白い結婚”を提案し、お互いに干渉しない関係を築くことに成功する。
「夫婦としての役目を求めないでくださいませ。その代わり、わたくしも自由にさせていただきますわ」
そうして始まった王太子妃としての優雅な生活。社交界では完璧な妃を演じつつ、裏では趣味の読書やお茶会を存分に楽しみ、面倒ごととは距離を置くつもりだった。
——だが、夫は次第にルチアーナを気にし始める。
「最近、おまえが気になるんだ」
「もっと夫婦としての時間を持たないか?」
今さらそんなことを言われても、もう遅いのですわ。
愛人を優先しておいて、後になって本妻に興味を持つなんて、そんな都合の良い話はお断り。
わたくしは、自由を守るために、今日も紅茶を嗜みながら優雅に過ごしますわ——。
政略結婚から始まる痛快ざまぁ! 夫の後悔なんて知りませんわ
“白い結婚”を謳歌する令嬢の、自由気ままなラブ&ざまぁストーリー!
全てを捨てて、わたしらしく生きていきます。
彩華(あやはな)
恋愛
3年前にリゼッタお姉様が風邪で死んだ後、お姉様の婚約者であるバルト様と結婚したわたし、サリーナ。バルト様はお姉様の事を愛していたため、わたしに愛情を向けることはなかった。じっと耐えた3年間。でも、人との出会いはわたしを変えていく。自由になるために全てを捨てる覚悟を決め、わたしはわたしらしく生きる事を決意する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる