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盾の連続使用
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レオナルド・メット公子はシャンパンを口にした。
「本当にメット公子は盾になれるのですね」
「レオナルドと呼んでくれ」
「多分、ヴィフノワ家より格上なのですよね?
私ではお名前で呼ぶなんてできません」
「家名は?」
「エンブレア侯爵家 長女アリスティーネと申します」
「王宮でエンブレア侯爵に会ったよ。陛下の側近じゃないか。君のお父上は良い方だな」
「ありがとうございます。私もそう思います」
陛下とお父様に会うなら、相当な立場の方なのね。
うちに来ていいなんて言って良かったのかしら。
でも、エミリオの盾になってくれたのだもの。歓迎しなくちゃいけないわね。
「君は本当に家族に恵まれたのだね」
「その代わり、他はダメですけど。
失恋しましたし、令嬢達から爪弾きにされましたし。でもやっと、最近一部のクラスメイトが仲良くしてくれるようになって、それだけで十分です」
ザワッ
会場が少し騒がしくなった。視線の先にはノエル様がいた。
お祝いを言いに駆け付けたのね。
「ちょっと、背中を貸してください」
「え?…また貸しを作るのか?」
「貸し?」
「どうする?エミリオに挨拶したあと、誰かを探しているみたいだぞ?」
「か、貸しでお願いします」
公子は私を窓際のカーテンの中に隠して窓を眺めるフリをした。
「レオナルド王子殿下、不自由はありませんか?」
王子殿下!?
「私はもう公爵家の息子ですよ。殿下と呼ばないでください」
「失礼しました」
「クシュン」
っ!!しまった!!
「今のくしゃみ、アリスティーネだ」
何でくしゃみで分かるの!?
「……」
「出ておいで。何で僕から隠れるんだ?…僕だって傷付くぞ」
「ご、ごきげんよう」
カーテンから出るとノエル様はドレスをまじまじと見た。
「それ、エミリオが?」
「どうせ布地が余ってついでに作ったか、あげる相手を間違えたのですよ。
ノエル殿下はエミリオのところにいてあげてください」
「また喧嘩したのか。
僕たちは幼馴染だろう?僕が婚約したからって どうして線を引こうとするんだ。殿下なんて止めてくれ」
「……」
「ノエル王子殿下、幼馴染というのなら、アリスティーネの意思を尊重するものではありませんか?」
「僕とアリスティーネの問題です」
「でも、私と彼女は友達になったので、口を挟みますよ。彼女は罪を犯しているわけでも危険なことをしようとしているわけでもないのですから、彼女が“ノエル殿下”と呼んでも問題ありませんよね?
むしろ今の環境で殿下と付けない方が問題です」
「レオナルド公子!」
「ノエル殿下、ここはお祝いの場です」
「そうだな。
レオナルド公子、失礼しました。
アリスティーネ、また今度」
そう言って去っていった。
「メッ……レオナルド公子 ありがとうございました」
「大したことはしていないよ。だけど約束は約束だ。明日から残りの滞在期間 エンブレア邸に滞在させてもらうよ」
公子はニッコリ微笑んだ。
「嘘ですよね?」
日帰りじゃなかったの!?
「盾になって王族から守ったのだから、滞在くらいいいだろう」
「くらいって…」
「私の滞在先は王宮だ。さっき気まずくなって居辛くなったんだけどな」
「っ!……分かりました」
「そうだ。私は怠け者だから、せめてティータイムではアリスティーネちゃんが食べさせてくれ」
「はい?」
「名前、長いからアリスちゃんでいいな?」
何で身分の高い人は こうも強引なの!!
「本当にメット公子は盾になれるのですね」
「レオナルドと呼んでくれ」
「多分、ヴィフノワ家より格上なのですよね?
私ではお名前で呼ぶなんてできません」
「家名は?」
「エンブレア侯爵家 長女アリスティーネと申します」
「王宮でエンブレア侯爵に会ったよ。陛下の側近じゃないか。君のお父上は良い方だな」
「ありがとうございます。私もそう思います」
陛下とお父様に会うなら、相当な立場の方なのね。
うちに来ていいなんて言って良かったのかしら。
でも、エミリオの盾になってくれたのだもの。歓迎しなくちゃいけないわね。
「君は本当に家族に恵まれたのだね」
「その代わり、他はダメですけど。
失恋しましたし、令嬢達から爪弾きにされましたし。でもやっと、最近一部のクラスメイトが仲良くしてくれるようになって、それだけで十分です」
ザワッ
会場が少し騒がしくなった。視線の先にはノエル様がいた。
お祝いを言いに駆け付けたのね。
「ちょっと、背中を貸してください」
「え?…また貸しを作るのか?」
「貸し?」
「どうする?エミリオに挨拶したあと、誰かを探しているみたいだぞ?」
「か、貸しでお願いします」
公子は私を窓際のカーテンの中に隠して窓を眺めるフリをした。
「レオナルド王子殿下、不自由はありませんか?」
王子殿下!?
「私はもう公爵家の息子ですよ。殿下と呼ばないでください」
「失礼しました」
「クシュン」
っ!!しまった!!
「今のくしゃみ、アリスティーネだ」
何でくしゃみで分かるの!?
「……」
「出ておいで。何で僕から隠れるんだ?…僕だって傷付くぞ」
「ご、ごきげんよう」
カーテンから出るとノエル様はドレスをまじまじと見た。
「それ、エミリオが?」
「どうせ布地が余ってついでに作ったか、あげる相手を間違えたのですよ。
ノエル殿下はエミリオのところにいてあげてください」
「また喧嘩したのか。
僕たちは幼馴染だろう?僕が婚約したからって どうして線を引こうとするんだ。殿下なんて止めてくれ」
「……」
「ノエル王子殿下、幼馴染というのなら、アリスティーネの意思を尊重するものではありませんか?」
「僕とアリスティーネの問題です」
「でも、私と彼女は友達になったので、口を挟みますよ。彼女は罪を犯しているわけでも危険なことをしようとしているわけでもないのですから、彼女が“ノエル殿下”と呼んでも問題ありませんよね?
むしろ今の環境で殿下と付けない方が問題です」
「レオナルド公子!」
「ノエル殿下、ここはお祝いの場です」
「そうだな。
レオナルド公子、失礼しました。
アリスティーネ、また今度」
そう言って去っていった。
「メッ……レオナルド公子 ありがとうございました」
「大したことはしていないよ。だけど約束は約束だ。明日から残りの滞在期間 エンブレア邸に滞在させてもらうよ」
公子はニッコリ微笑んだ。
「嘘ですよね?」
日帰りじゃなかったの!?
「盾になって王族から守ったのだから、滞在くらいいいだろう」
「くらいって…」
「私の滞在先は王宮だ。さっき気まずくなって居辛くなったんだけどな」
「っ!……分かりました」
「そうだ。私は怠け者だから、せめてティータイムではアリスティーネちゃんが食べさせてくれ」
「はい?」
「名前、長いからアリスちゃんでいいな?」
何で身分の高い人は こうも強引なの!!
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