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僕へのオファー
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翌日、演習場に集まった受験生は37人。
昨日の結果が出て、一般クラスの合格者と、不合格者は朝食後に城を去っていた。
特別クラス候補は様々な試験と訓練を行い、遂に最終日。全員が荷物を纏めていた。僕以外。
「あれ?荷物は?」
「預かってもらってる」
「 ? 」
他の受験生は不思議そうな顔をした。
実は副団長からオファーがあった。
「君のことをクリスと呼んでもいいかな?」
「はい」
昨日、呼び出されて副団長室に向かうと書類を見ていた。
「伯爵家の三男、嫡男にあらず、婚約者は無し。
間違いないな?」
「はい」
「恋人は」
「おりません。いたこともありません」
「学校でも身綺麗にできるか」
「分かりかねます」
「それは女遊びをするつもりということか?それとも恋人を作るつもりという意味か」
「身綺麗がよく分かりません」
「女性関係について聞いている」
「何を仰りたいのか分かりませんが私はモテません。買う気もありません」
「付き合いたいという女が現れたら?」
「好きにならない限り断ります。一応伯爵家の名を汚してはいけませんので」
「いい心掛けだ。好きにもならないように」
「え?」
「さて。合否結果を先に教えよう。内密にしてくれるね?」
「は、はい」
「合格だ。来年騎士候補として寄宿学校へ入学することになる。期間は5年だ。
志望動機は伯爵の薦めとある。
詳しく聞かせてくれ」
「詳しくですか」
「そうだ。まあ、座れ」
「失礼します」
座って洗いざらい話した。
「それは酷いな」
「え?」
「仕掛けたのは兄達なのだろう?」
「はい」
「よし!クリス。
このまま城に滞在してバイトをしないか?」
「バイトですか」
「来年、城から寄宿学校に向かえばいい。
一旦伯爵家に戻っても不快だろう」
「…どのような仕事ですか?」
「リリアナの子守りだ」
「はい?」
「リリアナ・コンラッド。私の娘だ」
「あの、メイドとか侍女とかいないのですか?」
「ついでに守ってもらいたい。城に連れてきている間、相手をしてもらいたいんだ。別に君がしでかしたことによる怪我でなければ何も言わない」
「何故 私なのですか?」
そこでコンラッド家について説明があった。
昨年、コンラッド家の長男でリリアナ様の弟が転落死してしまった。リリアナ様の側に落ちたらしい。そこからあまり言葉を発しなくなり、先月、後を追うようにコンラッド夫人が亡くなった。
すっかり心を閉ざしてしまった。
そして人と関わるのを嫌がり、特に異性は受け付けず、仕方なく仕事場に連れてきて面倒を見ながら仕事をなさっているそうだ。
「そのリリアナが興味を示したのが君だよクリス」
「はい?」
「名前を聞いた時があっただろう。
リリアナが興味を示したから聞いたんだ。
いい小遣い稼ぎになるし、伯爵家に戻らなくて済む。滞在にかかる費用は侯爵家持ちだ。やるだろう?」
その聞き方は断れないやつじゃないですか!
「やってみます」
「そうかそうか。有難い。では最終日に部屋を移すからそのつもりで」
「かしこまりました」
ということで、私だけ荷物を持っていない。
「クリス・サモール」
「はい」
次々と名前が呼ばれて封筒を渡された。
「以上、特別クラスへの合格者は37名!解散!」
移動先の部屋で封筒を見ると順位と入学案内などが入っていた。
一つだけ副団長にお願いした。
成績が良くても10番以内にしないで欲しいと。
副団長は不思議がったが、僕は正直に答えた。
「反抗期です。学費を払わせたいのです。
父が望んで罰するように通わせるのですから、払ってもらわないと。
タダなんて腹が立ちますし」
副団長は楽しそうに引き受けてくださった。
“特別クラス 11位”と書いてあった。
昨日の結果が出て、一般クラスの合格者と、不合格者は朝食後に城を去っていた。
特別クラス候補は様々な試験と訓練を行い、遂に最終日。全員が荷物を纏めていた。僕以外。
「あれ?荷物は?」
「預かってもらってる」
「 ? 」
他の受験生は不思議そうな顔をした。
実は副団長からオファーがあった。
「君のことをクリスと呼んでもいいかな?」
「はい」
昨日、呼び出されて副団長室に向かうと書類を見ていた。
「伯爵家の三男、嫡男にあらず、婚約者は無し。
間違いないな?」
「はい」
「恋人は」
「おりません。いたこともありません」
「学校でも身綺麗にできるか」
「分かりかねます」
「それは女遊びをするつもりということか?それとも恋人を作るつもりという意味か」
「身綺麗がよく分かりません」
「女性関係について聞いている」
「何を仰りたいのか分かりませんが私はモテません。買う気もありません」
「付き合いたいという女が現れたら?」
「好きにならない限り断ります。一応伯爵家の名を汚してはいけませんので」
「いい心掛けだ。好きにもならないように」
「え?」
「さて。合否結果を先に教えよう。内密にしてくれるね?」
「は、はい」
「合格だ。来年騎士候補として寄宿学校へ入学することになる。期間は5年だ。
志望動機は伯爵の薦めとある。
詳しく聞かせてくれ」
「詳しくですか」
「そうだ。まあ、座れ」
「失礼します」
座って洗いざらい話した。
「それは酷いな」
「え?」
「仕掛けたのは兄達なのだろう?」
「はい」
「よし!クリス。
このまま城に滞在してバイトをしないか?」
「バイトですか」
「来年、城から寄宿学校に向かえばいい。
一旦伯爵家に戻っても不快だろう」
「…どのような仕事ですか?」
「リリアナの子守りだ」
「はい?」
「リリアナ・コンラッド。私の娘だ」
「あの、メイドとか侍女とかいないのですか?」
「ついでに守ってもらいたい。城に連れてきている間、相手をしてもらいたいんだ。別に君がしでかしたことによる怪我でなければ何も言わない」
「何故 私なのですか?」
そこでコンラッド家について説明があった。
昨年、コンラッド家の長男でリリアナ様の弟が転落死してしまった。リリアナ様の側に落ちたらしい。そこからあまり言葉を発しなくなり、先月、後を追うようにコンラッド夫人が亡くなった。
すっかり心を閉ざしてしまった。
そして人と関わるのを嫌がり、特に異性は受け付けず、仕方なく仕事場に連れてきて面倒を見ながら仕事をなさっているそうだ。
「そのリリアナが興味を示したのが君だよクリス」
「はい?」
「名前を聞いた時があっただろう。
リリアナが興味を示したから聞いたんだ。
いい小遣い稼ぎになるし、伯爵家に戻らなくて済む。滞在にかかる費用は侯爵家持ちだ。やるだろう?」
その聞き方は断れないやつじゃないですか!
「やってみます」
「そうかそうか。有難い。では最終日に部屋を移すからそのつもりで」
「かしこまりました」
ということで、私だけ荷物を持っていない。
「クリス・サモール」
「はい」
次々と名前が呼ばれて封筒を渡された。
「以上、特別クラスへの合格者は37名!解散!」
移動先の部屋で封筒を見ると順位と入学案内などが入っていた。
一つだけ副団長にお願いした。
成績が良くても10番以内にしないで欲しいと。
副団長は不思議がったが、僕は正直に答えた。
「反抗期です。学費を払わせたいのです。
父が望んで罰するように通わせるのですから、払ってもらわないと。
タダなんて腹が立ちますし」
副団長は楽しそうに引き受けてくださった。
“特別クラス 11位”と書いてあった。
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