【完結】愛する女がいるから、妻になってもお前は何もするなと言われました

ユユ

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実父と異母兄との対面

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コンドラー公爵邸の応接間に通されると、全く私と似ていない二人がいた。
瞳の色だけ私と同じ…。

王弟「ここは私が。

先ずは自己紹介をしましょう。
サルフェト王国のジェイムズ国王陛下の弟ライアンと申します。

こちらはコンドラー領の当主、フィリップ・コンドラー公爵。子息のユーリ殿。

こちらはペルラン王国のレナード王太子殿下、長男のリアム殿下。

お会いする機会をいただきありがとうございます」

父「モルガン・ベロノワと申します。アイリーンの父であり、伯爵家当主でございます」

弟「ジュエル・ベロノワと申します。次男でアイリーンの弟でございます」

私「アイリーン・ベロノワと申します」

実父「アイリーン…会いたかった」

私「……」

王弟「座ってお話しをしませんか。
そして先ずはアイリーン嬢主導の下、コンドラー港の改革について詳しく説明をしていただけますか?アイリーン嬢」

私「はい」

王弟殿下に促され、コンドラー港の改革について説明をした。

王弟「なるほど。これでは完成されたベロノワ港を視察して真似ようとしても上手くいかないはずだ。

港の民と目線を同じにして交流し懐に入り丁寧な聞き取りを行うことに数ヶ月かけている。
だから反発もないし協力的で前向きな意見も得られる。人任せにせず港の民が自ら手伝いも買って出ている。

既に営業再開できた店は新作を出していて活き活きとしているし、後継問題も解決している。
貴族客と揉めないように区画を分けたり、衛生面に気を付けたり、忙しい港の民達のために動線というものに着目したり。

私からも感謝を申し上げたい。
アイリーン嬢、ありがとう」

リ「うちにも港があれはいいのですが。
海に面していないのが残念です」


そんな話をした後に、実父の王太子殿下が口を開いた。実母イレーネとの馴れ初めや顛末を語った。

実父「アイリーン。怒っているのは承知だ。
だが、あの時はイレーネと別れるしか、」

私「まだご自分のなさったことを理解しておられませんか?殿

実父「アイリーン」

私「カスカードには何をしに出向かれたのでしょう。愛人探しですか?」

実父「違う!」

私「やっていることは違いません、王太子殿下。
視察は相手の国の王女の純潔を奪うことではありません。
仮定して、言い寄られたとしても相手は他国の王女。大人の殿下は断るべき立場です。

愛があったのなら、先ずは正式な求婚をなされば良かったのです。
そうすれば、王女は回避不可な婚約者がいることや、14歳だったと知れたでしょう。

王女とは違い、殿下は孕ませる行為だと知っていたのです。相手任せにして帰国するなど論外。
ヤリ捨てたと非難されて当然です。

イレーネ王女は政略結婚である上に見初められた婚姻だというなら、初夜で純潔ではないと知られたイレーネ王女は嫁ぎ先でどのような扱いを受けたでしょうか。

私は人目につかぬよう隔離されました。使用人達の中には、私を蔑む者もおりました。他の王族にも“姿を見せるな”と言われました。
母には大事に育てていただきましたが5歳で捨てられたのです。

そして知らぬ土地、知らぬ人に預けられ、腫れもの扱いです。

そして数ヶ月後にベロノワ邸に連れてこられました。

私の意思など無いと思っているのか、気に留める必要がないと思っているのか。
私は産まれてからあの時まで、高価な布と綿で作った不要の人形だったのです。
捨てに捨てられず、あれば手入れをしなければならない厄介さのある人形です。

ベロノワ伯爵家に預けられて不安でした。
次はどこに預けられるのかと。
そして事故で記憶を失くし、寂しくて悲しくて自分を無価値以下の負債と思っていた日々の記憶から解放されたのです。

ベロノワ伯爵家は私を実子として大切に育ててくださいました。

王太子殿下。貴方は何の確認もせず、イレーネ王女の純潔を奪い、私とイレーネ王女を捨てて帰国したのです。
知らなかったことではありません。簡単に知り得たはずのことを知ろうとしなかった。
殿下の愛などそんなものです。

お願いですから私の前で愛などと口にしないでくださいませんか?思わず手が出そうですので」

実父の王太子殿下は拳を握りしめた。

実父「すまなかった」


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