【完結】強面巨体の僕は家族に邪険にされたけど、いつの間にか美少女と婚約していた

ユユ

文字の大きさ
7 / 52

僕のデビュー

しおりを挟む
16歳になり、デビューを迎えたがパートナーがいない。だから辺境でのデビューにした。

騎士学校生は希望者だけ、辺境伯の城で成人式をしてもらえる。
ダンスなどはないが、ささやかな食事会と国から授与される記念品を渡される。

しかも学生服でいいため、お金のない貴族や家族と折り合いの悪い令息が利用する。
今年は僕を含めて9人だった。

一人一人、辺境伯からお祝いの言葉をかけてもらった。

その後で辺境伯に呼ばれた。


「君が、副団長の子守係だね?」

「副団長の息女様の子守係でした」

大事な言葉を省略しないでください。
王宮騎士団の副団長の子守を務める子供ってまずいでしょう!

「ハハッ、そうだね。
将来は考えているのかな?」

「私の将来は副団長が決めるそうですので、私は卒業を目指すだけです」

「(チッ、先を越されたか)」

今、舌打ちが聞こえたような…

「しかし、君が希望すれば許してくださるだろう。
クリスくん。うちに来ないか?」

「うち?ですか」

「辺境軍だよ」

「イヤイヤイヤイヤ。
辺境軍と言ったら精鋭集団じゃないですか」

「知っていたのだね」

「当然です。国防の要で国に尽くす戦士ですから誰もが知っています」

「知らない者もいるのだよ」

「はい? 学校に行かせてもらえなかった人達なのですね、大変な境遇だったのかもしれません。見かけたら、そっと教えておきます」

「(あ~欲しい)」

「私は志もありませんし、とても務まりません」

「実はね、私の弟が騎士学校で教師をしているんだ。そこで君のことを聞いたのだよ。
選択肢として上の方に置いてくれないか」

ここでこれ以上断るのも失礼だよな。

「はい。副団長の気が変わられるようでしたら」

「変わるといいのだが」

僕は愛想よくして乗り切った。


それ以降、特別講師として月に一度、辺境伯が教えにくるようになった。



ある日、すごく大きな兵士を連れていらした。

「クリスくん。ちょっと」

皆が授業で説明を受けている最中に辺境伯に呼ばれて皆から見えない場所に行くと、

「クリスくん。彼に打ち込みをしてくれないか?」

「え…いや…」

「大丈夫。君より大きいし、辺境軍うちの兵士だから」

「でも…」

「彼からは攻撃しないから」

「では軽く」

「本気で振り下ろして欲しい」

「怖いです」

「頼む!」

辺境伯に頭を下げられたらやるしかない。
あまり断っても兵士への侮辱になってしまう。

「分かりました。
私は右、左、真上の順で剣を振ります。

行きます!」


バキッ


「「「………」」」

双方の模造剣が折れてしまった。

「マズイ!怒られる!」

「いやいや。折らせたのは私だから君は怒られないよ」

苦笑いで辺境伯がそう言った。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

「君は悪役令嬢だ」と離婚されたけど、追放先で伝説の力をゲット!最強の女王になって国を建てたら、後悔した元夫が求婚してきました

黒崎隼人
ファンタジー
「君は悪役令嬢だ」――冷酷な皇太子だった夫から一方的に離婚を告げられ、すべての地位と財産を奪われたアリシア。悪役の汚名を着せられ、魔物がはびこる辺境の地へ追放された彼女が見つけたのは、古代文明の遺跡と自らが「失われた王家の末裔」であるという衝撃の真実だった。 古代魔法の力に覚醒し、心優しき領民たちと共に荒れ地を切り拓くアリシア。 一方、彼女を陥れた偽りの聖女の陰謀に気づき始めた元夫は、後悔と焦燥に駆られていく。 追放された令嬢が運命に抗い、最強の女王へと成り上がる。 愛と裏切り、そして再生の痛快逆転ファンタジー、ここに開幕!

【短編】旦那様、2年後に消えますので、その日まで恩返しをさせてください

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
「二年後には消えますので、ベネディック様。どうかその日まで、いつかの恩返しをさせてください」 「恩? 私と君は初対面だったはず」 「そうかもしれませんが、そうではないのかもしれません」 「意味がわからない──が、これでアルフの、弟の奇病も治るのならいいだろう」 奇病を癒すため魔法都市、最後の薬師フェリーネはベネディック・バルテルスと契約結婚を持ちかける。 彼女の目的は遺産目当てや、玉の輿ではなく──?

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

婚約破棄されるはずでしたが、王太子の目の前で皇帝に攫われました』

鷹 綾
恋愛
舞踏会で王太子から婚約破棄を告げられそうになった瞬間―― 目の前に現れたのは、馬に乗った仮面の皇帝だった。 そのまま攫われた公爵令嬢ビアンキーナは、誘拐されたはずなのに超VIP待遇。 一方、助けようともしなかった王太子は「無能」と嘲笑され、静かに失墜していく。 選ばれる側から、選ぶ側へ。 これは、誰も断罪せず、すべてを終わらせた令嬢の物語。 --

処理中です...