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僕のご主人様?
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僕の勤務は副団長と一緒。
今日は服屋に来ている。
「僕のサイズありますか」
「お直しが必要ですがございます」
子守り用の服を買いに来た。
この店は副団長が連絡を入れてくれているので大きな服の準備がなされていた。
採寸もして2着作ってもらう。
「お直しの分は明日、王城へお届けいたします。
これから作る分は順次納品いたします」
「よろしくお願いします」
他にも必要そうな物を買った。
正直、女の子の世話なんてしたことがない。
というか、ろくに会話をしたことがない。
自分のハンカチはどうでもいいが、彼女に使うなら上等のものじゃないと。
「柄のお好みはありますか?」
…何も知らない。
「では、おいくつでしょう」
…何歳かも知らない。
「小さいです」
「では、この辺りでいかがでしょう」
猫、熊、犬、小鳥、苺の刺繍の入ったハンカチを買った。
髪が長かったな。
安物だけど髪留めを買った。
3日後、使用人用の食堂で食事をして、副団長の執務室へ向かった。
ノックをして入室すると彼女がいた。
「リリアナ。彼を覚えているね?クリスと呼ぶといい。今日から私と城に来た時は、クリスが一緒にいてくれるからね。
一緒に騎士の訓練を見たり散歩に行くといい」
コクン
少女が頷いた。
「クリス。この腕章を付けるといい。副団長付きの者だと示せるからな」
「ありがとうございます」
「さて、行くか」
少女は腕を上げた。
「リリアナ様?」
「クリス。抱っこして連れて行ってやってくれ」
「え? 私のような者がですか!?」
「リリアナの望みだ。叶えてくれ」
「かしこまりました。
さあ、リリアナ様。抱っこしますからね」
脇に手を差し込み抱き上げるとものすごく軽かった。
少女は僕の首に腕を回した。
こんな小さいのに いい匂いがするし、同じ人間とは思えないほど綺麗で可愛い。
頬に触れる髪が柔らかくてサラサラだ。
副団長と一緒に団長室に挨拶に行った。
「君がリリアナちゃんの子守りか」
「クリス・サモールと申します」
「すごいね。リリアナちゃんが懐いてるよ」
「そうなんです。リリアナが選んだ少年ですからね」
「クリスくんはいくつなんだ?」
「13歳です」
「じゃあ、リリアナちゃんとは3歳違いなんだな」
「ええっ!」
「どうした」
「い、いえ」
6歳くらいかと思っていた。
「あの、本当に抱っこしていていいのですか?」
「リリアナが望むのだからいいに決まっている」
「分かりました」
令嬢だぞ…10歳といえば侯爵家なら淑女教育もやってるのでは?
僕が老人ならまだ分かる。歳が近い男に抱っこさせるなんて…。
ジーッ
「リリアナ様、何か」
ギュッ
「っ!」
少女が僕の首にしがみついたから頬と頬がくっついてる!
「リリアナ様、誤解を招きます」
「クリスは見た目13には見えない。下手したら20歳くらいに見えなくもない」
「えっ」
「大丈夫。これを見て誤解をする者などいない」
「副団長がそう仰るのなら」
「クリスくん。リリアナちゃんは君と副団長にだけしか殻から出てこない。
しっかりと甘やかしてやってくれよ」
「分かりました」
団長達がそう言うならと開き直った。
今日は服屋に来ている。
「僕のサイズありますか」
「お直しが必要ですがございます」
子守り用の服を買いに来た。
この店は副団長が連絡を入れてくれているので大きな服の準備がなされていた。
採寸もして2着作ってもらう。
「お直しの分は明日、王城へお届けいたします。
これから作る分は順次納品いたします」
「よろしくお願いします」
他にも必要そうな物を買った。
正直、女の子の世話なんてしたことがない。
というか、ろくに会話をしたことがない。
自分のハンカチはどうでもいいが、彼女に使うなら上等のものじゃないと。
「柄のお好みはありますか?」
…何も知らない。
「では、おいくつでしょう」
…何歳かも知らない。
「小さいです」
「では、この辺りでいかがでしょう」
猫、熊、犬、小鳥、苺の刺繍の入ったハンカチを買った。
髪が長かったな。
安物だけど髪留めを買った。
3日後、使用人用の食堂で食事をして、副団長の執務室へ向かった。
ノックをして入室すると彼女がいた。
「リリアナ。彼を覚えているね?クリスと呼ぶといい。今日から私と城に来た時は、クリスが一緒にいてくれるからね。
一緒に騎士の訓練を見たり散歩に行くといい」
コクン
少女が頷いた。
「クリス。この腕章を付けるといい。副団長付きの者だと示せるからな」
「ありがとうございます」
「さて、行くか」
少女は腕を上げた。
「リリアナ様?」
「クリス。抱っこして連れて行ってやってくれ」
「え? 私のような者がですか!?」
「リリアナの望みだ。叶えてくれ」
「かしこまりました。
さあ、リリアナ様。抱っこしますからね」
脇に手を差し込み抱き上げるとものすごく軽かった。
少女は僕の首に腕を回した。
こんな小さいのに いい匂いがするし、同じ人間とは思えないほど綺麗で可愛い。
頬に触れる髪が柔らかくてサラサラだ。
副団長と一緒に団長室に挨拶に行った。
「君がリリアナちゃんの子守りか」
「クリス・サモールと申します」
「すごいね。リリアナちゃんが懐いてるよ」
「そうなんです。リリアナが選んだ少年ですからね」
「クリスくんはいくつなんだ?」
「13歳です」
「じゃあ、リリアナちゃんとは3歳違いなんだな」
「ええっ!」
「どうした」
「い、いえ」
6歳くらいかと思っていた。
「あの、本当に抱っこしていていいのですか?」
「リリアナが望むのだからいいに決まっている」
「分かりました」
令嬢だぞ…10歳といえば侯爵家なら淑女教育もやってるのでは?
僕が老人ならまだ分かる。歳が近い男に抱っこさせるなんて…。
ジーッ
「リリアナ様、何か」
ギュッ
「っ!」
少女が僕の首にしがみついたから頬と頬がくっついてる!
「リリアナ様、誤解を招きます」
「クリスは見た目13には見えない。下手したら20歳くらいに見えなくもない」
「えっ」
「大丈夫。これを見て誤解をする者などいない」
「副団長がそう仰るのなら」
「クリスくん。リリアナちゃんは君と副団長にだけしか殻から出てこない。
しっかりと甘やかしてやってくれよ」
「分かりました」
団長達がそう言うならと開き直った。
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