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僕のデビュー

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16歳になり、デビューを迎えたがパートナーがいない。だから辺境でのデビューにした。

騎士学校生は希望者だけ、辺境伯の城で成人式をしてもらえる。
ダンスなどはないが、ささやかな食事会と国から授与される記念品を渡される。

しかも学生服でいいため、お金のない貴族や家族と折り合いの悪い令息が利用する。
今年は僕を含めて9人だった。

一人一人、辺境伯からお祝いの言葉をかけてもらった。

その後で辺境伯に呼ばれた。


「君が、副団長の子守係だね?」

「副団長の息女様の子守係でした」

大事な言葉を省略しないでください。
王宮騎士団の副団長の子守を務める子供ってまずいでしょう!

「ハハッ、そうだね。
将来は考えているのかな?」

「私の将来は副団長が決めるそうですので、私は卒業を目指すだけです」

「(チッ、先を越されたか)」

今、舌打ちが聞こえたような…

「しかし、君が希望すれば許してくださるだろう。
クリスくん。うちに来ないか?」

「うち?ですか」

「辺境軍だよ」

「イヤイヤイヤイヤ。
辺境軍と言ったら精鋭集団じゃないですか」

「知っていたのだね」

「当然です。国防の要で国に尽くす戦士ですから誰もが知っています」

「知らない者もいるのだよ」

「はい? 学校に行かせてもらえなかった人達なのですね、大変な境遇だったのかもしれません。見かけたら、そっと教えておきます」

「(あ~欲しい)」

「私は志もありませんし、とても務まりません」

「実はね、私の弟が騎士学校で教師をしているんだ。そこで君のことを聞いたのだよ。
選択肢として上の方に置いてくれないか」

ここでこれ以上断るのも失礼だよな。

「はい。副団長の気が変わられるようでしたら」

「変わるといいのだが」

僕は愛想よくして乗り切った。


それ以降、特別講師として月に一度、辺境伯が教えにくるようになった。



ある日、すごく大きな兵士を連れていらした。

「クリスくん。ちょっと」

皆が授業で説明を受けている最中に辺境伯に呼ばれて皆から見えない場所に行くと、

「クリスくん。彼に打ち込みをしてくれないか?」

「え…いや…」

「大丈夫。君より大きいし、辺境軍うちの兵士だから」

「でも…」

「彼からは攻撃しないから」

「では軽く」

「本気で振り下ろして欲しい」

「怖いです」

「頼む!」

辺境伯に頭を下げられたらやるしかない。
あまり断っても兵士への侮辱になってしまう。

「分かりました。
私は右、左、真上の順で剣を振ります。

行きます!」


バキッ


「「「………」」」

双方の模造剣が折れてしまった。

「マズイ!怒られる!」

「いやいや。折らせたのは私だから君は怒られないよ」

苦笑いで辺境伯がそう言った。





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