【完結】公子が好きなのは王子ですよね? 私は女ですよ?

ユユ

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愛娘は神童

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【 ロバート・アブリックの視点 】

アブリック伯爵家には、私とアンナの間にディオンが生まれたことで安堵していた。

だが第二子がなかなか授からず、アンナは塞ぎ込むようになった。

私が36歳、アンナが34歳のとき、妊娠が分かった。

アンナの心は一気に満たされて、昔のアンナに戻った。

どちらでもいい。健康にさえ産まれてくれれば。

そして産まれたのは、健康で美しさを約束された女の子だった。

私とアンナの見目はいい。その二人の良いところだけを取って作られたような天使だった。

12歳のディオンは早々に気が付いた。

『父上、天使は言葉を理解している気がします』

名を付けるのは家長の務め。
試しに天使の前で名付けをすることにした。
いくつか候補を口にしたが“リナ”が良いと反応をみせた。

『ほらね』

『……』


メイド達から癇癪持ちではと囁かれているのは知っている。物を投げ付けたりするし、手を払い除ける。

だがこれで仮説ができた。

天使リナはメイド達の言葉や行動を理解して抗議しているのではないかと。

数日後、リナがメイドにおしゃぶりを投げ付けたと聞いた。

夜におしゃぶりを持ち出し、ランプの側に持って来た。

『なるほどな』

投げれば下に落ちて洗うだろうと考えたのだろう。

翌朝、リナ担当のメイドを呼んだ。

『こんな汚い物を与えられていたら私でも投げる。
リナは言葉が話せないんだぞ。

おしゃぶりはカトラリーと同じで口に入れる物だ。
洗わずに使い続けるなんてあり得ないだろう。

おしゃぶりを複数用意して、朝 昼 夕 就寝前に清潔なおしゃぶりに取り替えろ』

『も、申し訳ございませんでした』


次はぬいぐるみを突き返すらしい。

おしゃぶりの件以来 気を付けたらしいが、ぬいぐるみについてはまるで分からないと相談してきた。

リナのベビーベッドへ行き ぬいぐるみに触れた。
ヨダレなどのせいか汚れていた。

リナに聞くとウサギのぬいぐるみを指差した。

『二つあるから順番に洗え。先ずはウサギからだ』

確かに ぬいぐるみを洗うという概念が無かった。
リナは潔癖なのかもしれない。


今後リナとどう意思の疎通をとればいいのか悩んでいた。

『どうしたんですか?副団長』

『娘との意思の疎通の仕方を悩んでいるんだよ。
言葉が話せない者とはどう会話をすればいい』

『アルファベットボードがありますよ。
子供の教育にも使いますが、老衰や病気などで話せず筆談もできない人向けのボードがあるんです』

『それだ!』

『え?副団長の娘さんは赤ちゃんですよね!?』

『何処に売ってるんだ』

『一先ず エリオット殿下からお借りしては?
使わないから片付けるって話していましたから』

『聞いてくる』

今日は国王陛下の警護だからついでに聞いてみた。

『エリオットのアルファベットボード?』

『はい』

『ディオンはさすがに必要ないだろう。……まさか隠し子か』

『違います!リナに使うんです』

『産まれて半年じゃないのか?』

『5ヶ月です』

『早過ぎるだろう』

『駄目なら、』

『持って来させるから結果を教えてくれ』

『ありがとうございます』

そしてテレサを昇給させろと指し示した。


その夜、

『アンナ。リナは天才だ』

『やっぱり あの子は特別ね』

『専属メイドを変えないと。
賢くて口が堅い者がいい。従者も付けたい』

『侍女?』

『侍従兼護衛だ。狙われるぞ』

『赤ちゃんですよ?』

『美少女になることは確実な容姿に神童。伯爵家の娘で、父親は陛下の側にいる。

私が他人で強い野心があれば息子の嫁にと狙うだろうな』

『あなた』

『陛下が反応なさった。エリオット殿下には既に婚約者がいるが、リナの価値をどう見るかで乗り替える可能性もある』


だけど……

リナと宰相閣下のご子息との婚約が決まってしまった。

リナは赤ちゃんだから、リナが10歳になったときに どうしても嫌がったら白紙にするという条件で署名した。

帰ってリナにボードを使って聞いた。

“気付かれたみたいで仕方なかった”
“王子よりマシ”
“レオはそのうち好きな人ができる”

なら10歳で解消するだろうと楽観視してしまった。


でも何で分かるんだ?

教えてもいないアルファベットを知っていて、単語も綴も理解している。

何故かと聞いたら、“生まれつき”と言っていた。
公子のことも生まれつき分かるのかもしれない。
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